見出し画像

「コピペプログラマの心得~この大AI時代を生き抜くための三箇条~」みたいなものが書きたくなった時のための下書き

ChatGPTでプログラムも書けちゃうからもうプログラマは失業じゃん、みたいなことが巷で囁かれている。

と聞いて不安になるのは二流三流で、一人前のコピペプログラマとして生き抜いてきたおれは、ふーん、くらいに思っている。「コピペプログラミング」という概念の射程は広い。AI様にプログラミングさせたコードをコピペするのも、ググって出てきたコードをコピペするのも、本質的にはそんなに変わらなくない?

コピペは、ガラス細工のように脆く儚い。コピペとはアートなのだ。

それがコピペで済むためには、そのコピペしたコードが動くためのあらゆる前提条件が満たされている必要がある。まず、コピペしようとしているコードは、どのOSのどのバージョンで動くのか、コンパイラやランタイムのバージョンはどうか、必要なライブラリはそのマシンにインストール可能か。動作環境についての嗅覚が求められる。

また、公式ドキュメントを読む必要もある。提示されたコードはどういう意味なのか、その関数を使うことに注意点はないのか、引数の型はあっているか、並列に実行して問題ないか、などなど。AIは特に、それっぽいけど微妙に間違ってる説明をしがちなようなので、公式ドキュメントを読んで検証する能力がより求められるようになっていくだろう。

さらに、一流のコピペプログラマは、ググって出てきたコードにすぐに飛びついたりはしない。キーワードを微妙に変えて何度も検索してみて、だいたい同じようなコードが出てくることを確かめてはじめて、そのコードを採用する。もし違うコードが出てくるようなら、その差がどこにあるのかを調べる。ここでも公式ドキュメントを読む能力が活躍することだろう。

ちなみに、この「クエリを投げる角度を微妙に変えることで対象を立体的に捉える」みたいな能力は、かなり本質的なもののような気がする。ぜんぜん違う分野だけど、オンライン調査集団・べリングキャットの創設者は、その著書の中で「ディープフェイクは脅威か?」という疑問に答えてこんなことを言っている:

いまのところ、ディープフェイクについてぼくはあまり心配していない。写真や動画はそれのみで存在するわけではなく、情報を構成する要素のひとつでしかない。オバマ大統領の動画を例にとってみよう。(略)ソースの信頼性や出どころとか、問題の動画が最初に現れたのはどこなのかとか。(略)また、現実の事象にはかならずコンテクストがある。オバマはこの話をいつどこでしたのか。その時刻に、オバマはほんとうにその場所にいたのか。そうこうするうちに疑わしい点が見つかれば、そこを突っ込んで調べていく。

エリオット・ヒギンズ『ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く』

相手がAIだろうが、さまざまな情報をクロスチェックして真実をつかんでいく、というこれまでやってきたことと何も変わらない、と。

うまく言えないけど、これって、料理を作るときに複数のレシピを見比べて勘所をつかむとか、翻訳するときに複数の辞書を引いていちばん適切な訳を選び取るとか、色んなことに通底する普遍的な能力のような気がしません? そういう意味では、このなんと名付けていいかわからない能力、をもった普遍的優秀人材がプログラミング業界(?)に殴り込んできて仕事を取られる、ということは起こりうる。そんな日に備えて、コピペプログラマ力(ぢから)を磨いていきましょう!

みたいな感じでポジティブに締めたいところだけど、ぶっちゃけどう磨けばいいのかよくわからないので、今のところこの「コピペプログラマの心得」は未完です。

(追記:この競プロとAIの記事おもしろかった)

(カバー画像:https://flic.kr/p/i3BpUD


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?