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Jaco Pastorius 「Word Of Mouth」 (1981)

ジャコ・パストリアスのセカンドソロ。発表は1981年。ジャコのことはもう言及不要でしょう。ベーシストというよりも、ミュージシャンズ・ミュージシャン。ジミ・ヘンドリクスに通じるような存在ですね。
衝撃のファーストソロから5年。本作は実験的なナンバーも増え、ファーストよりも革新的なアルバム、と言えるでしょう。

いきなり前衛的なジャズの①「Crisis」で幕開けです。恐ろしく高速の、うねりを上げるジャコのベースが堪能出来ます。
最初聴いたときは、そのベースプレイにぶっ飛びました! 完全にフリージャズですね。それもその筈、この曲、ジャコのベーストラックだけを聴き、各々のミュージシャンがそれに合わせてプレイしたものを、ミックスダウンしたもので、それがひとつの曲となるのですから、すごいですね。

②「3 Views of a Secret」はウェザーリポートのアルバム「Night Passage」に収録されていたジャコの同曲のカバー。
ビッグ・バンド風にアレンジしてます。トゥーツ・シールマンスの哀愁漂うハーモニカがいいですね。ジャコが単なるベーシストではない、非凡なソングライティングの持ち主であることがよく分かる1曲です。

③「Liberty City」は、どことなくウェザーリポートの名曲「バードランド」(作者はジョー・ザヴィヌル)に似ていると思ったのは私だけでしょうか。
ジャコのベースラインがなんとなく似ているような気がします。12分近い楽曲ですが、豪快なホーンアレンジとトゥーツのハーモニカ、ジャコのリズミカルに動くベースなど、聴き所満載で、全く聴き手を飽きさせませんね。

④「Chromatic Fantasy」はバッハが作ったチェロのための練習曲がベースとなってます。普段からジャコは、この曲で指を動かす練習をしていたらしいです。後半はちょっとオリエンテッドな、もっというと外国人が抱く、日本的な古典楽曲という感じでしょうか。
これにメドレー形式に繋がるのがビートルズ⑤「Blackbird」。前曲で使われていた楽器が、ここでもそのまま用いられ、メドレーとして意義、曲の統一性が感じられます。ビートルズのバージョンは、完全にポールの独り舞台。アコースティックギターの美しいフォーキーな楽曲ですが、ここではそんなイメージは全く沸きません。メロディーはブラックバードですが、アレンジは全く違います。原曲を知らないと、別の曲と思ってしまうかもしれませんね。

本作中、一番ハードなナンバーの⑥「Word of Mouth」。ベースにディストーションを掛けて、ベースというより、ギターソロのような音色を聞かせてくれます。ジャコ流ハードロック!

⑦「John And Mary」、タイトルはジャコのお子さんのお名前です。そしてイントロの子供の声で、お二人が登場してます。
ウェイン・ショーターの絶妙なソプラノ・サックスとトリニダード・トバコ出身のオセロ・モリノーのスティール・ドラムがトロピカルなムードを醸し出してます。前曲の後にこうした曲が来ると、落ち着きます。いい感じですね。

この頃のジャコは精神状態が思わしくなく、コカイン漬けであったとも言われています。敢えてここでは記述致しませんが、 彼の晩年は寂しいものでした。これだけ素晴らしいアルバムを発表していたジャコ、ベースプレイだけでなく、音楽的な才能も素晴らしいものがあっただけに残念ですね。

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