2024.1.20 ウィッシュ

私、ディズニー作品で育ってきて、本当にディズニーが大好きなんですよね。リトルマーメイド、ラプンツェル、ノートルダムの鐘、ヘラクレス、アナ雪、アラジン、モアナ、魔法にかけられて、等などの名曲たちを、本当に誇張なしにいつも口ずさんで、生きてきました。

そんな私ですが、今日、ディズニー史上最もカスな映画を観ました。

『ウィッシュ』この映画、普通に面白くない。つまらない、山場がない、共感できる心の動きがない、ハッと息を飲んだりドキドキしたり泣いてしまいそうになったりする劇的な場面がない、思わず口ずさんでしまうような名曲がない、見ているだけで満足できるような完成度の高い画がない。もちろんお話は尽く陳腐。

人が星に願うのって、なんでだろう?
→少なくとも空からひょいって飛んで来て、挫折も葛藤も努力もしたことない『プリンセス』に無条件で光る魔法の杖を与えてくれる『お星様✨』の『『『奇跡🍀』』』、それをみーんな待ってるから💕🥰、じゃ、ないんじゃないですかね?


この願いは危険だから叶えない、これくらいは叶えてやろうと選別をするマグニフィコと同じように、彼は悪者、正しい私が倒さなきゃ!という幼い理論で行動してるようにしか見えないアーシャ、理由?それは、えーと、願いは王のものじゃない!だってそれはみんなの願いだから、願いを奪うなんて!願い!願いは!作品で強調されるのは「願い」という言葉だけ。
禁断の書を開いたマグニフィコ、目が緑色になって、魔法で人を持ち上げたりできるように!そしてなんと、人の目の前で願いを砕き壊したのです!なんて外道!!その結果人は?えーと、なんか悲しくなりました……心の一部が…なんか無くなったんで……😢
人間にとっての願いの重さ、価値と誠実に向き合う気が全く感じられない。そこを具体的に描くことから逃げてとことん曖昧にお茶を濁す。だから全然怖くない、強くもない微妙な悪役が、何も奪われず挫折も知らず怯えも葛藤もないアーシャの浅い浅い歌のパワーに、なんか負ける、それだけの話。
従来のプリンセスの心情に寄り添う、心の動きが現れる名曲たち、それらは決して曖昧に彼女たちを救う謎の歌のミラクルパワーじゃなかったと思うんですよね。
こんなに空虚なプリンセスの中身のない歌、それだけで動かされてしまう物語…そんなのがディズニー100周年記念作品なんですか……

アリエルは恋焦がれた人間の世界を歩くための足を得るために声を代償に差し出しましたけれど、
ファンタジーで工夫のない浅い多民族国家ロサスの人々は、どうして王に願いを差し出したんでしたっけ?それはそんなに悪いことでしたか?悪いことなら、何故そのおかげで得た平穏な暮らしにあぐらをかき、王を讃えてきたのでしょう?そんな自分たちの判断の浅はかさを省みましたか?

王妃は何年も忠実に王マグニフィコに連れ添い、彼を愛し生きてきたのではないのですか?道を踏み外した彼をぽっと出の小娘に倒してもらって、それでみんなスカッとで終わりですか?彼への愛、共に生きてきた時間はそんなに軽いものですか?過ちは犯したけれどでもやり直せるわと手を差し伸べたりはせず、地下牢にポイでいいんですか?それならば、王妃自身がこれまで彼のやり方を否定せず、彼の行き過ぎた統治を助長させてきた自覚は?反省は?無いままですか。そんなことが出来るほどの人間らしさも与えてもらえないんです!!この作品の登場人物は!!!!

みんな同じ、みんな特別、みんなの願い、みんなの幸せ、過度な一般化は物語を無味無臭にしてしまう。アーシャだけが抱えるなにか、アーシャだから出来たこと、アーシャにあって他の人になかったもの、それを描かずに何故か特別!じゃあ何に感情移入すればいいのか、このお話は一体なんだったのか、誰のどんな物語だったのか、なにも感じられない。

あと私はあまり性格が良くないので、シカとクマの会話「食べないでくれてありがとう!」「お礼なんていいよ〜」にかなりムカついた。なんですか、じゃ私はディズニー様差別しないでくれてありがとう!と言おうか?そんでそちらは、お礼なんていいよ〜って??は??
これは歪んでるとして、でもまぁ面白いシーンではなかったと思います。

マグニフィコが最恐のヴィランだなんて本当に笑わせるわ。こんなに恐ろしくなく魅力もないヴィラン珍しいだろ。

安っぽいCGも全然意味わからんかったな。手描き風の暖かさなんか微塵も感じなかった。テクスチャ貼り付けただけの不気味な冷たさは感じましたが。

なんでこうなっちゃったんだ。ワンス・アポン・ア・スタジオはとても良かったですよ本当に。手描きと実写とCGの合わせ方も完璧だった。観ててずっと楽しかった。なんでこれを本編でやってくれなかったの。なんで全部中途半端な薄味の作品を、100周年記念で出せるの。

悲しいです。

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