初心者落語YouTubeリスト

落語を観るのは、最初から難しいの見ちゃうと訳が分からないよね。
最初のとっつきがすごく大事なんだろうなあと思う次第。

という事で、私のおすすめです。特に落語に詳しくはありませんが、聴いてて面白いと思うものを並べてみました。YouTube自主学習。

まずは枕という噺の前のちょっとした面白い話のところがとにかく面白い柳屋喬太郎師匠。で、有名な時そば

「コロッケの形はしておりますっ!」
現代の話題の枕のスピードがほんとにおもしろいです。

時そばはいろんな演じ方があるらしくて、これはめっちゃ陰気なソバ屋と与太郎のリアクション芸みたいになっているので、かなりコントっぽい。本寸法(落語でいうところの本格派、正統派みたいな意味らしい。枕でもちらっと言っている)の時そばではない、アレンジされている感じが強いですが、中身を知らなくても面白くて、勢いがいいです。

時そばは本当に有名な古典落語なので、そのまま古典落語にするっといきましょう。三代目古今亭志ん朝の井戸の茶碗

正直者のクズ屋さんが浪人から買った仏像を細川家の若侍が買い上げたら中から大金が出てきた。若侍は大金を返すといい、浪人は売ったものはそっちのものだと言い張って、クズ屋さんは右往左往…
なんとかまとまったと思ったらまたしても話が大きくなってしまい、最終的にはハッピーエンド。

正統派王道の一席。悪役のいないディズニー映画みたいなハッピーエンド。
みんないい人すぎて話が進まないという、日本人が好きそうな様式美でございます!

耳が慣れてきたら、同じく古典で、もっと江戸っぽさがあるのが「二番煎じ」

食べるしぐさとか、声のよさとか、芸のおもしろさが楽しめる感じ。
ニヤッとする駄洒落が満載。きっとこれが本寸法ってやつでしょうか。

もう一個、古典で「抜け雀」
これはファンタスティックな感じの噺で楽しい。こちらも正統派志ん朝

いろんな人がやっているので、いろんな人のものを観る楽しみがあります。
抜け雀のおかみさんのしぐさを観てから志ん朝の火焔太鼓(落語の最高傑作的な意味合いで言われているらしい。ロマネコンティ1985みたいな。知らないけど)を両方聴くと、なんかこう落語ツウになったような気分に浸れます。

その他初心者向けのわかりやすくてハッピーエンドは「崇徳院」
一目ぼれの恋煩いに落ちた若旦那の為に崇徳院のお歌を手掛かりに町中を駆けずり回るお話。

音声だけです。これは西=上方落語スタイル。

ここから重い感じのをいくつか。

笑いだけじゃない感動巨編「文七元結」
ギャンブル狂いで働かない父親の為に身売りをした娘が作った大金を、帰り道に自殺しようとした若者に渡してしまうという江戸っ子の話で、聞いていると大変泣けます。ヒロイズムと正義と人情というアンパンマンのようなわかりやすいカタルシス。

これは音声だけではちょっとわからないところ(身投げのシーン)があるので、動画で見たほうがいいですよね。コロッケそばとは大違い。
金を出す時の逡巡のしぐさ。音声だけじゃちょっと魅力が半減しちゃう。

人情系サクセスストーリーは「芝浜」
なまけ癖の魚屋がふとしたことで大金を拾ったけれど、奥さんはこの大金があったら亭主が更生しないと一計を案じて騙す。騙された亭主は真面目に働いてやっと借金も返し終わって、拾った大金まで戻ってくるという、いい妻の内助の功と努力が実ったサクセス型ハッピーエンド。

音声だけですが、談志の芝浜。有名なやつらしいですよ。

ここらへんは、ほんとに見やすくてわかりやすくて、いろんな人がやっているので入門編にぴったりだと思います。

新作落語っていうのもあって、コントのように新しく作られた落語というのもあるそうで。
いろいろあるけど、ちょっと古くてもう古典と言えそうな感じだけれど桂枝雀師匠の「貧乏神」
怖そうな話かと思いきや間抜けで可愛い。

どんどん着物が乱れていくのが面白いです!(そこじゃない)
枝雀師匠は英語も堪能で。
他の枕でもはさまる英単語が英語しゃべれる人の英語なのですよね。
「よりファースターになります」とか。「ファーラウェイの場合は」とか。
英語の落語動画はこちら。

枝雀節は英語でも変わりなく聞こえる。
そういえば、NYに行った時に出会った男の子で日本語の滑舌が悪い帰国子女がいたんだけど、日本語が苦手なのかと思ったら英語も滑舌悪かった!
あと別の帰国子女が「日本語で関西弁の人かどうかわからなくてもその人が英語しゃべると関西弁の人ってだいたいわかるの!」って言ってた事を思い出した。

ここまで見てから「死神」です。
貧乏神はたぶん死神があったから出てきた世界観だろうなってスッとつながってく。(貧乏神の「硬とうちべとうなったら管轄が死神に移りまんのや」が妙にリアルに聞こえるようになるのです)

陰気で愚かで怖い話でありながら、笑いがある。
怖くて、ちょっと面白くて、それが同時に存在するという事が体験できる。
人間の複雑さというか、怖さと面白さと、ズルさや卑怯さ、適当さ。ひどい話で救いがなくて、なのにちょっと笑えるように落とすのはもうほんと、話芸だなあと思う。
小狡い男が自業自得で追いつめられていくだけの話だから、ハッピーエンドや悪者をやっつけるようなカタルシスがほとんどない。ちょっとずつ階段を外されて行って、最後に本当に追い詰められて、さあどうなる、というところに演じる人の解釈の違いや表現の巧さが凝縮されていて、人気があるのもわかる演目。当然演じる人の腕も試されるんだろうなと思う。

でも最初っから死神を聴いても、なんでしょうね、辛気臭くてストーリーも追いにくくて、あんまり楽しめない。
落語のプロトコルをある程度体感してからのほうが、グッときます。
最初に聞いた時は、全然面白くなかったです。


こうやってある程度の予習をして、今度は寄席やライブに行ってみよう。
東京に住んでいると、そういう場が近くであるのが何より素晴らしいと常に思う。そのためにここにいるんだから。

ちょっと怖いけど、ちかくチケットを探して、こっそり行ってみようと思います。


つよく生きていきたい。