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「ブルームーン」

無国籍なものに興味がある。
宍戸錠が出て来たりする日本映画の西部劇や漫画のルパン三世とか。
カリーではなく、じゃがいもや人参の入った家庭で作るカレーライスも無国籍。
明治の文明開化以降、日本の文化は混沌としていて無国籍そのものなのだ。

以前、造語なるものに凝っていた。
ここでいう造語とは、2つ以上の言葉で一つの言葉として成立したもの、である。
例えば「仮面浪人」とか「インテリヤ○ザ」とか。
「インテリ~」とかは、対極の言葉なので逆にありえる気がするのだけれど、
「仮面浪人」は仮面ライダーみたいに浪人に仮面を被せてしまうあたりが妙に気に入っている。
まぁ、もともと仮面ライダーってのも造語なんだけれども。
あと「かぼちゃワイン」なんかも良い。
かぼちゃとワインは接点が無いように見えるけれど、実は芋焼酎みたく相性が良さげだ。

そんな中井が見つけた造語集の中でも特にシビれた言葉があった。
それは「芸者ワルツ」である。
同じようなタイトルでヒットしたマツケンサンバも好きなんだけれど、
それをも寄せ付けないシュールさが「芸者ワルツ」にはある。
マツケンは固有名詞だけど、芸者は日本を代表する文化の一つだし。
それが西洋のワルツと融合するなんて、なんて無国籍でアナーキーなんだろう。

♪月がとっても青いから~♪という唄い出しで始まる戦後にヒットした曲が日本にある。
そして♪ブル~ム~ン You saw me standing alone~♪って曲がアメリカにある。

(Blue Moon Words by LORENZ HART
Music by RICHRD RODGERS
1934 by METRO-GOLDWYN-MAYER)

 原曲も有名なんだけれど、サッチモやラインハルト、ベンチャーズなどのカバーもあったりする。
ちなみに僕はエルビス・プレスリーの歌で初めて覚えた。

宇宙や星に関するHPを閲覧していたら、
(西洋では月は「白」とか「黄」なのに、青がなんで出てくるんだろう。
調べたけど分かりませんでした。「蒼」から来ているんでしょうか。)
という、疑問が書き込んであった。
これはきっと「蒼」ではないのだろうな。
Bluesと辞書で引くと一発なのだけれど、Blueは‘憂い’とある。
「あたし、失恋して最近ブルーなの…。」というのは正しい使い方で‘Blue Moon’も、この‘憂い’の意味である。

(失恋した孤独な男を、夜空から憂いをもって照らす青白い月)
これが‘Blue Moon’なんだと思う。
日本の‘月がとっても~’は、この‘Blue Moon’が無ければ存在しなかった表現かもしれない。
無国籍とまでは行かないけれど、巧く他文化を消化して国産の価値観にした作品だと思う。
昭和の名曲中の名曲である。

では少し真面目に。
天文学で、ブルームーンはひと月に2回満月(Full Moon)がある月(Month)のことを言う。
平均29.5日で月の相が一巡するので、月初めの1日か2日目に満月が来る時にはブルームーンとなる。
でもなんで2回目の満月ならブルーなんだろうか?
「実は今月まだ来ないのよ…。」
なんて言われる方が、男の場合はすぐブルーになるんだけれど。

#なごみの手帖  【2005/12/5 HP更新】

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