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第5回BBC読書会 きたやまおさむ『「むなしさ」の味わい方』

2024年4月28日、第5回めとなるBBC読書会を開催しました。
課題本はきたやまおさむ「むなしさ」の味わい方。参加者は店主含め6名でした。

元フォーク・クルセイダーズのメンバーにして精神科医、現在は白鵬大学の学長も務めている著者が「むなしさ」は何故発生するのか、「むなしさ」とどう付き合っていったらいいのかを専門知識を交えながらエッセイ的に綴っている一冊です。
フォーク・クルセイダーズをリアルタイムで聴いていた世代とそうでない世代ちょうど半々のメンバーで語り合いました。

出た感想としては、
「主観や体験ベース、言葉遊びのような連想ゲーム的に綴られてる部分も多く学術的な側面は薄いけどフロイトの精神分析や神話や日本語の語源など日本人の深層心理を根拠として展開していくのが興味深い」
「「おわりに」で著者がそれまで自分が被っていた仮面を脱いで慟哭する様に胸打たれた。地位や名誉もある人がここまで心情を吐露することがショックだったけど、そのむなしさの付き合いかた、なじませ方を自ら体現してくれたと感じた。この本は著者自身にとってのヒーリングでもあったのかなと感じた」
「ツッコミどころが多く物足りなかった」
「加藤和彦に思い入れがあったからどんなことが書かれているのか期待していたけど通り一遍のことしか言及がなかった」
「ネガティブ・ケイパビリティという言葉を思い出した。曖昧なものに耐える力や答えがでないものをそのままほうっておくこと、それを日本人向けにわかりやすく書かれていると感じた」
「これまであまり意識したことがなかったむなしいという言葉自体をはじめて意識した」
「むなしいと心の中で言ったことがないと気付いた。それは間を埋めるツールが世の中にあふれているからかもしれない。むなしいを実感できたことがこの本を読んだ収穫だと思った」
「GW前に読めてよかった。自分は連休の予定を埋めたい傾向があり、そのため連休があけると5月病みたいになる。最終日に何をしないというのが大事。今回は最終日何も予定を入れないでかみしめようと思った」という実践的な意見もありました。

「自分はむなしさを感じることはたしかにあるけどそれを「味わう」という言葉がすごくいいと思った」
「精神分析の先生として苦労して書かれたのではと感じた。読みづらいと感じる部分もあった。本や作品の紹介も多く参考になった」
「たとえに出てきたものが自分に親しみがあるものだった」
「言葉にたいして丁寧に考えていると感じた」などのさまざまな感想が聞かれました。


一通り感想を述べあった後、気になったトピックについて掘り下げて話しました。
例えば「むなしさを味わうことができているか?」「具体的に味わうとはどういうことなのか」。
30代の3人からは「ついスマホをみてしまう」「ぼーっとするということができないと感じる」という意見がでましたがフォークル世代の3人は「じっとすることがむなしさを味わうことだと思う」「電車での移動中など何もせずに過ごすことができる」とおっしゃっていて世代間の違いを感じました。

それから本文118ページのあたりで二面性を知って幻滅することが喪失になるという話題があったのでそれに関連して「二面性を知って幻滅をした経験があるか?」という話題になりました。
それに対しては「漫画のキャラの二面性に拒否反応を示す人がいる」「芸能人やスポーツ選手など自分が推している対象に幻想を抱いてしまってそうじゃなかった時にショックを受けたり攻撃をしたりする人がいる」「二面性があったとしても人間二面性どころじゃなくいろんな側面がある。いいところもあるはずだからそういうところを見るようにする」といった意見がでました。

また、母から離されたり間が生じてもスマホを渡されて過ごしている今の子供たちは喪失を知らないんじゃないのか、喪失を知った時にはどうなってしまうのかについても話しました。
人類がみな喪失の痛みを感じる部分をなくす手術を受けるディストピア小説があったら読んでみたい、という意見に対して『すばらしい新世界』がそれに近い、という意見や『アルジャーノンに花束を』を思い出した、という人もいました。

少々重たい話しになったので喪失の痛みに耐えられない人に対して何か処方箋がないか、と問いかけたところ「間が生じてもそれを自分にとって実になる時間に変えるように心がける。自分の問題、と意識して改善しようとする努力が必要」という意見が出て、確かに、と思わされました。

その他、本文中130ページあたりに出てきた「沼」という言葉がしっくりこないのでどう言い換えるか、どう捉えたか、という話題にもなりました。
「原石のようなものだと思う。自分で磨いてダイヤモンドや宝石にしていくもの」という意見や「千葉雅也さんの『勉強の哲学』に出てきた決断主義ではなく決定を仮に固定しておく、という考え方を思い出した」という発言がありました。
著者の言っている言葉にしっくりこなくても自分の立場に置き換えて言葉を出し直す、考え直すということができるのもこの本の良さだったのでは、という気づきがありました。また、いろんな人の意見が出たからこそ気づくことができて読書会らしい題材だったと感じました。

最後は次回の読書会の予定も決めました。

課題本:『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)
日時:6/29(土)18時〜
場所:ゆとぴやぶっくす

ご興味ありましたら専用フォームからコンタクトをお願いいたします。

また、今回の読書会の延長戦用掲示板もメンバーシップ内に作成しました。
参加したかったのにできなかった人、参加したけど話しきれなかったことがある人、後から思いついたことがある人、もしよろしければご利用ください。


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