シャドウバースの基礎を考える/ランプドラゴン解説。

年末年始、実家は暇だし皆ゲームしている頃だろう。
私もそうで、マジックアリーナとシャドウバースを毎日10時間やるような生活だ。最高!
特にシャドウバースの新弾「次元歪曲」は強力なカードが多く、デッキ構築意欲を刺激してくれる。

「氷獄の王・サタン」はその中でも一番のお気に入りだ。
出したターンの隙が大きいものの、その後のコキュートスカードは全体除去、ライフ回復、ドローと全て揃っている。
通常でプレイしたらコストが3倍かかりそうな、あり得ない程の強力なカードパワーで一気に逆転することが出来る。

まさかシャドウバースでマジックの最強呪文《Ancestral Recall》をプレイできるとは!ちなみにアンリコはお値段も最強で70万円!!!


今回の記事では私が考えるシャドウバースの基礎を述べると共に、グランドマスターになったデッキ「ランプドラゴン」を紹介していこう。

目次
■シャドウバースの基礎
■ローテーションによる変化
■ランプドラゴンとは
■各カード個別評価
■採用を悩んだカード
■おわりに


■シャドウバースの基礎
シャドウバースはフォロワーの横並べを目指すゲームである。
理由としてはフォロワーがフォロワーに攻撃できる、つまり除去としても機能するからだ。横並べは攻撃であり防御でもあり、除去よりもフォロワーの方が融通が利きやすい。
2コスト除去は先行ではほとんどプレイできないし、後手で相手が「竜の託宣」スタートの場合などにもプレイできないデメリットがある。反面2コストフォロワーには裏目が少ない。
除去は相手の進化フォロワーを破壊しやすいというメリットがあるが、相手が進化したのならこちらも進化で追って除去+多面展開を目指したい。

便利でも3枚採用とはならない。

2ターン目が大事なゲームだ。2ターン目パスはそのままテンポ負けして敗着になりやすく、2ターン目にはフォロワーを出せるデッキ構築を目指したい。
安定して2コスト域をプレイするためにも、感覚としては自分から動ける2コストが3スロット、つまり9枚は必要だ。
いかに低いコスト/もしくは0コストでフォロワーを横並べするかがこのゲームの焦点だ。テーマは違えど、この点はどのデッキにも共通している。

フォロワーの標準サイズは下記の通り。

1コスト 1/2、1/1メリット能力
2コスト 2/2進化時能力、1/3メリット能力、1/2メリット能力
3コスト 2/3メリット能力、2/2メリット能力

2コスト以上でタフネス1のフォロワーは損しやすい。相手の2/1/2がアドバンテージを取った上で相討ち、もしくは一方的に討ち取られる上に、1コストとも相討ちだからだ。
2/1/3メリット能力は優秀なサイズだ。相手の2/2/2とも相討ちが取れる上に、3/2/3にも1回の攻撃では討ち取られない。

4コスト以上でサイズが大きいだけのフォロワーは活躍しにくい。4コスト以上のカードは、相手のフォロワー除去+多面展開が求められるからだ。
「先陣の騎兵」が最たる例で、先手で弱く後手で強いカード。先手で4/3/4を出しても相手の「竜剣の少女・アイラ」「狂恋の華鎧・ヴィーラ」進化の良い的だ。
先行4ターン目は2コストフォロワー×2のような展開で相手の進化からの被害を最小にしたい。そういう意味でも「オルカの大渦」はどのターンでも横並べ出来る良いカード。

この進化権というのがシャドウバースの鍵だ。進化時ボーナスを使い盤面をより強固にして、相手に対応を迫ることで相手のベストなアクションを弱くすることが出来る。
いかに相手の進化を弱く使わせるかというのも重要だ。
7/4の「フラウロス」を作って相手が進化しても相討ちできる状況にしたり、フォロワーを「必殺」持ちにして進化で一方的に取られないようにしたり、「冥界の番犬・ケルベロス」進化により相手が進化しても全滅するような場を作ったりと言った具合にだ。
そのためには相手のデッキで使われているフォロワーを把握する必要がある。まずはたくさんのデッキリストを見て、相手のカードを知ろう。


■ローテーションによる変化
「次元歪曲」と入れ替わる形で、ローテーション環境から「星神の伝説」が落ちた。
それによる変化は以下の通り。

エルフ
「対空射撃」
「妖精の調べ」
「カシオペア」
ロイヤル
「クーフーリン」
「静かなる炎将・マーズ」
ウィッチ
「マジックオウル」
「精神統一」
「ギガントキマイラ」
「星見の望遠鏡」
ドラゴン
「スターフェニックス」
「原初の竜使い」
ネクロマンサー
「ベレヌス」
「アンドレアルフス」
ヴァンパイア
「絡み付く鎖」
「デビルシープ」
「スコルピオ」
ビショップ
「星導の天球儀」
ニュートラル
「純真の歌い手」

最も影響が大きいのは「純真の歌い手」で、どのデッキも序盤の安定性を失うことになった。

ウィッチの代名詞だった「ギガントキマイラ」はキーパーツが軒並み脱落したため、ウィッチ自体がスペルブースト型からマナリア型に移行。
ネクロマンサーは強力な2コスト域を失い、以前よりも「リアニメイト2」の効果が弱体化。序盤に難ありに。
ヴァンパイアは一番効率の良い自傷除去「絡み付く鎖」と「純真の歌い手」を失い、これまた序盤に難ありに。
エルフは横並べ戦略のパーツ2種を失った。

ロイヤル、ドラゴン、ビショップは上記4クラスに比べるとそこまで大きな損失ではない。
まとめると、序盤を安定させるカードが減ってしまったため3コスト以下のカード選定が以前より重要になった。
どのデッキも序盤の安定性を失ったことで環境が低速化し、7PP-9PPでの勝負になりやすくなった。

■ランプドラゴンとは

新セット後に私が使って一番勝率が良かったのがランプドラゴン。5000BPほど稼いでグランドマスターになることが出来た。
他のデッキが序盤のドローが減って安定性が落ちた一方、ドラゴンは大きな被害も無く「氷獄の王・サタン」「忌まわしき紫竜」により強化された。
以前からランプデッキは手札が尽きやすいのが課題だったが、「氷獄の王・サタン」という明確なゴールが見えたことと、「忌まわしき紫竜」により手札を大きく補充できることで弱点が克服された。
ランクマッチで当たる回数も最多で、紛れもなく現在トップメタのデッキだ。

初手キープ基準となるのは4種。上から順に優先度が高い。

「竜の託宣」
「斬竜剣士・ロイ」
「竜剣の少女・アイラ」(後手時)
「銀氷のドラゴニュート・フィルレイン」

まずはPPブーストを目指し、そこから高コスト帯による多面展開・全体除去を目指すデッキだ。
このデッキは初手に「竜の託宣」が有るか無いかで勝率が変わるので、上記4種以外は積極的にマリガンして行って良い。
「竜の託宣」を引かなかった場合は自分と相手の2コスト域を交換→3ターン目「斬竜剣士・ロイ」→4ターン目「活竜剣」+2コストがベストな動きとなる。
「竜の託宣」「斬竜剣士・ロイ」両方を引けなかった場合は「オルカの大渦」「ドラゴスネーク」を絡めて横並びによるビートダウンに切り替えよう。

「銀氷のドラゴニュート・フィルレイン」は特にエルフ/ロイヤル/ヴァンパイア相手に2/1/3の価値が高く、序盤を凌ぐカードとしてキープ基準に含まれる。
ドラゴンミラーでも「侮蔑」系のカードによりタフネス1が場に残りやすいので、それを討ち取る手段としても悪くない。

「ランプドラゴン」を組むなら40枚中32枚くらいは固定スロットだと考えている。あとの8枚をどう調整するかはメタゲームによって異なる。
それぞれのカード選択についても解説していこう。


■個別カード評価

「侮蔑の信者」はエルフ/ロイヤル/ヴァンパイア相手、こちらが後手で相手が1コストでスタートした時にはプレイしよう。相討ちで3点以上ライフを稼ぐことになるからだ。
それ以外のシチュエーションで1ターン目にプレイすることはほとんど無い。
2つとも軽くて使いやすいため1PP余っているとつい使ってしまうことが多いが、よほど盤面が不利でない限りはグッとこらえよう。
「侮蔑の従者」「ドラゴスネーク」「忌まわしき紫竜」「侮蔑の絶傑・ガルミーユ」とのシナジーにより、1コストでありながら3コスト以上の働きをするカードに変わる。
また「氷獄の王・サタン」後は1枚ドローの価値が非常に上がるため、「侮蔑の信者」は後半でも残したい。

後手で「竜の託宣」スタートだと相手の盤面展開に追いつけないことがあるので、相手のフォロワー破壊+PPブーストを兼ねた「竜剣の少女・アイラ」は後手で最もキープ基準になるカード。
先手時や後半のトップデッキが弱い欠点はあるが、序盤最も信頼できるカードなので3枚。

前述の通り、特にエルフ/ロイヤル/ヴァンパイア相手に2/1/3の価値が高い。この3つは2/1/1や2/2/1などのサイズなので討ち取ったうえで1/1が残るからだ。
ドラゴンはタフネス4以上に苦しむデッキでもあるので、相手の進化フォロワーを除去できる「銀氷の吐息」もその欠点を補っている。
序盤後半関わらず引いて嬉しいので3枚。

「進化時:1ドロー」と置き換えても良い。ランプデッキの性質上手札が付きやすいのでドローは必要。
しかしただの2/2/2になる瞬間も多く、ゲーム中1枚引けば2枚目は出す暇がないため2枚。

序盤ただの2/2/2と変わらないというデメリットもあるが、特に先手時は「必殺」により相手の進化で一方的に討ち取られないことがメリット。
3ターン目「斬竜剣士・ロイ」→4ターン目「活竜剣」「暴竜・伊達政宗」で相手の進化を弱くするのは良くあるパターンだ。
増え続けるドラゴンミラーマッチのキーカードでもある。例え「氷獄の王・サタン」を出されても盤面を全処理するカードパワーがある。
ドラゴンミラーは10PP後に「暴竜・伊達政宗」の枚数差でゲームが決まりやすいので3枚。

デッキの根幹で、初手キープ基準。2ターン目が1番リターンが高く、合計で7PP以上得をすることになる。
蝙蝠ヴァンパイア相手にはライフを守るために、PPブーストよりも盤面処理を優先することも多い。2コスト交換→3コストフォロワー→4ターン目に託宣+フォロワーというパターン。

2/2/2が基本サイズのシャドウバースで、手札消費を抑えつつ2/2/2を最大まで並べられる。
いつ引いても嬉しいため3枚。実は8コストでプレイすると「ポセイドン」よりもパワーの合計値が高い。
勝手にエンハンスするため「暴竜・伊達政宗」との相性は悪いので、8コストで「ポセイドン」を温存したい場合は「オルカの大渦」を優先しよう。

6割くらいは「活竜剣」をチョイスするが、ドラゴンミラーが増えている現在では6点除去になる「殺竜剣」も頼もしい。
5・6ターン目のチョイスが一番難しいが、大抵は盤面処理に追われるため「殺竜剣」が良い。基準としては先手5PPまでは「活竜剣」、後手5PP以降は「殺竜剣」と言ったところ。
「純真の歌い手」が落ちた今、序盤を安定させて初手キープ基準になるカードは多い方が良いので3枚。

「進化時:ドラグスネークを出す」と置き換えても良い。
順調にランプ出来た場合に最もマウントを取れるカード。特に先手で「竜の託宣」からの「ドラゴスネーク」に1点はほとんど勝ちになる。
ただしランプ出来ている/1点与えるカードがある前提のカードであり、単体のスペックとしては3/3/2は相討ちや除去の的として相手の2コストと交換になってしまう。
3ターン目にポン置きしにくく、後半勝手にエンハンスして2アクションの阻害をするデメリットもある。ゲーム中1回引けば良いカードなので2枚。

横並べが基本戦略のシャドウバースで、横並べ戦略を一網打尽にするカード。
1対3以上の交換をした上で、返しのターン相手は必ず「侮蔑の絶傑・ガルミーユ」を処理するためにPPを使う必要がある。
ドラゴン相手で相手が7PPになったら常に意識して、1対3以上取られないようにしなければいけない。環境定義とも言える強力なカードなので3枚。
ただしエンハンス7はそのターンの行動回数が減りデメリットになるシチュエーションもある。
6PPで「侮蔑の絶傑・ガルミーユ」+「侮蔑の信者」「侮蔑の炎爪」で進化兼使わずに盤面処理も良くやるので覚えておこう。
ドラゴンミラーマッチではゴールが「氷獄の王・サタン」なので、返しで「侮蔑の絶傑・ガルミーユ」で壊滅しても7PP使い切ってくれるならと割り切って盤面を差し出すことも多い。

なぜかターン1回制限が無いため、「侮蔑の信者」「侮蔑の炎爪」との組み合わせで6ドローですぐゲームに勝ってしまう。
また、今までドラゴンが手を焼いていた「狂恋の華鎧・ヴィーラ」進化に対しても、「忌まわしき紫竜」進化で一方取った上で2ドローができ、かつ相手は6/2を処理しなければいけない。
PPブーストすると手札が付きやすいという弱点も解決。さらには「暴竜・伊達政宗」との相性も良く、相手を除去した上で2ドローが付いてくる。

新セットで一番ぶっ壊れ性能のカードは、まさかのシルバーレア!
あまりにも強力すぎるため1か月程でナーフされると予想する。皆お気に入り登録しておこう。

序盤PPブーストによりライフを押される展開も多く、相手の疾走を防ぐ役割。
10PPでの「暴竜・伊達政宗」との組み合わせは強力で、ドラゴンミラーマッチはこのセット「ポセムネ」の枚数差になりやすいため両方3枚ずつ。
「銀氷のドラゴニュート・フィルレイン」と同じくエルフ/ロイヤル/ヴァンパイア相手に2/1/3の価値が高いためアクセラレートも良くする。
ドラゴンは4コスト以下でタフネス5になる進化が他に居ないため、相手の進化で4/3になった「マナリアの竜姫・グレア」「竜剣の少女・アイラ」を討ち取る為に3/5で進化する役割もある。

9コストで7/7なので横並びで押される状況に弱いカードではあるが、それを補って余りあるカードパワー。
このカードの登場により、コントロールデッキは弱体化したと考える。
例を挙げるとコントロールビショップや、リーシュナを軸にしたネメシス。
サタン関連の「サタンの眼光」「天握」「悪意の炎帝」がコントロールの狙う戦略をすべて破壊してしまうからだ。

最初は私も「アジ・ダハーカ」の方がテンポで勝てるし良いのでは無いかと考えていた。
しかしランクマッチをこなすうちに手札の「アジ・ダハーカ」が「氷獄の王・サタン」でないと勝てないシチュエーションが多いということに気づいてからは「氷獄の王・サタン」を3枚にするようになった。
対ロイヤルは「炎獅子の大将軍」「高潔なる騎士・レイサム」により強固な盤面を作ってくるので「氷獄の王・サタン」で逆転する力を上げたい。
対マナリアウィッチも、「氷獄の王・サタン」後は回復手段+全体除去で相手の「アンの大魔法」圏外になれる。
ドラゴンミラーマッチは「アジ・ダハーカ」よりも「氷獄の王・サタン」が逆転不能な状況を作る。
結局は高速で「氷獄の王・サタン」を目指すゲームになることが多いと判断し、3枚。

■採用を悩んだカード

「氷獄の王・サタン」をサーチするカードであり、サタン後は「貪り食うベヒーモス」「異端なる冥獣」をサーチするカード。
しかしドラゴンは他の2コストがとても優秀でどれも標準サイズ+メリット持ち。「蒼の少女・ルリア」は標準サイズ以下なのでほぼ8コスト運用となる。
ドラゴンの8コストは「ポセイドン」や「侮蔑の絶傑・ガルミーユ」+侮蔑と被るターンでもあり、ベストな動きを阻害するため不採用。

エルフ/ロイヤル/ヴァンパイア相手に強いカード。このカードの存在もあり今はタフネス1を使いたくない。
ただし1点ダメージを与えるのは強制なので、ドラゴンミラーでは相手の侮蔑シナジーを促す欠点もある。他の2コスト域より優先度が低いと判断した。
スペックは非常に高いカードなので、いつでも採用候補。

2コスト除去より2コストフォロワー優先。

「竜の翼」が使いやすく3コストの標準サイズ+メリット能力で「ドラゴスネーク」と悩む枠。
スペックは非常に高いカードなので、いつでも採用候補。

前環境では蝙蝠ヴァンパイアがトップメタだったため、ライフ回復枠として採用されていた。
蝙蝠ヴァンパイアは序盤2種を失ったことで以前ほどの使用率では無い。
また「忌まわしき紫竜」の登場により同コスト域である「白亜の竜騎士」は居場所が無くなってしまった。

「斬竜剣士・ロイ」と違い重くて初手キープ基準にもならず、また覚醒するとただの5/5なので7PP→9PPへのブーストも出来ない。
「氷獄の王・サタン」前提では7PP→9PPは重要なので不採用。

上手くいけば7コストで3面展開や除去になるが、ランダム要素が絡むため不安定。

6点火力。サタンでコントロールするゲームプランの方向性の違いから不採用。
重いカードを増やしすぎると手札事故の原因にもなるため、「氷獄の王・サタン」と合わせて最大4枚くらいが限界。
特に蝙蝠ヴァンパイア相手は「アジ・ダハーカ」でダメージレースしないと間に合わない展開も多いので、検討する枠。

■おわりに
ALT新環境は面白く、まだまだ知られざるデッキがあるだろうしメタゲームの推移も楽しみだ。
私も今後はJCGに積極的に参加して、自分の理論の答え合わせをして行こうと思う。

読んでくれてありがとう。ではまた。

高橋優太

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