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飛田友宏元教諭が記事の削除を求める裁判(2) 「取材・報道の自由」を脅かす名誉毀損裁判の実態!

〈横浜市が性暴力教諭の懲戒免職を隠蔽〉の記事について、何者かがnote株式会社を相手どり、削除を求める裁判を提起していたことは、私は、2023年4月20日にnote運営事務局の羽鳥氏からのメールで知らされた。

 翌21日、私は自分がnoteで運営しているメンバーシップで、〈【重要】「横浜市が性暴力教諭の懲戒免職を隠蔽」の記事が削除されるかもしれません〉と題する記事を公開した。以下、全文を転載する。

 昨日(4月20日)、note株式会社から連絡(メール)があり、「この度、寺澤有さまが投稿されているnote記事に対して、権利が侵害されたと主張される方から裁判所に対し、弊社を相手とってその投稿記事の削除を求める民事保全命令の申立てがなされ、裁判所で審理中です」とのこと。

 当該記事は「横浜市が性暴力教諭の懲戒免職を隠蔽」(以下URL)。
https://note.com/yuterasawa/n/n70872d86b044

 なお、従前、本メンバーシップのメンバーには、以下URLで無料で当該記事を公開しています(記事公開時は、「メンバーシップ」ではなく、「サークル」という名称)。
https://note.com/yuterasawa/membership/boards/a3e6fcd8b63f/posts/830e9d73f89b

 昨日来、全力で対応していますが、最悪の場合、近日中に当該記事が削除されます。

〈自分たちに都合の悪い事実を隠蔽しようとする勢力〉には、強い憤りを感じます。

 しかし、ジャーナリズムを実践していれば、このような邪悪な連中との対決は避けられません。ジャーナリズムが乗り越えなければならない試練といえます。

 そこで、読者のみなさまには、以下の2点をお願いします。

(1)削除請求されている記事「横浜市が性暴力教諭の懲戒免職を隠蔽」を拡散し、より多くの人に読んでもらい、事実を知ってもらうこと。

(2)削除請求されている記事「横浜市が性暴力教諭の懲戒免職を隠蔽」の購入を他人にすすめたり、同記事にサポートしたり、『インシデンツ』のホームページで投げ銭(以下URLを参照)したりして、〈自分たちに都合の悪い事実を隠蔽しようとする勢力〉による、「フリーランスを裁判費用で金銭的に疲弊させて目的を達成する」という邪悪なたくらみを粉砕すること。
http://www.incidents.jp/nagesen.html

 本件については、随時、情報を提供していきます。

 この記事は4月24日夜に旧知でネットに詳しい山下幸夫弁護士にも読んでもらった。そして、メッセンジャーで以下のように質問した。

〈note株式会社には、こちらが「相手方の主張を明らかにしてほしい。当方は記事削除に同意しないので、反論し、証拠を提出する」とメールしているのですが、いまだに何の連絡もありません。相手方が誰かもわからず、どのような権利が侵害されたと主張しているのか不明な現状で、反論のしようがないというのが実情です。こちらから裁判所に、直接、反論の書面や証拠を送ることはできないでしょうか〉

 山下弁護士からはメールで以下のような回答があった。

〈添付の「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」によると、発信者に対して、照会書が送付され、7日以内に回答することとなっており、その照会書には、「侵害されたとする権利」「侵害されたとする理由」が記載されることになっています。ガイドラインの50頁を参照してください。note株式会社には、この照会書を送付するように請求してください。なお、仮処分はnote株式会社に対して申請されており、寺澤さんは当事者ではないので、裁判所に問い合わせても回答してもらえません〉

 翌日(4月25日)10時20分、私は以下のメールをnote運営事務局へ送った(全文)。

――――――――――――

羽鳥様

 昨夜、当方の弁護士に相談し、「note株式会社には、『プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン』(添付ファイル)の50ページ掲載の照会書を送付するように請求してください」と指示を受けました。

 本日午前中までに送付してください。

――――――――――――

 約1時間半後の11時46分、羽鳥氏から「大変お待たせいたしました。本件につきまして、削除請求をしている方の代理人弁護士から、添付のとおり、マスキングした申立書の写しを提供されましたので、転送いたします」とするメールが届いた。

 記事の削除を拒否する理由や証拠については、「5月8日を目処に、お知らせください」となっていた。さすがに、当初の回答期限の4月25日に記事の削除を求めている相手方の情報を伝え、当日中に回答させるというのは理不尽すぎると判断したのだろう。

 さらに、メールには、相手方の弁護士からの連絡として、以下の記述があった。

〈本件は、仮処分(民事保全)手続であり、通常の訴訟とは異なり「非公開」ですので、申立ての内容その他本件に関する情報を、インターネットその他の媒体を用いて第三者に向け発信する行為はお控えいただくようお願いします〉

 自分が「取材・報道の自由」を脅かすような裁判を提起しておきながら、「それを公表するのは控えてほしい」などというのは、考え違いもはなはだしい。

 メールに添付されていた「削除仮処分命令申立書」を見て、驚いた。「権利を侵害されたとする者」、すなわち、記事の削除を求めている者が飛田友宏元教諭であること、その代理人が櫻町直樹弁護士であること、「侵害されたとする権利」が名誉であることは判明するのだが、「権利が侵害されたとする理由」は、参照条文以外、全部黒塗りなのである(下掲画像。ただし、該当部分以外はモザイク処理している)。

 相手方が、記事のどの記述が、どういう理由で名誉毀損だと主張しているのかを知らされずに、記事の削除を拒否する理由や証拠を知らせろというのである。これを「無理ゲー」(クリアするのが無理なゲーム)といわずになんといおう。

※「取材・報道の自由」を守る戦いを支援していただける方は、下記の「気に入ったらサポート」をクリックするか、インシデンツのホームページから投げ銭をお願いいたします。戦いの勝敗は軍資金の多寡で決まるといっても過言ではありません。

大きなスクープを期待する読者には、大きなサポートを期待したい!