ハル高内@代官山レザール 20170214

Three views of a secret

ハル高内というギタリストがいる。
ずっとニューヨークで活躍しているニューヨーカーだ。
共演歴をみれば彼の広範な人脈とプレイスタイルに納得する。
昨日彼のプレイに触れる機会があった。
ハル高内(g)
福田重男(pf)
河原秀夫(b)
奥平真吾(d)
@代官山レザール

ストレートアヘッドなジャズ。というと陳腐に見える。しかしそれが最も当てはまるバンドという印象。
メンバーひとりひとりに偏りがなく、それぞれ内面に歌を持ってプレイにそれが出ている。
福田さんについては言うまでもなく、当代きってのテクニカルでリリカルなピアノ。

河原さんを聴いたのはもう何十年ぶりだろう、彼のプレイの中心には歓びがある。それが溢れる。

奥平さんはたぶん、日本で最もメロディアスなドラマーだ。彼のプレイには全体に色彩が付く。美しいという感想を持つドラマーは数少ない。真性のナチュラルミュージシャンだ。

思わず頬が緩む。
身体が動く。
手で足でリズムを拾う。
後付けの理由なんて意味がない。

たのしかった。それだけだ。

また曲間のハル氏のMCが秀逸だった。
まるで洋行帰りの祖父から見たこともない外国の御伽話を聞くような。
あの巨体の奥にどれ程のライブラリをもっているのか、ずっと話を聞きたくなるような。ジョージョーンズJr.とのこと、米国でのスラングのはなし、彼にはやわらかな文の泉が見える。

そう。彼らは音楽で、楽器で詩を詠む人種なのだ。深い膨大な知識や経験を潜ませ、その場で抽出して他のメンバーとの化学変化を惹起させる。爆発するか、見たこともない結晶となるか、萎んでしまうか。それを毎日繰り返し重ね続けている人種。

ぼくは文芸でそれに近づけないか、ずっと考えていたよ。遠いけどやってみたくなるバンドを観た。20170214 y.


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