蠱毒。
蟲を一つの壺に収めて最強の毒を生み出す呪術、今年はそれを経験した。
世界中から集められた強豪45人との、MTGアリーナでのリーグ戦。
手強いやつも多かったが、圧倒的な経験値とストレスにより、技は練られ磨かれていった。生物の進化がそうであるように、極限まで追い込まれてストレスを感じている時こそが成長のチャンス。
途中ジャンドフードで1勝5敗したときはひるんだ。それ以降はフード系デッキを使うのをやめた。
13/45位まで落ちたが、その後は勝率7割を維持できて、LSVとのポイントレースを1点差で勝ち、世界選手権の権利を獲得。
筋トレは深夜帯の大会に向けて体力を付けるため。
読書は試合中にアツくならないよう、冷静な性格をインストールするため。
金を最低限の労力で稼げるように生活を変えたのは、練習時間のため。
全てはマジックのために。
そして、夢は叶った。
しかし大きな達成感と共に、少しの喪失感が残る。夢を叶えた後の人生を、どう生きて行こうか。夢を追いかけていた方が幸せだったのだろうか。
同年代の友人達達が家族を築いて行く。
人生観は様々。そう誰もが知っている。
結局は無いものねだりに過ぎないのだろう。もし僕が家庭を築いて平凡なサラリーマンだったとしたら、逆に世界チャンピオンの人生に憧れているだろう。
孤独。
時間と金を手に入れた結果、精神的には一層孤独になった。
他人に期待し過ぎない、深入りしない。常に裏切りを予想するものが落胆することはまず無い。
メディアのお陰で表面上を取り繕うのが上手くなったが、まるで自分の別人格が生まれたような気分だ。
これからは人間としての魅力のレベルを上げるタイミング。
事業を作る、人材を育成する、子供を育てる。
次の世代に貢献すること、それが歴代チャンピオンを巡る旅で得た答え。
(未完)
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