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短編小説「ぼくはライ」

割引あり


ぼくはライ


はじめまして

僕は、ゆうえんちの実家で住み込みで働いているヨークシャテリアさ

僕の仕事は、ゆうえんちと遊んであげることなんだ

今日は、そんな僕の仕事っぷりを紹介するよ

朝のお仕事


まず、朝起きたらゆうえんちが寝てる部屋に行くんだ

ドアが閉まっているかと思いきや

ゆうえんちは、僕がドアを手でカシャカシャすれば開く程度に緩めに閉めているんだ

どうやら僕に起こしてもらいたくて仕方ないらしい

そうして、ドアを開けたら起こさないようにゆうえんちの顔の側まで行くんだ

ここで、ゆうえんちが仰向けに寝ていたらチャンスなんだ

そっと僕の顎を、ゆうえんちの鼻と口をふさぐようにゆっくりと乗っけるんだ

数秒するとゆうえんちは、口をもごもごさせて僕の顎を揺らして遊びだすんだ

そしたら、もう起きたも同然さ

ゆうえんちは、もごもご遊びに疲れると僕のお尻をもしゃもしゃし始めるんだ

このもしゃもしゃ遊びが起きた証拠なんだ

そして、ゆうえんちの口の上から顎を離すと、ゆうえんちは起き上がるんだ

やれやれだ

そうして、僕は朝起こしてあげるついでに遊んであげてるんだ

午前中のお仕事


次は、午前中の仕事について語ろうじゃないか

僕は、ゆうえんちが部屋で何やら作業をしているのを見ると

部屋の入り口前で立ち止まって、顔半分が見えるか見えないかくらいのところで

ジーっと片目でゆうえんちを見続けるんだ

勝手に部屋に入るなんて野暮なことはしないさ

僕は空気が読めるヨークシャテリアだからね

そうやってジーっと片目で見続けてると

そのうち、ゆうえんちは僕に気付いて「いいよ」と言ってくるんだ

そうしたら堂々と部屋に入っていって、ゆうえんちの側に行くんだ

すると顔をもしゃもしゃしだすんだ

こうして顔をもしゃもしゃしだしたら次の仕事の始まりさ

僕は、自分のベッドがある部屋まで早歩きで向かい

おもちゃ箱に顔を突っ込んで

お気に入りの恐竜のパペットを咥えて、ゆうえんちの部屋に戻るんだ

そして、ゆうえんちの目の前に咥えてる恐竜のパペットを置くと

ゆうえんちは、その恐竜のパペットを手にはめて

僕の口元目掛けてガブガブ攻撃をしてくるんだ

だから僕も同じようにガブガブ攻撃でお返しするんだ

ある程度ガブガブ合戦で遊んであげたら

今度は、僕のお尻で恐竜のパペットを押さえつけるんだ

ゆうえんちは、このお尻攻撃に弱いらしく

仕返しに、僕のお尻を恐竜のパペットでガブガブして反撃してくるんだ

そうしたら午前中のお仕事は終わりさ

僕は残業はしない主義だからね

仕事が終わったら、さっさと部屋を出てって休憩に入るんだ

恐竜のパペットは、仕事をした対価として

ゆうえんちに、おもちゃ箱まで運んでもらうんだ

午後のお仕事


十分な休憩を取ったら

またゆうえんちがいる部屋の入り口前まで行って

顔半分が見えるか見えないかのギリギリの位置で、片目だけでジーっと見続けるんだ

すると今度は部屋を出てリビングにあるハーネスが入った棚の前に座りだすんだ

これはジョギングに付き合えという合図なんだ

次の仕事はジョギングコースの誘導係だ

僕は、ゆうえんちがハーネスを取り出すと

膝の上に乗っかって、ハーネスが付けやすいようにしてあげるんだ

時間は有限なんだ

効率的に付けられる位置に行く方がいいだろう?

そうしてハーネスの取り付けに協力したら

急いで1階まで下りて、外に連れ出すんだ

僕は仕事が早いヨークシャテリアだからね

さっさといつものコースを通って

マーキングは忘れずにして

ちゃっちゃと家に帰るんだ

家に着いたら、さっさと2階に上がって休みたいんだけど

ゆうえんちは、ハーネスを外したら僕を持ち上げて

洗面台の上に乗せやがるんだ

そして手足に水をぶっかけてくるんだ

しょうがないから僕は、足は洗いやすくなるように

ゆうえんちの肩に乗っかって

片足を交互に上げながら協力してあげるんだ

手足を拭き終わったら

やっと2階に上がって休憩が取れるんだ

でもまだここで仕事が終わらないことがあるんだ

夕方のお仕事


ゆうえんちは、ジョギングが終わると

リビングにあるソファの背もたれに寄りかかり

頭を背もたれの上に乗っけてひと眠りしだすんだ

これはまた口と鼻を顎で塞いだ、もごもご遊びを要求してる合図なんだ

だから仕方なく、その姿を見掛けたら

ソファの背もたれの上に飛び乗って、ゆっくりゆうえんちの顔の側まで向かい

僕の顎で、口と鼻を塞いであげるんだ

数秒もすればもごもごタイムが始まって

疲れると、僕のお尻をもしゃもしゃしだすから

そうしたら、顎を口の上から離してあげるんだ

リビングで遊んであげたら

ゆうえんちは満足して部屋に戻っていくんだ

仕事の締め


そうして一日遊んであげたら、そのお礼として

ゆうえんちは、ごはんを食べやすいように一つ一つ手に乗っけて

おもてなししてくれるんだ

これで僕の一日の仕事は終わりさ

僕は大体21時くらいになったら

僕のベッドがある部屋まで一人で勝手に向かって

勝手に眠りにつくんだ

これが、僕が自分で選んだ生き方なんだ


もし僕の仕事を応援してくれる方がいたら

この先で公開している僕の写真を見てね

今は3枚しかないけど、そのうち少しずつ追加されていくかもね

すると僕のおやつが豪華になるかもしれないから

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