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武富士社員が司法記者クラブに潜入

 2003年5月27日、山岡俊介氏(ジャーナリスト)が武富士と武井保雄同社会長を電気通信事業法違反(盗聴)容疑で警視庁北沢署に告訴し、3日後(5月30日)、弁護士会館(東京都千代田区)で記者会見を開いたこと、その記者会見に板井健太郎同社広報部社員が「学生」などと身分を偽り参加していたことは、〈宇都宮健児弁護士が驚いた武富士と記者クラブの闇〉に書きました。

 実は、この板井社員は東京地裁・高裁の司法記者クラブの記者会見にも潜入しています。

 2003年9月22日、山岡氏に盗聴の事実を内部告発した中川一博元武富士法務課長の弁護士が司法記者クラブで記者会見を開きました。筆者も含むフリーランス数名も記者会見に参加しました。ただし、司法記者クラブは1990年代からフリーランスの記者会見参加を黙認していたため、事前申請などはしていません。

 板井社員が潜入していることに気づいたフリーランスの野田敬生氏(元公安調査庁キャリア)が筆者にささやきました。

「中川元課長の弁護士は武富士の社員がいることを知らない。これはいくらなんでもマズいのではないか」

 そこで、野田氏が挙手して発言することとなりました。

「武富士の社員が無断で入っています」

 このとき、司法記者クラブの幹事社、共同通信の記者が放った言葉は今でも忘れられません。

「あなたたちも無断で入っているでしょう」

 フリーランスらは「自分たちは取材で来ている。武富士は情報収集だ。目的が全然違う」と抗議します。

 結局、その場で共同通信の記者(写真左)が板井社員(同右)に事情を聞きました。

板井健太郎

 同日、司法記者クラブは総会を開き、武富士に抗議したとのことです。

 武富士がふつうの東証1部上場企業とは、ひと味もふた味も違う会社だったことが、当時を知らない人にも理解していただけるエピソードの1つだと思います。

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