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『Citizen Sleeper』の日本語版がついに出る。

『Citizen Sleeper』は2022年5月に発売されたテーブルトークRPG風のアドベンチャーゲームだ。発売から2年、ついに2月1日に日本語版が出る。ゲームの紹介は書きなれてないけど、最高のSF小説なのでおすすめしたい、というこの気持ちを文字にしてみる。

「スリーパー」。人格をエミュレートし、ロボットの身体を持つ主人公は、この世界でそう呼ばれる存在だ。

スリーパーは、その心も体も自分のものではない。人格は元の人間のコピーであり、ボディは巨大テクノロジー企業・エッセンアープ社によって所有されている。エッセンアープ社は技術漏洩防止のためにスリーパーのボディに細工を施していて、特殊な薬剤を定期的に摂取しなければ壊れてしまうようになっている。その薬剤は当然、エッセンアープ社の筋でしか手に入らないので、エッセンアープ社から逃げ出すというのは余命宣告に等しい。

まだ死んではいないが、生きているのかはわからない。そのように脆弱な存在として、主人公はこの世界を生きることになる。

巨大な資本主義にモノのように扱われているのは、しかし、主人公ばかりではない。ここで生きる庶民、カタギではない人々、あるいは人ならざる者たち。さまざまな登場人物が主人公と交差する。そのやり取りの中で、主人公は、時に、「これは自分だ」と感じる。巨大企業の製品として人間の権利を持たない自分。巨大企業の思惑によって人間性を収奪されていく人々。その不条理は、どこか似た構図をしている。テクノロジーと人間性がなぜかイコールでつながってしまう不思議な瞬間がそこにはある。

という具合で、資本主義批判の思想がちょっと強めだけど、『Citizen Sleeper』は、最高のSF小説、というのが個人的な感想だった。ゲーム性はあまりない。選択肢の選び方は物語に影響するけどほぼ単線だし(たぶん)、サイコロはスキルが揃ってくれば割とどうにでもなる。「テーブルトークRPG」という言葉でイメージするようなバトルはない。ただただ、文章と音楽と絵が最高なだけのゲーム。SFが好きならおすすめです。

Steam、Nintendo Switch、PlayStation、Xbox、どれも日本語版が出るのでどれでも遊べる。とりあえずSteamのリンクだけ貼っとく。

あと、日本語が出てるトレーラーはこんな感じ(なぜかこのツイートしか見当たらなかった)。


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