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国の会計予算と今後の働き方について考える


つい先日、2018年度の政府の一般会計予算案が各メディアで報道されていました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24952040S7A221C1MM0000/

17年度から6年連続で過去最大を更新し、一般会計予算は97兆7128億円になるそうです。

景気回復を追い風に税収が約1兆4千億増加して59兆円790億円となるものの、まだまだ、収入と支出の差は大きく、国債の発行も33兆円と相変わらず高水準です。

日本の国を維持するために毎年、およそ100兆円が必要なわけですが、
実際に税収は60兆円あまりしかなく、40兆の不足は国債を発行するなどで
赤字補填をしています。

この年々積みあがる国の借金に対しては、問題ないという見解もあり、
詳細はなかなかわからない部分もありますが、リスクとして指摘されているのは、日本円に対する信頼性の低下による円安、そして過度なインフレです。

加えて、日本経済の成長と将来的な税収増を期待してここ数年、日銀は異次元金融緩和による国債の発行、マネーサプライの増大を行っています。

これだけお金の流通量が増えたにもかかわらず、これまでの1万円が今後も同じように1万円の価値を維持するのか、というのは素人感覚として単純に不安を感じます。

日本の支出のうち、高齢化に伴い、医療費の増大が懸念されていましたが、
こちらは診療報酬改定、外来数、ベット数のコントロールにより抑制の見通しは立ってきているようです。

一方でまだ抑制の見通しが立っていないのが年金です。
これまで65歳になれば一律年金が支払われる仕組みでしたが、日本の人口構造の変化に伴い、年金の財源となる保険料を支払う現役世代の数は減り、反対に、給付を受ける65歳以上世代の人口が加速度的に増えていきます。
収入と収支のバランスが崩れるため、これまでの制度設計では成り立ちそうにありません。

私は社会保険労務士の資格をもっていて、その際に年金制度のことも勉強したのですが、年金にはマクロ経済スライドという、給付水準をコントロールする仕組みが入っています。

収支のバランスをとるために、今後も保険料を増やしたり、支給額を減らすことが十分に考えられますが、それ以上に抜本的に解決するには、支給対象者を減らす(支給開始年齢の後ろ倒し)対策を取らざるを得ないと言われています。

現在働き方改革といわれる流れも実はこの戦略に沿っています。
元気でまだまだ働ける高齢者はこれからどんどん増えていきますが、国もそれを後押ししていくことになるのは間違いありません。

・働き方改革による介護や育児、共働きの支援
・高齢者の就労支援
・予防医療、重症化予防などの医療のアプローチ

を国が企業に働きかける仕組み・制度が増えていくのではないでしょうか。

採用、雇用に対しても上記の流れにそって、新卒一括採用の廃止、解雇規制の緩和が進むと考えています。

新卒を一括採用し、終身雇用をする形はまだまだ価値観としても、そして制度としても残っていますが、このシステムは、転職や起業など、そこから外れることのリスクを高め、個人がレールから外れることを躊躇させてきました。

そのことが、成長する産業に人が動きにくく、人材一人あたりの生産性が高まらず、ひいては税収を減らすという負の側面を近年目立たせる結果となっています。

また、いったんレールから外れてしまうと、厚生年金から外れる、給与待遇条件が落ちるなど、社会保障からこぼれ落ちて社会の格差を増大させる結果にもなっています。

これら貧困層・格差の増大は当人、家族だけが大変なのではなく、社会の不安定化にもつながり、すべての人にとっても不幸にもつながります。

私がリクルートにいた際は、企業の成長、それから個人の幸せの観点から、
就職、転職市場の活性化、適正化を支援するというのが仕事の存在価値でした。

個人が望むキャリアを自由に選択できる社会は豊かではないか、
働き方も多様であるべきでないかというのはもちろんなのですが、
国全体の福祉の制度疲労の解決という側面からもそのことが求められるようになったとも言えます。

国全体が今後どのようなシステムの構築を目指しているか、
動きをよく観察し、足元の自社の方向性を考えていかねばと感じます。

私が社会人のスタートをきった頃は、ネット環境が整ってリクナビが台頭し、就職活動は一覧化された情報の中から会社と個人がお互いに比較検討して選び合う環境が定着しました。

これからは、一律に比較できる、ある種効率のよい仕組みを続けていくのは難しいかもしれません。組織も一つのルールで単線型のキャリアを用意しても足りず、いろいろな働き方、場合によってはいろいろな人種、年齢の人材も許容する仕組みづくりが必要になってきそうです。

マネジメントはより複雑さと個別対応が求められ、直面する課題に、前例ではなく、つどつど新しい視点でどう対処していくかを考えないといけないでしょう。

国の社会システムの変革期という意味で、大変ではありますが、
面白い時代が来ていると感じます。

来年も、どうぞよろしくお願いいたします!

2017/12/23 VOL90                                                                                                 sakaguchi yuto

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