見出し画像

決意表明

看護師になりたい。
目の前の患者さんにまっすぐ向き合える看護師に。


周術期の患者さんを受け持ったとき。
その人は思っていることをなかなか話してくれなかった。毎日挨拶をして、体温や血圧を測りながら話をして、何もないときも部屋に行って話をするようにした。沈黙が続いてもその時間ごと大切にして、ただ側にいた。何もしないで側に居続けた。実習も終わりに近づいたある日、ぽつりとその人が本音を話してくれた。初めて聞いた、患者さんの本心。

初めて小さな子を受け持ったとき。
最初は目も合わせてくれなかった。表情も強張っていて、私だけじゃなくてこの子も緊張してるのかな、なんて思った。毎日「おはよう」と声をかけて、1人にならないように一緒に遊んで、暇にならないように塗り絵を印刷して持っていった。少しずつその子は私と目を合わせてくれるようになった。声を上げて笑うようになった。
受け持ち最終日。前日に「明日でここに来るの、最後なんだ。明日もよろしくね」と言っていたからなのか、着替えを手伝っているとき、その子は私に抱きついて離れてくれなかった。私のつけていたフェイスシールドをわざと外して、その子はケラケラ笑っていた。私も笑いながら、どこか泣きそうになっていた。


小児看護をしたいと思ったのは、授業で聞いた一言だった。看護師が、子どもにとって唯一の友達になり得るということ。
子どもは大人より人生経験が少ない。関わる人も少ないから、友達だって大人より少ない。
苦しい治療に向き合うときの“武器”が少ないからこそ、治療が終わってからの人生が長いからこそ、孤独であってはならないと思う。
たとえ物心つく前だとしても、自分に寄り添ってくれた人がいたのだという経験はきっとその子の武器になる。


私は看護師になる。
目の前の患者さんにまっすぐ向き合える看護師に。
一人ひとりの思いに、声にならない言葉に気づくことのできる看護師に。

きっと私なら大丈夫。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?