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愛を語る人事になれた出会いの話。

今回綴らせていただくのは 、僕が人事という仕事を好きになれたきっかけの話。ただ、好きになる前に、僕は自分に絶望した。でもその過程が、今のような愛を語る人事にさせてくれた。そんな僕を変えてくれた出会いのお話をさせていただく。

その出会いとは、人事一年目に出会った学生たちとのことだ。 その中には、採用した学生、不採用を伝えた学生 、選考辞退をした学生がいる。彼ら彼女らとの出会いが僕を変えてくれた。そして、現在人事として掲げている信念である 「出会いは一瞬、出会えば一生」を生み出してくれたのだ。

その中でも、選考終盤で不採用者通知をさせてもらった学生との出会い 、正確に表現すると別れが、自分にとって大きな変化をもたらしてくれた。

人事一年目、僕はある大失敗を犯した。 僕はそれを二度としたくない。 そう決めて人事を今もやっている。

ある大失敗とは、人事の仕事における企業の魅力付けに関して 「より多くの学生に、第一志望と思ってもらえるように会社に興味を持ってもらうこと」 だと思って企画、運営、選考を行ってしまったことだ。

就活における人事という立場の優位性も知らず、学生の言葉のすべてを真に受け、調子に乗って深い理解の無いまま会社の魅力を語り続け、学生の表面的な志望度を上げ続けることをしてしまったこと。

そして、それが結果的に学生を苦しめることになることを、自分が不採用を伝える時になるまで気付かず 、今までいかに無責任なことをしていたのかをその時になってやっと理解するのです。

散々、会社のことを好きにさせておいて。
散々、学生を褒めて自信をつけさせておいて。
大した理由も伝えずにメールで不採用を通知する残酷さ。

間違いなく自信は失うし、世の中の人事に対する不信感も生まれるし、 もちろん今後の就活のモチベーションを下げてしまう。

企画をするにしろ、選考をするにしろ、そういう学生への想像力が欠如していたことが、ものすごく悔しかった。

ただ、それでもわざわざメールで嬉しいことを伝えてくれる子がいたのだ。

「これからもファンや顧客として なんらかの形でずっと関わっていきたいと考えています。 素晴らしい会社に出会えて幸せです。 これからも応援しています!!!!」

「すごく楽しくて、温かくて、厳しくて 。そして、最終面接後はここで働きたい!って思えました。 可能であれば、一からでも選考に参加させていただきたい想いでいっぱいです。 しかし、その貴社がだしてくれた答えだから、私はしっかりその答えを受け止め、次の運命の会社を探しに力を入れていきたいと思います。 戸田さんには、初めから最後までお世話になりました。 ありがとうございました」

今でもこのメールを見ると涙が溢れます。 自分自身が与えてあげられたものは何もなかったはずなのに・・・

僕自身の心は「ごめんなさい」で埋め尽くされました。 そして、それはまだ消えていないし、これからもきっと消えることはない。

でも、だからこそ今の僕は人事として採用企画をする上で、ひとりひとりと向き合う採用を心がけることが出来た。

母集団はできるだけ少なく、エントリーシートの合否は無くし、面談を通してお互いが納得できる形で次の選考に進むかどうかを決めたり、たとえ同じ職場で働くことを選ぶことがなかったとしても、その後のお付き合いが出来る、会いたいと思えば会えることができる。 そういう関係を築くことができるようになった。 もちろん、それでも毎年いい終わり方ができない学生もいて悔しい気持ちになるのですが、前に進んでいるとは思っている。

それもこれも人事一年目で何も出来なかった未熟な僕に、就活という貴重な時期に時間を作ってくれた学生たちのおかげです。

だからこそ、彼ら彼女らにまた会えた時には、たくさんの「ごめんなさい」を抱えながら、心を込めて「ありがとう」を伝えたい。君たちのおかげで僕は人事という仕事を天職と思えている。

なんだかものすごく感傷的になってしまいましたが 以上が、僕の人事としての運命の出会いの話であり、人事という仕事を好きに、もっと言うと誇りに思えた話でした。

さいごに・・・

出会いってのは、たくさんの時間をかけながら大切なものへと変化していきます。 その瞬間では、気付けることは少ないかもしれませんが、出会いを大切にすれば、偶然生まれた縁が、深い絆と呼べるように育っていきます。

出会いという「運」に、真剣に向き合うことで「命」を宿し、「運命の出会い」と呼べる出会いに育てていくことが大事だと思うのです。だから、目の前のひとつひとつの出会いに真剣に向き合えたらと思うのです。

戸田良輝


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