スタンダード:スゥルタイ脱出ガイド

コロナウイルスの世界的な蔓延を理由に、マジックのリアルの大会は中止。オンラインでの大会へと移行しつつある。

MAGICFEST ONLINE。Channelfireball主導のオンライン大会だ。
今週から4/11(土)に渡ってスタンダードで毎日予選が行われて、予選で5-1以上の成績を収めると週末のウィークリーチャンピオンシップの権利を得る。
大会の手順をカードラッシュで記事にしたので、参加方法が英語でわからない方はこちらも参照して欲しい。

MTGアリーナ上ではMAGICFEST ONLINEの予選が既に開催されており、賞金総額50,000ドルと大きなチャンスだ。今回の記事では、予選のフォーマットであるスタンダードを考えて行こう。


■スタンダードメタゲーム

今のスタンダードの主要なデッキは以下の9つ。

・ラクドスサクリファイス

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《波乱の悪魔/Mayhem Devil》《真夜中の死神/Midnight Reaper》で生贄によるシナジーを持つ中速デッキ。《初子さらい/Claim the Firstborn》がウーロとハイドロイドに強い。


・赤単アグロ

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環境最速。横並びからの《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》《エンバレスの宝剣/Embercleave》で爆発的な攻撃力を持つ。


・バントランプ

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各色の強いカードを詰め込んだ、いわゆるグッドスタッフ。対応力が高い。


・スゥルタイミッドレンジ

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バント同様グッドスタッフ。ゴールを《戦争の犠牲/Casualties of War》にするか《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》にするか。


・ジェスカイファイアーズ

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アグロキラー。新セットのカードは少ないがデッキとして完成されており、予選でも最も勝率が高い。


・ティムール再生

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《荒野の再生/Wilderness Reclamation》《発展+発破/Expansion+Explosion》でミッドレンジ対決では無類の強さ。


・ティムールアドベンチャー

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青白キラーだったが、最近はメタゲームの移り変わりで減少中。


・青白コントロール

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世界選手権を優勝したが、ティムール出来事に弱いため一旦減少。赤に強いことから復権しつつある。


・青白ブリンク

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■スゥルタイ脱出 デッキ選択の経緯

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《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
スタンダードの練習を始める際に、まずはデッキリストをたくさん見てゲームの速度を考えた。
《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》《夢さらい/Dream Trawler》各種騎兵など、スタンダードは5マナ以上のカードがゲームに与える影響が大きい。そのため3マナ→5マナへのマナブーストは重要だし、ウーロはマナブーストにライフゲインと除去耐性のあるフィニッシャーが付いてくる。
既にモダンやレガシーでも活躍しており、「テーロス還魂記」で最も強いカードだ。このウーロをいかに上手く使うか考える所からスタートした。

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《成長のらせん/Growth Spiral》
《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
ウーロを使うとなると、シミック定番のセットでデッキの12枚は決定。マナブーストするばかりでは手札が枯れてしまうので、大量マナの受け皿として《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》はランプ戦略には必須。
最初に組んだのは、前環境のスタンダードにあったシミックランプにウーロを加えた形だった。

■テストデッキ:シミックランプ

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4《枝葉族のドルイド/Leafkin Druid》
4《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
4《発現する浅瀬/Risen Reef》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
4《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》
2《裏切りの工作員/Agent of Treachery》

4《成長のらせん/Growth Spiral》
2《霊気の疾風/Aether Gust》
1《模写/Quasiduplicate》
3《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》

4《繁殖池/Breeding Pool》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
4《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4《ギャレンブリグ城/Castle Garenbrig》
1《ヴァントレス城/Castle Vantress》
7《森/Forest》
4《島/Island》

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《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》の能力でウーロが墓地に落ちることも多く、マナブーストしつつ墓地を一気に貯められる《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》とウーロは非常に相性が良い。
マナブーストに序盤を費やすと盤面が弱くなりがちだが、《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》は5/6到達で《夢さらい/Dream Trawler》を含めたほぼ全てのクリーチャーを止められる。
《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》を除去するためにリソースを費やすと墓地から《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を回収し、さらなるリソースに繋がっていく。
ウーロからの《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》は2枚コンボとも言えるほどシナジーがあり、この2枚の組み合わせを見つけられたのがシミックランプの収穫だった。


しかし残念ながらシミックランプはアリーナで負け続けてすぐに没案になる。
《枝葉族のドルイド/Leafkin Druid》は《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》でバウンスされて信頼できるマナブーストとは言えず、
《発現する浅瀬/Risen Reef》は盤面に1/1しか残らないので赤単アグロに対して何もせずサイドアウト筆頭で、
相手の盤面に触る手段が少ないので、ラクドスサクリファイスの《波乱の悪魔/Mayhem Devil》《真夜中の死神/Midnight Reaper》に好き放題されて《初子さらい/Claim the Firstborn》で負けて、
ランプ対決でも相手の《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》《戦争の犠牲/Casualties of War》に対して為す術もなく負けて行った。

こう見ると有利なデッキが無く、ほとんど全敗だった。
しかし20ゲームほど負け続けたことにより、今のスタンダードでランプデッキに求められている課題が見えてきた。4つに分けて述べて行く。


①《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》に対しての耐性

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スタンダードは勿論、あらゆるフォーマットで活躍し続ける《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
このカードの存在により、戦場に出たときに何もしないただバウンスされるだけのクリーチャーは大きく価値が下がってしまっている。
特に《枝葉族のドルイド/Leafkin Druid》は後手2ターン目に出してバウンスされて、3ターン目に出し直すようでは相手の4ターン目《創案の火/Fires of Invention》に対して全く速度で追いつけていない。


テフェリーに対して必要な戦略は2つ。
A「テフェリーより軽いクリーチャーを並べ続けることで、攻撃ですぐ落ちるような盤面を作る」→赤単アグロ・ラクドスサクリファイス
B「テフェリーにバウンスされても出し直して得するパーマネントを多くデッキに入れる」→バントランプ・ティムールアドベンチャー

マナブーストはクリーチャーに頼るのでは無く《成長のらせん/Growth Spiral》《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》から止まることなく土地を置き続ける方が効率が良い。
土地は相手に干渉されにくいからこそ、土地を常に置き続けることが最も信頼できるマナ加速。土地は28-29枚が今のシミックベースのデッキにおける適正値。

②《成長のらせん/Growth Spiral》以外の2マナ域

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これは相手によって強さがブレにくいものが望ましい。「このカードと土地さえあれば初手キープ」出来るようなカード。
バントは残念ながらこれに該当する2マナの選択肢が少なく、この2ターン目のテンポロスを《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》のバウンスで補っている。
スゥルタイの場合は除去や手札破壊で補うことが出来る。


③相手の盤面への干渉手段

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赤単アグロとラクドスサクリファイスは、クリーチャーを多く並べることでシナジーを発揮するデッキだ。
アナックスは膨大なパワー、《エンバレスの宝剣/Embercleave》は2マナ、《波乱の悪魔/Mayhem Devil》《真夜中の死神/Midnight Reaper》《悲哀の徘徊者/Woe Strider》でドロー+盤面を一掃。
クリーチャーの頭数が増えるほどコンボのような動きになるので、こちらもクリーチャーを並べてブロックに回すよりは個別に除去して行った方が、コンボの発生を未然に防ぐことが出来る。

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今はブロッカーよりも除去を優先。

そういった理由から、今は《恋煩いの野獣/Lovestruck Beast》のようなブロッカーを並べるよりは除去呪文を優先したい。
なるべくなら1-2マナの単体除去と4マナの全体除去を併用した方が、相手の選択肢に裏目を作る事が出来る。
《空の粉砕/Shatter the Sky》《煤の儀式/Ritual of Soot》と4マナの全体除去は同じくらいの性能だが、軽い除去呪文を比較すると《見栄え損ない/Disfigure》《壮大な破滅/Epic Downfall》の分バントよりスゥルタイの方が少しだけ質が良い。


③ゴールの設定

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バントやスゥルタイでお互いにマナブーストから《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》となった時、勝負の決め手になるのは《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》《戦争の犠牲/Casualties of War》。
2つを比較した場合《戦争の犠牲/Casualties of War》の方が相手の土地を減らせるため復旧に時間がかかり、マナ差と行動回数に大きく差をつける事が出来る。
特に《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》を先に出された場合には土地2つ+ニッサを倒せるて、ただ除去する《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》よりもインパクトが大きいため、黒の方がゴールが強い。
またバントやスゥルタイでのサイド後のゲームはお互いに《霊気の疾風/Aether Gust》《神秘の論争/Mystical Dispute》を構え合うゲームになる。そのため軽い手札破壊呪文で相手の打ち消し呪文と交換できるスゥルタイの方が、バントよりもサイド後のゲームに優れていると考えた。



■スゥルタイ脱出デッキリスト

無題

4《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
2《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》
4《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》

4《成長のらせん/Growth Spiral》
4《思考消去/Thought Erasure》
3《霊気の疾風/Aether Gust》
3《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》
3《戦争の犠牲/Casualties of War》

4《繁殖池/Breeding Pool》
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
4《湿った墓/Watery Grave》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
3《神秘の神殿/Temple of Mystery》
3《疾病の神殿/Temple of Malady》
4《森/Forest》
2《島/Island》
1《沼/Swamp》

サイドボード
1《霊気の疾風/Aether Gust》
1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2《否認/Negate》
3《見栄え損ない/Disfigure》
2《壮大な破滅/Epic Downfall》
1《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
3《煤の儀式/Ritual of Soot》
1《思考のひずみ/Thought Distortion》
1《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》

Magicfest Onlineの予選を5-1で突破後、デッキをコピーしたプレイヤーからも多数5-1や6-0の報告を受けている。
赤単が苦手なので、サイドボードを少し変更した。


■個別カード解説

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《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
マナブースト、ライフゲイン、除去されても墓地から戻り、十分なフィニシャーになるサイズ。スタンダードでベストのカードで、ウーロをいかに上手く使うかがこのデッキの着想。3枚のリストも見るが、デッキの中心のパーツなため4枚推奨。
今の環境は全くサイドアウトしないが、もし《虚空の力線/Leyline of the Void》のような墓地対策が使われるようであればサイド後に枚数を減らすべき。

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《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》
マナブースト+巨大なクリーチャーを出すデッキなので、2マナで1対1交換する《暴君の嘲笑/Tyrant's Scorn》のような単体除去はコンセプトに合っておらずメインから減らしたかった。
また《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》以外にも《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》と墓地のシナジーがあり、細かい除去能力を持つものが望ましい。
そんな要望を満たすのが《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》だ。赤単アグロ、ラクドスサクリファイスティムールアドベンチャーに対して特に強く、《初子さらい/Claim the Firstborn》されない。
《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》が出た後は大量マナで何度も脱出して盤面を一掃する。
ただ《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》に対して弱いので、青白のデッキに対してはサイドアウト候補になる。

ポルクラノスは実は《夢さらい/Dream Trawler》を無効化する事が出来る。
相手のアップキープに《夢さらい/Dream Trawler》と格闘を試みた場合、相手が呪禁を付けた場合はサイズは6/6のままで、格闘が成立した場合は一方的に倒せる。

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《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》
デッキの核となるカードで、マリガンでも最も手札に残す事が多い。
同じマナ域に《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》が居るが、盤面が押されているときは《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》を優先する。
《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》との違いは除去されても次のターンの行動に繋がりやすい所。
《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》は出した時点で1マナ伸びて、5/6到達でほぼ全てのクリーチャーを止めて、次のターンには《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》脱出により強固な盤面を作る。
5マナアクションの返しで《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》《戦争の犠牲/Casualties of War》された場合も、《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》の方が復旧が早い。

バントやスゥルタイ対決で長期戦になったとき、《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》を3回以上出すとライブラリーアウトの危険が生まれるのでその点は注意して欲しい。

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《思考消去/Thought Erasure》
序盤を作る手札破壊。
バントとスゥルタイの差異は、この2マナ域の枚数差だ。《思考消去/Thought Erasure》は相手によって強さがブレにくい2マナ域で、初手のキープ基準になり、墓地を1枚増やす事が出来る。
《森/Forest》が絡むと《思考消去/Thought Erasure》を2ターン目にプレイできないこともあり、ウーロを追放できる事から《苦悶の悔恨/Agonizing Remorse》を優先したリストも見かける。
しかしスゥルタイはマナブースト+巨大なクリーチャーと2極化しているデッキなので、手札の土地に合わせて次のドローを選択できる《思考消去/Thought Erasure》を優先すべきだと考えている。
諜報で墓地が1枚貯まるのもこのデッキにとっては嬉しい。

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《霊気の疾風/Aether Gust》
青白コントロール、青白ブリンク以外のほとんど全ての相手に対して効果があり、《創案の火/Fires of Invention》《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》《戦争の犠牲/Casualties of War》と見れる範囲が広い。
ただの2マナ除去ではなく1ターン限りの打ち消し呪文として働くので、スタンダードのリアクション呪文の中では一番応用が利き、後半トップデッキしてもウーロを戻したりと役立つ。
イメージとしては《削剥/Abrade》に近いかも知れない。青いデッキなら必須の2マナ呪文。

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《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》
出した次のターンには行動回数が2倍、《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》で大量ドローとスタンダードを代表するカードになった《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》。
しかし赤単アグロやラクドスサクリファイスに対しては攻撃によって落とされやすい。ニッサの返しで《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》された場合も盤面への影響が少ない。
《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》は複数引いても次の脱出クリーチャーにつながるが、ニッサだけ複数引いても次につながらないことため、3枚に減らしている。《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》の方が強い場面が多く、ニッサは1枚サイドアウトも良くする。

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《戦争の犠牲/Casualties of War》
《魔女のかまど/Witch's Oven》《幸運のクローバー/Lucky Clover》《創案の火/Fires of Invention》《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》など、放置したらゲームに負けるエンチャント・アーティファクトは多い。
しかし《自然への回帰/Return to Nature》のような限定された除去では相手の展開に依存しするため手札で腐るリスクもある。エンチャント・アーティファクトを対処しつつ相手に逆転させないほどのダメージを与えるのは《戦争の犠牲/Casualties of War》しかない。
またバントやスゥルタイで《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》後のシーソーゲームを打ち破る、スタンダードで一番わかりやすいゴール。
《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》の能力で回収して、《戦争の犠牲/Casualties of War》を連打すればランプ対決を制することが出来る。

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《寓話の小道/Fabled Passage》
墓地が貯まって、3色カウント出来て、アンタップイン。4枚推奨。

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《神秘の神殿/Temple of Mystery》
《疾病の神殿/Temple of Malady》
マナブースト+巨大なクリーチャーと2極化しているデッキなので、手札の土地に合わせて次のドローを選択できるのが大事。ただタップインで1ターン遅れる弊害もあるので、5-6枚に抑えた方が良い。
《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》が中心のデッキなので、全て緑マナ関連の占術土地にした。

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《神秘の論争/Mystical Dispute》
《否認/Negate》
《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》

《神秘の論争/Mystical Dispute》は強いカードで1マナで刺さった場面が記憶に残りやすいが、実際は同じくらい手札で腐る可能性もある。
バント、スゥルタイ、ジェスカイファイアーズに対してサイドインするが、良く起こるのが6マナで《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》をプレイされて《神秘の論争/Mystical Dispute》がほとんど意味のないカードになる場面だ。
それに加えてバント、スゥルタイは長期戦になりやすく、後半の《神秘の論争/Mystical Dispute》が無駄なドローになってしまう。
もちろん序盤は《神秘の論争/Mystical Dispute》の方が強いが、自分から長期戦を仕掛けていくスゥルタイが不確定の打ち消し呪文を使うのは矛盾に感じたため、《否認/Negate》を優先している。

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《見栄え損ない/Disfigure》
赤単アグロ専用のサイドボード。
赤単アグロにはライフを守るためショックランドをタップ状態で出したい。序盤のタップインの合間に1マナの《見栄え損ない/Disfigure》はプレイしやすく、動きが大振りなスゥルタイに合っている。《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》だと《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin》に間に合わない事が多い。
しかし肝心の《鍛冶で鍛えられしアナックス/Anax, Hardened in the Forge》《朱地洞の族長、トーブラン/Torbran, Thane of Red Fell》を除去できないため、他の除去との併用が必要。

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《肉儀場の叫び/Cry of the Carnarium》
《煤の儀式/Ritual of Soot》

マナブーストをすると序盤の盤面が弱くなるため、それを取り戻すための全体除去。
《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》を残したまま《煤の儀式/Ritual of Soot》というのが赤に対する勝ちパターンだ。
赤単アグロとラクドスサクリファイスはクリーチャーが並ぶほどシナジーが生まれるので、2,3体並んだらすぐに《煤の儀式/Ritual of Soot》を撃とう。

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《思考のひずみ/Thought Distortion》
打ち消されないため、呪文を手札に溜め込む青白コントロール、ティムール再生に劇的に刺さるカード。またバントランプはサイド後に呪文の比重が増えるのでサイドインする。

■サイドボーディングガイド

極端に不利なマッチアップ以外は、あまりメインのデッキ構成を変えない方が良い。
脱出パーツを減らして1:1交換するようなサイドカードを入れると、デッキのシナジーが減って勝ちきれないデッキに成り下がってしまうからだ。
土地が29枚だと1枚くらいサイドアウトしたくなる気持ちはわかる。しかしこのデッキは青青黒黒緑緑緑が必要で、マナベースは29枚でもギリギリなので土地は抜かないで欲しい。


・ラクドスサクリファイス
先手

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後手

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ラクドスはクリーチャーコンボデッキだが赤単ほどのスピードは無く、3マナ域が主体のデッキなので《思考消去/Thought Erasure》は良く効く。
《初子さらい/Claim the Firstborn》を抜くだけでも、その後の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》脱出がやりやすくなる。
先手はランプして自分のやりたいこと優先、後手は全体除去で相手を並べさせない。
《壮大な破滅/Epic Downfall》を入れたくなるが、リアクションカードが過剰になりデッキのシナジーを薄くしてしまい、尚且つ《死の飢えのタイタン、クロクサ/Kroxa, Titan of Death's Hunger》に対処出来ていない。
《霊気の疾風/Aether Gust》の対象は《波乱の悪魔/Mayhem Devil》《初子さらい/Claim the Firstborn》《死の飢えのタイタン、クロクサ/Kroxa, Titan of Death's Hunger》で合計12枚ほどだが、この3種類を1ターンずらす事で致命傷を防げる。
ただ基本的にラクドスは黒がメインのデッキなので《霊気の疾風/Aether Gust》を多く引きすぎると手札で腐るリスクもあるので4枚目を増やしはしない。

・赤単アグロ

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こちらが序盤に複数行動できないため、最も不利なマッチアップでメインはほぼ負ける。赤単は極端に不利なので多くサイドインする。
サイド後に目指すべきは最速で《煤の儀式/Ritual of Soot》《茨の騎兵/Cavalier of Thorns》にたどり着くことで、不利なのでこれらを探しに行くマリガンを行った方が良い。
赤単は入っているカードの質が均一で、2マナ域を抜いたら他の2マナ域となりやすいので《思考消去/Thought Erasure》はあまり活躍しない。


・バントランプ

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サイドはお互いが打ち消し呪文を構え合うゲームになるので、《思考消去/Thought Erasure》は4-5ターン目に2マナ構えながらプレイしたい。
重いカードを引きすぎると相手の打ち消し呪文の的になるため、少しずつ減らしている。《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》は《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》両方に弱いためアウト。
《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》の影響で《霊気の疾風/Aether Gust》はタイミングをずらされる事もあり、対象が《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》《伝承の収集者、タミヨウ/Tamiyo, Collector of Tales》《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》のみと狭いため、フル投入はしない。


・スゥルタイミッドレンジ

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お互いデッキ内のカードの強さが均一なので、手札破壊はあまり効果が無い。手札破壊が強い相手は、特定のカードに依存したデッキ構築であったり、マナカーブがバラバラのデッキに対してだ。
緑のカードが主体なので、《霊気の疾風/Aether Gust》は全て入れる。
手札破壊よりも相手のマナを払ったカードに打ち消しを合わせる方がマナ効率が良い。


・ジェスカイファイアーズ
先手

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後手

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先手はリアクション呪文よりも自分のマナブースト+巨大なクリーチャーのプランを押し通して行った方が良い。
後手は相手の《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》が通りやすいので打ち消し呪文を過剰にしない方が良い。また《義賊/Robber of the Rich》《軍勢の戦親分/Legion Warboss》のパターンを考えて、後手は《霊気の疾風/Aether Gust》を全て入れる。

・ティムール再生

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《霊気の疾風/Aether Gust》は一見良さそうに見えても根本的な解決になっておらず、《荒野の再生/Wilderness Reclamation》を出しなおされるだけでも意外とキツイ。
相手デッキの打ち消したい呪文はほぼ《発展+発破/Expansion+Explosion》のみなので、《否認/Negate》は大事に使いたい。
もしティムール再生を意識するなら《思考のひずみ/Thought Distortion》を増やそう。


・ティムールアドベンチャー
先手

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後手

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相手のマナカーブが軽く、《霊気の疾風/Aether Gust》したい対象が《僻境への脱出/Escape to the Wilds》しかない。それも次のターンに再度プレイされるだけだ。
スゥルタイの方がマナ加速に優れており5マナ以降のアクションが強いため、相手への妨害よりも自分のマナブースト+巨大なクリーチャーのプランを目指して行った方が良い。
《エッジウォールの亭主/Edgewall Innkeeper》に対する《霊気の疾風/Aether Gust》はマナ効率が悪く弱い。
《霊気の疾風/Aether Gust》と比較すると、《否認/Negate》は相手の出来事と《僻境への脱出/Escape to the Wilds》と《幸運のクローバー/Lucky Clover》(先手のみ)、打ち消せる範囲が広いためサイドイン。

・青白コントロール

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ティムール再生とほぼ同じだ。
《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》は《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》《エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death》に対して弱いだが、相手の《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun's Grace》《夢さらい/Dream Trawler》を考えると1枚は残した方が良い。
《戦争の犠牲/Casualties of War》は重いが、相手がエンチャントやプレインズウォーカーを並べてくるので通れば決定打になる。1枚もサイドアウトしない方が良いだろう。

・青白ブリンク

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青白系にも関わらず《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》が活躍するマッチアップだ。
《深海住まいのタッサ/Thassa, Deep-Dwelling》はターン終了時に対象を取る能力なので、《鎖を解かれしもの、ポルクラノス/Polukranos, Unchained》と格闘の3マナを残しておけばタッサを無効化出来る。。
エンチャントやプレインズウォーカーを並べてくるで、このマッチも《戦争の犠牲/Casualties of War》が鍵だ。7マナに到達させないことで《裏切りの工作員/Agent of Treachery》を防ごう。


■おわりに
Magicfest Onlineは来週も続く。この記事が予選突破の糸口になれば幸いだ。

それではまた。

高橋優太

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