おそ松さん二期が本気出してるのに観るべき人たちに伝わってないかもしれない、お笑い好きとか浦沢義雄先生好きとか…

※一期のブームと二期からのヤバさについて途中まで書いていたら、どうやら二期があまり奮ってないようで、もったいないなぁと思いつつ、そもそも最近のアニメのブームというかサイクルが早いという意見を見たり、私の視点では視聴対象層が完全に脚本家の松原秀氏(1981年生まれ)より年上になっている気がするなぁと思ったりしたのだが、当初の予定通り二期から思っていることをそのまま書いてみた。

おそ松さんのブームに違和感を抱いていた私

おそ松さんーかわいらしい絵柄、人気声優さんの起用により、女子中高生や若い女性をメインに一大ムーブメントを起こした作品―そんな印象をお持ちの方は多いと思う。私もブームに辟易しつつ、一期を面白く観ていた。だが胸の内にモヤモヤがあったのだ。「なんでこんな形のブームになっている?」と。

おそ松さん二期1話がすごかった件

これは私の過去ツイートの転載である。長いので既に読んだ方は読み飛ばして構わない。

おそ松さんについて、若い女性を中心に一大ムーブメントが巻き起こったとき、私は「おそ松さんが好きだ」と周りに言えずにいた。私と近い年代の知人も同様に、ブームにひいていた。
私は30代中頃のおばさんである。若い女子たちを中心としたブームは、本来のギャグアニメとしての消費よりは、キャラクター萌え、中の人萌え、腐などの目線で捉えていた人が多い印象だった(勿論ギャグアニメを前提としてのこととは思うが)。おそ松さんをただのギャグアニメとして捉えているおばさんが「おそ松さんが好きだ」と素直に言い出せる雰囲気ではなかったのだ。
それを受けてのおそ松さん二期である。先に述べた、ギャグアニメとしてではない消費のされ方を中心としたブームに対して、「見事なまでのカウンターパンチを打ってきた」と言うのが第一印象である。
ブームを逆手に取り、徹底的に玩具にする。作中では、ブームによって富と名声を得て、デブ・不細工化(それ以外もあるが)したおそ松兄弟と、金の亡者と化した両親や周辺キャラクターが徹底的に若い女性たちからお金を搾り取る光景が繰り広げられていた。この描写を見て、揶揄されている側の女性たちはどう感じたのだろうか?松クラスタの方によると、彼女たちは喜んで殴られていたそうである。松クラスタが強いのか、制作側が上手くやったのか、私には判断できないが、彼女らが喜んでいるならそれでいい。
制作側が徹底的にブームに対するカウンターパンチを放ったことにより、ブームを引いた目で見ていた私は安堵した。今日から私は「おそ松さんが好きだ」と堂々と言って良い、そう公式から認められたような気がした。いや、認められるとか認められないとか勝手に余計なことを考えてる方がおかしいんだけどね?
そして、作中でブームにのって結局ダメになったおそ松たちは考えを改める。「ちゃんとしよう」と。そこからの展開は徹底的なパロディの連発である。パロディをやり過ぎて封印された一期一話を払拭するかのごとく、直接的な描写を避け、ぼんやりと、しかし確実に察することができるパロディの波状攻撃である。まさに"ちゃんとしている"と言えよう。
そして、オタクとしてはそのこだわりと予算のかけ方に思いを馳せざるを得なかった。"ちゃんとした"3DCG、"ちゃんとした"メカ、これらはどうやら専門的なスタッフが招集され、"ちゃんと"制作されたようである。お金がかかっている。メカはOPでも使われていたが、今後も出番はあるのだろうか。もし使い回しをせず、この一回のためだけのものだとしたら正気の沙汰ではない。え、使い回すよね?ロボの方はテーマソングまであるし、また使うよね?と勝手に心配してしまう。
さらに番組の構成についてだが、CMを挟まず一気に話をすすめ、そのままOPに突入という荒技である。やっと入ったCMもおそ松さん絡み(BSにて視聴)ばかり。そしてCM後にEDと次回予告。なんだこれは。プロデューサーや偉い人たちはこの構成を許可したのか?こんなやり方初めて見たぞ?(追記※どうやら一期一話もそうだったらしい。ニコニコ配信版で見たので気づかなかった)でも大正解だ。大正解だと思う。なんだこれ。
とにもかくにも、してやられた感がある。2話目からは、一期と同じニートたちのギャグアニメが続くのだろう。同じ…?いや違う。一期もパターン化されたニートの日常アニメではなかった。6つ子たちのキャラクター設定がぶれることは少ないが、パターンに縛られない変化球の回がたくさんあった。チキチキマシンのパロディ、北斗の拳のパロディ、実松さん…挙げればきりがない。
おそ松さんが戻ってきた。この戻り方以上の正解はないと思う。なんでこんなこと考えつくんだ?そしてそのとんでもないアイディアを実行に移せたのは、他でもない、カウンターパンチを喰らった女性たちから巻き上げたお金のおかげである。
書いていて頭が痛くなってきた。誰だ、誰が戦犯だ?藤田陽一監督か?脚本の松原秀氏か?スタッフ全員?プロデューサー?我々は彼らの手の平の上で踊らされ続けることが確定した。そんな一話だった。

実際にブームを巻き起こした腐女子の方の反応

上記のツイートをご覧になった腐女子の方から、いくつか好意的なRTとメッセージを戴いた。「よくぞ言ってくれた」「我々のせいでおそ松さんが正常に評価されていないことに申し訳なさを感じる」という意味のメッセージだった。

おそ松さん二期がヤバい

私は腐女子ではない、過去はお笑いオタク、小さな頃から現在に至るまでギャグ漫画好きである。この立場から、”おそ松さん”を語らなければと思った。おそ松さんの監督、藤田陽一氏や脚本家兼シリーズ構成の松原秀氏のインビューが載った雑誌を買いあさり、二期がやべぇぞ!という確信を得た。実際ヤバい。

先のブームにより、潤沢な予算とどれくらいやってもOKかの見極めができている、たぶん制作会社のお偉いさんや放送局のお偉いさんも緩くなっている。そのため、アニメという表現媒体でできる限りの赤塚イズムと藤田&松原タッグの恐ろしさがいかんなく発揮されているのだ。これはヤバい。だって2話で六つ子の内臓が丸出しになる話とか狂気しか感じない。アニメでしかできない。無理。3次元で再現不可能だし、できたとしても映像としてアウトでしょ。アニメじゃないとできない。そして、内臓が丸出しって、赤塚先生っぽい。赤塚先生の作品に関しては、狂気じみた作品を集めたコンビニのまとめ本(バカボンのダルマの回とか載ってる)を読んだくらいで、おそ松くんはアニメの平成版おそ松くんしかみたことないが、これは赤塚先生っぽい。よく分かんないけどぽい。

なぜこんなにヤバいのか。藤田陽一監督と脚本家松原秀氏について

藤田陽一監督は、あの(と言われても困るかもしれないが)キンプリの菱田正和監督の下で演出家デビューをし、高松信司監督の下で銀魂の監督を経た後、単独で監督を引き継いだ人である。もうそれだけでヤバい。ヤバい監督二人の下で経験を積んでしまっている。若くして銀魂という売れ売れコンテンツの監督をやってしまっている。こんな人ヤバいに決まっている。決めつける。メタネタとパロディのノウハウは完璧である。

松原秀氏はナインティナインのオールナイトニッポンのはがき職人を経て、お笑い芸人を目指した後放送作家になり、のちに銀魂の脚本を手がけるという、アニメ業界では異色の経歴の持ち主である。もうお笑いの人じゃん。専門家じゃん。アニメとかもう関係ないとこですごい人じゃん。

そしてこの二人は世代的にいわゆる平成おそ松くん(アニメ第2弾1988年~1989年)の世代である。浦沢義雄先生の脚本である。お察しである。そして、銀魂のシリーズ構成は浦沢義雄先生の直弟子の大和屋暁氏である。全ての道が浦沢義雄先生に通じている。お察しである。受け継がれる狂気である。

この二人のタッグといえば、NHK教育のクラシカロイド一期が一部で有名であるが、そっちまで紹介するとグダグダになるので(すでにグダグダじゃねぇかと言われたら謝るが)、とりあえずこの二人が組むと狂気の作品ができるという認識をもってくれさえすればいい。クラシカロイダーという、カブトボーガーのようなやばいファンがいると思ってくれれば良い。カブトボーグが分からない人は全52期、一期1話完結なのでどこからでもいいので観てください。

二期はもうやりたい放題

ニコニコ配信のコメントなどを見ると、二期で振り落とされている人が少々いるように見える。逆に私は二期やべぇなと思っている訳で、この辺りはもう全力で走りつつ一応後ろをチラ見してくれている制作陣について行けるかどうかである。

だってもうジュリーとか城みちるとか、若い人元ネタ分かんないやつじゃん。松原氏と同い年の私ですらついて行くのがやっとじゃないですか。一期もなかなか古いパロディはあったけど、チキチキマシンとかは一周回って若い人たちが新鮮に感じるネタかなって思いますけど、ジュリーは違うじゃないですか、元ネタ知らないとポカーンじゃないですか。誰にむけてるんですか。

そして、二期からは下ネタに関してのチェックがガバガバである。一期では女性プロデューサー(音楽プロデューサー。エイベックスの西さん)のチェックがあったようだが、雑誌インタビューによると「言っても聞かないから諦めました(要約)」とのことである。あーあー、やばい人たちについてた手綱がとれちゃってるじゃないか。げんし松さんがひどいのはこのせいか。

とにかく観てください。特にアラフォーより上の人

おそらく、二期がより理解できるのはアラフォーかなと思っている。男女は問わない。「お笑い第三世代」って言われて、あー、ってなる人が特に向いてる気がします。たぶんですが。

長くなったんでこの辺で雑にしめます。私が書けるのはここまでです。観てください。


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