見出し画像

James Taylor「James Taylor At Christmas」(2006)

たまたま今日はクリスマス・イブ。ということでベタですが、素敵なクリスマス・アルバムをご紹介致します。リンダ・ロンシュタットやノラ・ジョーンズのクリスマス・アルバムも考えたのですが、やはり私の中ではハートウォームなヴォーカルといえばジェームス・テイラー。もちろんJTもクリスマス・アルバムを発表しております。

本作はもともとは2004年にインディレーベルから限定発売されたものなのですが、2006年に改めてメジャーレーベルであるコロンビアから発売されたもの。デイヴ・グルーシンやラス・タイトルマンがプロデュースを務めております。

ジャージーなクリスマスの定番ソングの①「Winter Wonderland」でこの素敵なアルバムは幕を開けます。
ここではトランぺッターの貴公子のクリス・ボッティが共演。間奏のトランペット・ソロはクリス・ボッティの世界。バックはデイヴ・グルーシンのピアノ。私、クリス・ボッティも大好きなんですよね~。JTとクリス、そしてデイヴの組み合わせは実に贅沢。この曲を聴くだけで素敵なクリスマスになりそう。

こちらも超定番の③「Santa Claus Is Coming to Town」。
完全にジャズですね。素敵なアコースティック・ピアノは①と同様にプロデューサーでもあるデイヴ・グルーシン。
スウィングしてますね~。クリスマスの夜にはジャズが似合います。

本作中、もっともチャーミングなクリスマス・ソングが⑤「Baby, It's Cold Outside」。
1944年のフランク・レッサーの作品。男女のデュエットで歌われる、ある意味、コミカルソング。男の家に遊びに来た女性が、帰ろうとするところを、男性が「外は寒いよ」と引き留める、その会話、女性の言い訳が面白い。女性もホントは帰りたくないんだけど、口では帰らないと…と言っている。
ここではJTとナタリー・コールが、そのコミカルな会話(歌)をデュエット形式で歌ってます。英語が分からなくても、その歌い方で雰囲気が分かります。アレンジもちょっとボッサな感じがいいですね。恐らくオーケストラなんかもアントニオ・カルロス・ジョビンを意識しているんじゃないでしょうか。

JTと関わりが深い方のクリスマスに纏わる曲…といえば、コレしかないですね。ジョニ・ミッチェルの⑥「River」。
ジョニの1971年の名作「Blue」に収録されていた1曲。実はこの曲、シングルカットされていないのですが、ジョニの曲の中でも二番目にカバーされている楽曲なんです(一番目は「青春の光と影」)。この当時のジョニはグラハム・ナッシュと別れ、JTと付き合い始めた頃でしょうか。後にJTは、この曲はほぼ実体験に基づいたものと答えつつ、曲の中の相手は誰か…との質問については、ぼくを含め、そういう男たちはたくさんいたさ…と曖昧な回答をしていたとか(笑)。
対訳を読むと分かりますが、別れた相手を想う歌…その楽曲を当時新しい恋人となったJTが歌う、そういうことも踏まえてこの楽曲を聴くと、いっそう味わい深いものを感じます。

数あるクリスマス・ソングの中でも私が最も大好きな楽曲が⑧「Have Yourself a Merry Little Christmas」。もちろんJTもこのアルバムでやってます。
この曲のみラス・タイトルマンがプロデュースを務めてます。プレイが普通でちょっと分かりづらいですが、ドラムはスティーヴ・ガッド。ギターはジョン・ピザレリ。ベースはジミー・ジョンソン。ピアノはラリー・ゴールディングス。ジャズ界の方々ですね。すごく控えめな演奏ですが、極上の演奏を聴かせてくれます。その演奏にJTが伸び伸びと歌い上げてますね。実にほっこりさせてくれます。

エンディングトラックは⑭「Auld Lang Syne」、「蛍の光」ですね。
「Auld Lang Syne」はスコットランドの民謡ですが、年末年始に歌われるものなので、クリスマス・ソングとはちょっと違うイメージですね。この曲、個人的には素晴らしいアカペラを披露しているビーチボーイズのバージョンが強烈に印象に残ってます。
一方JTバージョンは、こちらも彼らしいアコギの弾き語り風な簡素なアレンジが「らしい」。エンディングにかけてのコーラスは感動的すらあります。

今宵はこんなしっとりとしたクリスマス・アルバムをじっくり聴いていたいですね。皆さん、素敵なクリスマスをお過ごし下さいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?