見出し画像

仕事のオーナーシップのはなし

リモートワークが前提になると、オフィスでお互いの状況を把握してサポートすることができなくなる。そんな中でも一人一人の腕を上げて行くには、何よりオーナーシップを育てていくことが大切なのではないだろうか?なかなか説明が難しいけれど、今わかっていることを描いてみる。

お客様にとって、仕事を任せる相手になること

①コミュニケーションの窓口を担うこと
 仕事において言葉で表現されることと、実際に担う役割の間で少しニュアンスが変わってしまうことがある。それでも、コミュニケーションの窓口を担い続けることで、お客様の期待は少しづつ具体化して行くことができる。このことが仕事の最小単位ではないだろうか。丁寧にコミュニケーションを取り続けることで、お客様も当初に想像していなかったゴールに辿り着くこともできるようになる。逆に、窓口が変わってしまうと、それまでの経緯が失われてしまうかもしれない。

②何かあったら、相談できる相手であること
 仕事において、予期しない出来事は度々発生する。その中でもお客様の期待を実現して行くために、計画を修正し続けることが必要になる。何かあったとしても、相談できる相手であり続ければ、最後には仕事を完遂できるだろう。

③手伝ってもらっても全然良い
 全ての作業を自己完結することが大切なのではない。プロジェクトを完了させるために、協力を仰ぎ、最終的にお客様の要望を満たして行くことができていれば、それは十分にお客様の役に立っているということ。

自分にとって、自分を発揮すること

①仕事の手応えを得やすい
 自分がしている内容を把握していて、お客様からフィードバックを得ることができると、自分の仕事の手応えを得やすい。もし、失敗があれば次の機会に活かせる。仕事を学びやすい環境になる。

②他者のアイデアを活かしやすい
 色々な人からもらうアドバイスも、扱い方は難しい。状況によっては、役に立たないこともあるし、矛盾した内容も含まれる。しかし、自分の考えで取捨選択して行くことを前提とするなら、多くのアイデアからよりふさわしいものを選び取って行くことができる。無責任なアイデアの中にこそ、思い込みに囚われず、これまでの案を超えたアイデアが眠っているかもしれない。

③自分にできることがわかってくる
 自分で判断しながら仕事をする経験を積んで行くと、自分にできることがわかってくる。自分にできないこともわかってくるから、周囲の助けを求めるのもスムーズになる。他のメンバーのサポートに回ることもしやすくなる。

④自分の負担感を反映しやすい
 人それぞれ、仕事に費やすことのできる時間には違いがある。自分のおかれた状況を共有することで、体制を整えたり、案件量を相談しながら、無理を防ぎ、仕事を続けていく。仕事は指示されるものと捉えていると、矛盾が生じてきたときに、仕事を続けるかやめるかという選択に陥ってしまいやすい。

⑤自分のあり方を探求しやすい
 コミュニケーションの窓口として、総合的に状況を捉え、自分が良いと思うプランをお客様へ提示して承認を得て行く。そこには、お客様の想像を超えるものが含まれていても構わない。そうした”おせっかい”ができる環境は、自分の良いと思えることを探求して行く上で、貴重な機会ではないだろうか。

チームにとって、アイデアを与え合う仲間になる

①自分の想像を超えた挑戦が身近に溢れていること
 自分の可能性に気づくことは簡単ではない。でも、自分の想像を超えた挑戦が身近に溢れていたら、色々な示唆を得ることができる。それが同じ職場で働く仲間であれば、気軽に相談することもできる。そんな環境に身を置くことができたら、魅力的だろう。

②メンバーの増減でバタバタしなくなる
 分業が進むと効率が良いように見えるがそうでもない。メンバーの負担に偏りが出やすくなる。メンバーの増減で玉突きのように、様々なプロジェクトに影響が広がりやすくなる。

③メンバー間での協力もスムーズになる
 お互いに自分のできることがわかってくれば、協力もスムーズになる。

④個人も組織も生き生きとした状況をつくりだす
 
自分が力を発揮し、力を得ることができたなら、新しい個人と組織の関わり方の一つになるのではないだろうか。

⑤プロジェクトチームでもチームの形として現れる
 ディレクターがいて構造を設計し役割を与えることで、構造物をつくりあげるプロセス。やいのやいの話し合いながらわいわい構造物をつくりあげるプロセス。尖ったプロジェクトと丸みを帯びたプロジェクト。メンバーのオーナーシップの持ち方によって、メンバー間の関わり方も変わってくる。同じつくりあげるプロセスの中にも、プロジェクトにオーナーシップを感じているか、自分のタスクにオーナーシップを感じているか、という違いはあるだろう。

どうやってオーナーシップを育てる?

①できることを指示するのではなく、どうすれば実現できるかを問いかけ、できないことをサポートする
 オーナーシップを発揮する機会がないと、それが何かに気づくことはできない。でも、できないことを任せることはできないと考えることが一般的ではないだろうか。そこで、どうすればそれを実現できるか問いかけ、一旦任せるけれど、できないことは助けに入るというのはどうだろうか。そうすれば、結果も出せるし、できないことに気づく機会にもなる。指示をされ続け、目標を達成したか否かを問われ続けるだけでは、結果を出せないかもしれないし、本人が学べることも少なくなってしまうのではないだろうか? 任せるということと、手を離してしまうことは違うと思う。その見守る姿勢に1on1のメンターという様子を察知しやすい役割が使いやすいのではないか

②武器を渡すこと
 ゼロから手探りで役に立つ方法を探るのは勿体ない。初めのうちは使える武器を渡す。それを使っているうちに、感覚が分かるようになる。最終的には違うやり方になっていくかもしれないが、それでもその人なりにお客様の役に立てているなら、それも良いのだろう。武器は色々ある。だから、一人のやり方にだけ固執するのではなく、色々なやり方を取り入れてみて、自分がいいなと思う、結果を出せる武器を見極めて、磨いていく。既存の武器で足りなくなった時、必要に迫られて新しい武器が生まれるのかもしれない。

③オンボーディング
 その人が経験してきた働き方によって、オーナーシップという言葉の捉え方は異なる。どんな組織のあり方を目指しているのか、前提を共有して行くことが大切だ。特に左の組織に所属していた人が、右のチームに入って行ったら、いろんな場面で違和感を感じることでしょう。でも、その違和感の中に改善すべきことも混ざっているので、話し合いながらお互いに腕を磨いていけると良いなと。最初から否定するのではなく、より良いを探り合う。

④社内の組織構造も同じ
社内でも同じ構造が生まれる。仕事として何を任せるのか?クライアントワークでなくとも、同じだと思う。どんな問いに立ち向かってもらうのか?組織図とはそういった問いの掛け合わせだとみることもできるはず。担う側の問題であるだけでなく、任せる側の問題でもある。

⑤最もやっかいなのは、自分はできている、正しさの思い込み
 仕事の手応えを得やすいということは、少し経験を積むと自分はできていると感じやすくなる(ダニング・クルーガー効果)。それでも、自分の可能性を広げて行くスタンスを持ち続けなければならない。周囲のメンバーにできることとしては、相手から求められていなくともおせっかいをして行くことも必要なのだろう。そうした挑発しあえる関係、協力しあえる関係こそが、チームであることの最大のメリットではないだろうか。



この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?