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無邪気になったきみが。

わたしずっと、あなたと文面上でお話してみたいと思っていたんです。

あなたって、お湯の底へ沈めた電燈みたいじゃありませんか。オレンジ色の光が水面上に反射して、波打っているのが見えるようです。あなたは誰かに影響したくないと仰っていました。でもあなたの言葉は確かにそこに存在しているように思います。突然立ったり消えたりするけれど、いつか必要な人達のもとへ伝播していく。そんな小波のようなものだと。

きみはこの世界でひっそりと生き抜くことを考えている。必要もないのに傷つくなど馬鹿らしいと思っている。同感です。でもわたしには君自身が傷つくことを恐れている臆病者に見えます。いくらあなただって、わたしにいきなり刃を突きつけられたら気が動転するでしょう。良ければ1度試してみませんか。いつまでも逃げ続ける、そんなあなたを地の果てまで追い詰めて、わたしは首元に言葉という刃を振り翳し続けてあげたい。終わる事の無い競走ラットレースをしましょう。ああ。秘密を失ったあなたがどれほど惨めで歪んだ表情を魅せるのか。わたしはすごく興味があるんです。

似ている。埋めたくても埋まらない孤独を、あなたも持っている。あなたならわたしを殺せる。

「やさしい」と「ころして」は、似ている言葉だと思いませんか。わたしたちのように優れた嗅覚を持ち合わせた人間は断片的な情報から物事の本質を見透かすことができる。他人に海月が見えていたとしても私たちには内蔵が透けて見えているのでしょう。だから自分を的外れな偶像に仕立てあげられるのが大嫌い。わたしがやさしい?ふざけるんじゃないわよ、あなたではわたしを殺せない。そうやっていつも波風立たないような立ち振る舞いをして自分を殺せるくらい鋭利な感性を持った人間を探している。狂気性を引きずり出してそれを察知した瞬間掴んで離さない。あなたもそうでしょう?

しらないけれど。

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あなたが時折出す無邪気さみたいなものがわたしは好きです。あなたのもつその「声」のような人物にもっとなりきってみたらどうでしょうか。わたしにはまだあなたが何かから身を守っているように思います。対象から自己というものを切り離そうと必死になっているみたい。勿体無い、なんて言葉を吐いてもあなたは振り向きやしないのだろうけど、あなたはあなたが思っているよりたくさんの人を掬ってあげられる人なんだと、わたしは思う。

あなたの心の奥底には愛が身を潜めているんじゃないかしら。解放されたがっている愛がね(わたしが感じていることをあなたに転移しているだけかもしれませんが)だからあなたはもっと前衛的になったらいいと思うんです、死ぬほど何かを慈しんでいるあなたの声や言葉をわたしは感じてみたい、だめかしら。

わたしは運が良い。そう思いながら今を生きている。なりたくもないのに敏感になって、いつも深い思索に耽っているくせに大きな病気もしないで(これからするかもしれないけど)優しい人から自滅していく世界も馬鹿みたいだけれど、たまたま抜け道を見つけて世界の全てを悟ったようなような気になっているわたしたちも馬鹿みたいだなって思わない?「孤独」と「寂寥」という名前の付いた香水を振りまいてただ待っているだけだなんて。わたしたちはバラバラに砕け落ちた世界の硝子の欠片の上を、不敵な笑みを浮かべて、血を流して、歩いている。

あはは、なんておかしいの。

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三島由紀夫の「美しい星」っていう小説を知ってる?ここの文章、あなたのことを表しているみたいじゃない?

「凡人らしく振舞うんだよ」と父親は懇ろにさとした。「いやが上にも凡庸らしく。それが優れた人間の義務でもあり、また、ただ一つの自衛の手段なのだ」

美しい星/三島由紀夫

あなたは生きていくうえで、どんな刺激を求めて、暇を潰しているんでしょう(また今度お話してみたいです)異物を身体の中に入れるのはとても痛くて気持ちがいいと思うのだけど、あなたはその異物が自分の身体の中に寄生する前に頭と胴体と脚を引きちぎっているように見える。もっと寄生虫に殺られてしまったらいいのよ。胃の中で氾濫した言葉の渦なんかぜんぶ吐露してしまえばいい。言葉を無くしたあなたに何が残るのか、わたしは見てみたい。

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(【人物連想散文詩】toxic world」への感想 )

あなたは白い腹を見せて横たわっている魚みたいなものよ、カラーボールなんて生易しいものじゃなくて。

ちいさく密集した(厄介なくらいにこびり付いた)鱗を剥いで、頭を切り落とす。そして腹をざくざくと裂いて血塗れの内臓を丸ごと、ごっそりと取り出す。

人の本音を聞き出すのは長い経過を見る必要があるでしょうこの人には何でもさらけ出せると思わせておいてそこから相手に刃物を突き刺す(嗚呼その瞬間の相手の戸惑う顔がたまらない)あなたにわたしの輪郭線なんか捉えられるわけないでしょう諦めなさいよもう手遅れそう知らしめてあげるの

あなたは待ってくれるのかしら
わたしが変化を恐れていたとしても
あなたは追いかけてくれるのかしら
わたしが逃げ惑っても

何を言ってるの
虚構こそがいちばんの現実でしょう?


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この記事は、湊谷翔-Minatoya Kakeru-(susuki)さんをイメージして書いたものです。(susukiさんと会話し、自分が感じ取ったものを文章にしているだけであり、彼(彼女)の人柄や性格を表したものとは限りません)

湊谷翔-Minatoya Kakeru-(susuki)さんが僕をイメージして書いてくれた「【人物連想散文詩】toxic world」と「無邪気になったきみが。」の感想として書いてくれた「さらす。ねむる。ただれて、過呼吸。わたしにふれて。 ふれないで。」と合わせてお読みください。


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susukiさんへ

あなたからは、強固な水晶体で身を守って誰にもわたしに触れさせない、そんな強い意志と、紙風船みたいにペシャリと両手で叩けばすぐにかたちを崩してしまうような精神の脆さ、その両方を感じます。

あなたは僕が思っているよりもほんとうは脆いのだろうか。ほんとうは、紙風船の形を崩さないよう掌に意識を向けるみたいにそっと、持ってあげないといけないのかもしれない、と時々思います。

フラジャイルな魂を「ことば」という楯で今まで反射的に守ってきたんじゃないかと、そう感じるんです。(まあ、ただの思い込みですかね)

いつかきみが無影灯になったところを、見ることが出来たらいいなと、思っています。

またお話しましょう。

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