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達者でな!

文字起こしソフトに
無理難題を突きつけられた
シマダです。

だれですか。

◆そのピアノの半分は…

師匠に怒られたくて←
ふだんほんとうに
ピアノを弾かないもんだから
我が家の電子ピアノさんの
役割の半分は机か物置きです。

もしピアノの半分が
優しさでできていたとしても
問題なかったと思います。

この半分は困る

◆おさいふの限界を超えて

10年ほど前、
埼玉から東京へ
引っ越しをしたタイミングで
初めてじぶんのおかねで
電子ピアノを買いました。

コードさばけや

今はなき、スリムタイプの
スタイリッシュな子。

ボロいがリノベで琉球畳の
くっそ狭い1Kにも、
なんとか収まってくれました。

この家から引っ越したときも
自分で運び出しました。
肩の筋肉が終了しました。
※良い子は真似しないでください

狭くて崩れそうな階段を
ゼェゼェ持ち上げてもらい
いざ搬入されたときには

仕事でいつも見てるしぃ…
と、強がってみても
どうしても嬉しくて口角が
けいれん致しました。

師匠を召喚して←
試弾してもらったものです。

その直後に甲状腺疾患で
今度は自分が病院に搬入、
いや搬送されるとは
思ってもいませんでした。

治療費、入院費を捻出せねば
ならぬというのに
フリーランスのシマダの
収入はゼロになりました。

このピアノを返品したなら、
或いは向こう数ヶ月の生活を
賄えたことでしょう。

でも、わたしは
それをしませんでした。

だからといって
練習もしませんでした。


◆時が経ちすぎた

ろくに練習をしていないので
とても良い状態を保ったままで
時は経ち、そのピアノ氏は
最新のアプリに対応することが
適わなくなりました。

練習はともかく
仕事にならないのです。

ろくに練習をしていないのに
愛着がしっかり湧いてしまい
手放す覚悟ができないまま
ずるずる机として使ってきましたが
そんなこの子にも
お見合い話が舞い込みました。


◆あいちゃんのピアノになる

6さいのあいちゃんは
ピアノを習い始めた
頑張りやさん。

あいちゃんより
少し先輩なピアノ氏が
これから練習のお供を
することになりました。

この子を手放すなんて…!

…と思ってあげたかったし
思う予定だったんだけど
いざ決まってみると信じられないほど
さみしくありませんでした。

ピアノ氏ごめん。

業者に引き取られて
スクラップされてしまう運命より
このままずっと机になるより
ピアノ氏にとって幸せな未来が
待っているはずです。

あの、口角エクササイズが
捗った搬入時のよろこびを
今度はあいちゃんに。

その出逢いの瞬間を
自分で演出したいと考えました。

今の家には
エレベーターがあるので
なんとかなると思い、

夫氏に加えて
力持ちの妹氏も召喚して
自分たちのちからで
解体、運搬、組立設置をしました。

エレベーターがあろうとも
肩の筋肉は無事終了しました。
※良い子は真似しないでください

海外で箱に入れられたまま
店頭に置かれている子を見かけては

皆のもの、工具をもて!
拙者が組み立ててみせましょうぞ!
助太刀いたされる(おめえら手伝えや)

とサムライスピリットで
組み立てまくってきた経験が
役に立ちました。

組み立てし終えてから…

あいちゃんとママには
ピアノの使い方を教えて
テンション爆上がり。

オーディオ好きなパパには
良いヘッドフォン
買ってあげておくんな
と伝えて
テンション爆上がり。

あいちゃん弟とは
なんか黒いイーブイのぬいぐるみで
たたかいを繰り広げて
テンション爆上がり。

苦手な早起きも厭わず(本当は厭った)
あいちゃんの家にピアノ氏を
送り届けた時間は
楽しいものになりました。


家に戻ってきました。

いつもそこにいたはずの
ピアノ氏は、もういません。

机にして、ごめんね。

ショパンって
ぜってえ性格悪いよ💢とか言って
八つ当たりしたのもごめん。

データでお腹いっぱいにさせたまま
整理していなかったのもごめん。

憧れのラフマニノフに
付き合ってくれてありがとう。

出張前だけ、しぬほど練習に
付き合ってくれてありがとう。

がらん、と広くなった部屋が
ふと目に入ったとき
視界がすこしあたたかく、
じんわりぼやけていくのを感じました。


だって

…ねむい。
(あくび出た
🥱🥲)

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