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Bob Dylan「Highway 61 Revisited」(1965)

フレッド・ニールと来たら、やっぱりディランでしょう。
ロック界の重鎮、ボブ・ディラン。私はそれほど彼について詳しくないし、アルバムもそれほど聴いてません。この「Highway 61 Revisited」をじっくり聴いたのも実は十数年前。ですから多くを語る立場にはないのですが、それでもこのアルバムの持つ「魂」には迫力を感じました。
フォークロックの幕開け、ロック史上に残る永遠の名盤。そんな称号がこのアルバムには付けられているように思われますが、まさにその通り。ここ最近、このアルバムをよく聴いております。

ディランは1965年3月発表の5枚目の「Bringing It All Back Home」で、初めてエレクトリック・バンドを従えたアルバムを発表。このアルバムにはアコースティック・バージョンとして収録されていた「Mr. Tambourine Man」が、4月にバーズによって見事にフォークロックにアレンジ、カバーされ、これが大ヒットを記録します。

そしてあまりにも有名な7月25日の出来事・・・。
ニューポート・フォーク・フェスティバルでディランはエレキギター姿で登場し、本作収録の①「Like A Rolling Stone」を熱唱します。この名曲はシングルとしてこのステージの僅か5日前に発表されたばかり(ちなみに本アルバムは8月に発表。前作からたったの5ヶ月で発表されたこと自体驚きですが)。
フォークの神様がアコースティックギターを手放し、エレキギターを携えたことに多くのファンは驚き、賛否両論だったと云われてます。のちの歴史を知っている我々は、この転換をロック史上重要なターニングポイントであったことを理解してますが、当時の熱烈のファンはこれを裏切りと捉えたことでしょう。
その時バックを務めていたのがバタフィールド・ブルース・バンド。ギターはマイク・ブルームフィールド。「Highway 61 Revisited」には彼やアル・クーパーが参加しております。ニューポート・フォーク・フェスティバルにはアルは参加していないと思いますが、その時の貴重な映像をアップしておきます。
尚、「Like A Rolling Stone」は2004年にローリングストーン誌が企画した「The 500 Greatest Songs of All Time」で見事1位に輝いた名曲でもあります。

 ♪ How does it feel ? ♪ 

熱いメッセージです。

③「It takes a lot to laugh, it takes a train to cry」はより強烈なブギー。ホンキートンク調のピアノが心地いい。マイクとアルは、1968年にスティーヴン・スティルスと共に「Super Session」という名盤を発表しますが、実はこの曲をそこでカバーしております。そのカバーがスティルス色が強いのか、ちょっとCSN的なハーモニーを利かせた軽いタッチなのがユニークです。
本家ではなく、「Super Session」ヴァージョンをアップしておきます。

⑤「Ballad of a Thin Man」も人気の高いナンバー。
クールなピアノやオルガンが寒々しい雰囲気を出してますね。Mr. Jonesの嘆きといった詞でしょうか。こんな曲には、投げやりなディランの歌い方がぴったり合います。
今、聴くと違和感はないのですが、当時としてはフォーク的な楽曲を、こうしてロック的アレンジで表現することは革新的だったのかもしれません。アル・クーパーのオルガンも印象的です。

⑥「Queen Jane Approximately」からはB面です。
実はこのB面、僅か4曲しか収録されてませんが、このB面も多彩だったりします。「Queen Jane Approximately」は「Ballad of a Thin Man」の重々しい雰囲気とは一転、メロディは軽めのポップス。ただし内容は恋人だったジョーン・バエズとの別れを歌ったもの。この曲のバックサウンドは完全にフォークロックと呼ばれるものですね。

これまた佳曲の⑧「Just Like Tom Thumb's Blues」。ディラン得意のトーキング・ブルース。バックのギター、ピアノ、ドラム・・・、すべてがいいですね。本作中、①「Like A Rolling Stone」は別格として、この曲がいちばんのお気に入りです。

このディラン最高傑作に挙げられる名盤のエンディングトラック、それが⑨「Desolation Row」。
実はこれだけはアコースティックヴァージョンなんですね。しかも収録時間は11分強。ここまでエレキのディランで引っ張ってきて、最後はアコギのディラン。しかもチャーリー・マッコイのギターが非常に美しい。
11分をあっという間に聴かせてしまうところが、この曲の凄いところです。何となく前向きなメロディに荒廃した社会を歌ってます。

そしてディランは1966年に「Blonde On Blonde」という、これまた名作を発表。多くのロックミュージシャンに影響を与えていくのでした。


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