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ステイホーム小説 『シェアしたバイクで走り出せ』

非常事態が常態化したこのひと月弱、会社に行ってないし電車にも乗ってない。徒歩で行ける範囲は限られるから、閉塞感が高まって透明な高い壁に閉じ込められたみたいだ。自転車でも買おうかな。三密避けて移動できるし、アフターコロナ(AC)の新しい暮らし方にも使えそうだ。気になってたブランドバイクのサイトを見たら、配送時期未定の表示。同じこと考える輩が多いっつーか、俺って平凡?ブツブツ言ってたらツレが横から「そう言えばさっき近所にバイクシェアのポートあったよ」と教えてくれた。会社の前にレンタル自転車置き場があるのは知ってたけど、近所にもあるのか。スマホで認証して行った先のポートに乗り捨てできるのイイねってことで、さっそく(暇なんで)行ってみた。

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家から歩いて3分くらいの住宅地の空きスペースにポートがあった。利用登録して手近な一台でさあ走り出そうと思ったら、前輪の空気が抜けてふにゃふにゃじゃないの!なんだよこれキャンセルどうやるんだ?アタフタしつつ他のチャリも点検したら、サドルの高さが変えられない車体もあった。まぁいろんな奴が使うしメンテが間に合わないんだろうけどね‥ バイクシェアの掟その1:利用決定前に、個体チェックすべし!

気を取り直して漕ぎ出す。特にあてはないから、とりあえず会社に行ってみよう!社畜か!いやこれ通勤に使えるかのテストですから‥ 久しぶりのチャリだから、昔馴染みの道を走る。本郷通り、外堀通り、白山通り、靖国通り。非常事態中の東京は、車も人も少なくて走りやすい。車道走っていて路駐シネとは思うけど、トラフィックがゆるいから身の危険までは感じない。こりゃバイク天国じゃん!靖国神社に「皆の力で打ち克ちましょう」の横断幕。花見したかったね。欲しがりません克つまでは。

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30分すぎたくらいから、尻が痛くなってくる。自転車が久しぶりなせいか、ちょい乗り仕様なせいか、快適なのは5kmくらいまでかな。それでも我慢して会社のビルに辿り着いた。ああ懐かしの我らが事務所よ!元気で居るか?そして誰もいなくても家賃取ってるのか?

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一階のファミマに寄ってコーラを買って一休み。もちろんオフィスには寄らずに立ち去る。まっすぐ帰るのももったいないから、お茶の水に寄って成城石井で晩飯用の惣菜とか酒とか買い込み、バイクのフロントカゴに積む。久しぶりに自由な感覚を思い出す。好きな時に好きな場所に移動できること、それがフリーダムってもんだろ?なんかちょっとだけコロナに勝った気がした。次はどこに行ってやろうか?臀部の痛みを引き摺りつつ考えている。

#小説 #コロナ後の世界  #いま私にできること

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