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女性もキャリアを中断せず働き続けることが当たり前。だからこそ、専門性を高めたいというニーズがある

今、20代の女性のキャリア支援を行うプロジェクトを行っています。

最近は子どもがある程度の年齢になるまで短時間勤務ができたり、リモートワークや時間単位での休暇取得など、柔軟に働き続けられる体制が整ってきましたので、正社員のまま働き続けるということがかなり当たり前の価値観として浸透してきたと思います。

そういった背景がある中で、今回20代の若手女性とプロジェクトの中での研修やインタビュー調査を通じてわかってきたのは、彼女たちが、将来を見据えて自身の専門スキルを高めたいというニーズが強くあるということでした。

考えてみれば当然のことかもしれません。

以前は結婚出産後に仕事を辞めてしまうか、あるいはアルバイトやパート勤務になることで、自身のキャリアを中断してしまうことが多くありましたので、やりたいと思う専門スキルを極めていくという願望を持つこと自体を諦めてしまったり、そういうものだと社会の役割意識を内在化していたところがあったように思います。

しかし、今はキャリアを中断せずにライフイベントと両立しながらキャリアを継続していくことができます。よくも悪くも自分がどんなキャリアを歩みたいか考えざるを得ないという状況になったのではないでしょうか。

自身の望む生活との両立を図るためには、自身の専門性を磨いておくことが必要です。たとえばWEBデザインのスキルがあれば、子育てしながら在宅で仕事を受けることができるというように、将来希望する働き方が選択できるような自分でありたいと考えているのです。

このような背景から今回のプロジェクトで見えてきたのは、若手女性のキャリアに関するニーズを把握することなく、専門性の必要ない補佐的な仕事をさせ続けることや、キャリアを分断させるような他部署への人事異動を行うことで、キャリアの見通しを失わせ、意欲ある若手女性の離職につながっているということでした。

女性活躍推進、ダイバーシティ&インクルージョン施策は今、多くの会社で重要視され、取り組みが始まっています。しかし、その施策の内実をみると、先に述べたような、働きやすい環境整備に打ち手が留まっているところが多いように思います。

実際のところ、意欲ある女性に活躍してもらうために必要な着眼点は、働きやすさを高めることそれ自体ではありません。働きやすさが高まったことによって変わってきた女性のキャリアのニーズを理解し、それに応えることであると考えます。

単的に言うと、成長支援をできるかということになります。

15年ぶりに熊本に戻るようになって、求人マーケットがずいぶん変わってきたことを痛感します。以前は求人誌や店頭で「パート・社員募集中」の張り紙で募集されていたような求人職種が、リクナビNEXTのような正社員求人媒体、そして人材紹介会社にて募集されているのを見かけます。

正社員として働き続ける女性が増える中、これまでパートやアルバイトでそうした女性をあてにしてきた会社は苦戦しているのではないでしょうか。

今後、労働力人口がさらに減っていく中で、女性を支援するというよりも、可能性に着目し、積極的に活躍してもらうという戦略は重要になるはずだと注目しています。

また来月もよろしくお願いいたします。

2024/3/22 VOL159                             sakaguchi yuto


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