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8−17という香り

さて、昨日は「お香 1-26」について書いたが、今日は「8-17 松風」という香りについて書こうと思う。

ブランドをローンチして2年、未だに新作の香水を出せていないことをとても心苦しく思う。私としては今すぐにでも出したいのだが、解決しなければならない問題が山ほどあり、なかなか思うようにいかない。来年の上旬には必ず…!

çanomaの今ある4つの香りの名前はそれぞれ「1-24」「2-23」「3-17」「4-10」である。前の一桁の数字は香りの種類、後ろの二桁の数字は試作の回数である、ということは、幾度も説明してきた。

それでは今回、なぜ急に前の一桁の数字が「8」と飛んでしまうのか、と疑問に思った方も多いはずだ。これについて簡単に説明する。

まずは、「5」の香りは制作しない予定だ。これはシャネルの不朽の名作「No.5」への敬意を表してのことだ。永久欠番、のようなものだと思っていただいて差し支えない。よって今後「19」も作られることはない。「6」は取り組んでいるがまだ完成に至っておらず、「7」は完成はしているものの、お香にはあまり向かない香りであるため、改めて香水としてローンチすることにした。

「8-17」はそのままお香に練り込んでとても良い出来だったので、今回まずはお香として発表することに決めた。


実は、この香りの試作品は、密かにある場所で発表していた。

惜しまれつつ閉館したお台場のヴィーナスフォートで上演されていた、ダンスカンパニー「DAZZLE」主催のイマーシブシアター「Venus of TOKYO」の、冷蔵庫の香り付として、試作途中の8-17を使用していたのだ。これがVenus of TOKYOファンから大変好評だったようで、早く製品化してほしい!という声が多く寄せられていた。


「8-17」はどんな香りなのだろうか。

インスピレーションソースは下記の情景だ。

朝方の安芸の宮島。海風、厳島神社、そして鹿の匂いが朝靄と共に島全体を包み込んでいる。

島の中、木が生い茂った小道を歩いていると、ぼってりとした椿が咲いているのを見つける。徐に鼻を近づける。それはその花の姿そのままに、滑らかでありながら、しっかりと厚みのある香りだ。島の神聖な空気と椿の香りが相まったとき、私は畏怖の念を強く感じる。

私は今でもよくこの瞬間のことを思い出す。「思い出す」というのは不正確で、どちらかというと「想像する」の方が近いかもしれない。

過去の出来事なのに「想像する」というのはおかしいと思われるかもしれない。しかし私は、この瞬間の香りを思い出す時に、その椿の花ではなく、そこにいなかったはずの1匹の鹿の姿を見るのだ。その鹿は私の存在に全く臆することなく、斜面の下から私を、真っ直ぐな2つの眼で私を見つめている。表情に喜怒哀楽はなく、私に何かを諭そうとしているように見える。


この香りは、その中心にアニマリックノートがある。レザーを中心としながらも、生きた獣がもつあの独特な香りを1つのアコードで表現した。

そして全体をフローラルノートが包んでいる。ただし、このフローラルノートはインスピレーションソースに忠実に単体の椿の香りである必要はなかった。私が経験したあの瞬間においても、椿は1つの「きっかけ」のようなものだった。8-17では、椿の香りに加えて、金木犀のアコードを中心に使っている。もちろん、だからといっていわゆる“金木犀香水”にはなっていない。

舞台となった安芸の宮島は、磯の香りがしっかりとするマリンノートと、厳島神社と島の木々から漂うウッディノート(シダーウッドを中心としている)で表現している。そしてキノコ調の香りを間に挟むことで、その2つの香りにうまく統一感を持たせている。


香りのシンボルマークとして添える源氏香之図は「松風」をチョイスした。安芸の宮島に漂う雰囲気に合っていると感じたからだ。


この香りは、私には何か独特な力を持っているように感じられる。明確なキャラクターのある香りであり、そしてどこか“引っかかる”香りなのだ。

私自身は、とても「攻めた香り」だと捉えているが、この香りの紹介をすると、多くの方に高い評価をいただいているのも事実である。そこもまた不思議に感じている。


今回発売するお香も、その独特な雰囲気をきちんと残している。3-17、そして1-26とはまた違った香りの提案となっていると思う。

こちらも店頭で焚くことができないのが大変残念なのだが、ぜひ手に取っていただきたい。


10月19日から開催される伊勢丹新宿店での「サロン ド パルファン」にて先行発売する。それ以外の店舗では11月以降の販売を予定している。

「サロン ド パルファン」では、調香師Jean-Michel Duriez氏を招いたセミナーも開催するので、ぜひ観にきてね。予約はこちらから。

皆様の「サロン ド パルファン」へのご来場、ぜひお待ちしております!


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