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ニコニコ動画がVTuberを推す自傷行為

まず最初に、VTuberに関する部分で比較的ネガティブな記述があるので、VTuberファンはブラウザバックした方がいいかも知れない。

さて、当初から散々言われた「なぜニコ動がVTuber推し?」と言うのをあらためて声を大にして言いたい。

現在のニコニコ動画のコアユーザーは、

・ニコニコの二次創作文化が好き
・VOCALOIDが好き
・好きなクリエイターがいる
・自分自身も(ニコ動文化に合った)二次創作をしている

等々言わばニッチな動画投稿サイトと言う位置づけかと思う。

実はボカロPがビジネスベースで活躍する切っ掛けとしてニコ動は外せない。
JOYSOUNDはドワンゴと提携してるし、ドワンゴ仕切りのイベントやコンテンツへの楽曲提供などの受注は、通常ニコ動への投稿動画からお呼びがかかる。

YouTubeへの投稿のみでもバズればその可能性はあるが、あまりにもハードルが高過ぎる。

話を戻そう。
視聴者が集まるからと、ニコ動が安直にVTuberに頼るのはそのメリット以上に大きすぎるデメリットがあると私は思う。

ニコ動でVTuberの面白さに触れたユーザーはどうするか…

当たり前だがYouTubeに行く。
VTuberやコンテンツの絶対数が桁違いに多いからだ。

自傷行為

前回も書いたが、動画視聴者数の分母はほぼ変わらないし、各々の持っている視聴時間にも極端な増減は無い。
通常一人が同時に複数の動画を視聴する訳でもないので、まさに決められたパイの奪い合いなのである。

ボカロPがVTuberに曲を提供するのも、利敵行為だと私は思っている。

VTuberに視聴者(の視聴時間)取られてますよ!ボカロPさん!

●VTuberの企業信用調査

2020年1月27日にVTuber界隈に一つのニュースが流れた。

キズナアイなど運営のActiv8 2019年8月期決算は6億7500万円の最終赤字
https://p2y.jp/activ8-settlement-201908/

2018年8月に約6億円の第三者割当増資をしているにもかかわらず、利益剰余金も7億2000万円のマイナスだそうだ。

非上場企業なので詳しい内訳は分からないが、普通に考えたら債務超過で会社自体の存続がかなり危ぶまれる状況。
まともな銀行なら融資窓口で門前払いするだろう。

そうでなくても銀行取引には直近3か年の決算書を要求されるからね。

他の四天王さんを見ると…

・ミライアカリ=2019年12月31日ENTUM解散
・輝夜月=2019年9月末Mika Pikazoさん率いるTHE MOON STUDIO解散
・バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん=活動縮小?
・電脳少女シロ=現在はTV出演など精力的

一時期の勢いは何処かへ行ってしまったようだ。

名のあるVTuberと言えども今の再生数でYouTubeの広告料収入だけではとてもじゃないが運営できない。

となると企業案件も重要な収入源になる訳だが、私の知る限りだと、NISSINとコラボしていた輝夜月、ポカリスエットアンバサダーのミライアカリ。
ポカリスエットアンバサダーと言えばYuNiの共同プロデュースをしていた株式会社CandeeもVTuber事業から撤退してしまった。

運営会社が解散したり、財務状況が悪化した状況で何が起こるか。

日清食品や大塚製薬のような東証一部上場企業ともなると、新規取引には企業信用調査が行われるのが慣例である。
取引相手の会社に社会的信用はあるか?体力がなくてすぐに潰れたりしないか?反社と付き合いはないか?違法なビジネス(労働基準法なども含む)はしていないか?と言う審査である。

その点TV局は流行りものに飛びつく習性があって比較的ザルと言う印象。
(過去、某宗教団体がゴールデンタイムに出演してたり)

企業信用調査は通常、帝国データバンクや商工リサーチなどを使って審査する。

いつ無くなってもおかしくないような相手と契約を結ぶのは大変なリスクであり、ましてや上場企業ともなれば株主に批判されるような事は避けなければならない。

今回キズナアイと言うある意味象徴的な存在の運営会社の状況が明かされた事で、VTuberが今までのように企業案件を受注するのは難しくなって行くのではないだろうか。

ところでVTuberの引退

今となっては珍しくもなんともないワードだが、そもそもバーチャルキャラクターの引退って何なんですかね?

初音ミクもドラえもんもまる子ちゃんもガンダムも引退とは程遠い存在に思える。
むしろ年を取らない、永遠の寿命とまで言われている。

ところが生身のタレントや役者よりも安直に引退してるのが今のVTuber業界。

案件振ってる企業側からしたら勝手に引退されちゃ困るよと言う話だと思うのだが…

●VTuber運営の台所事情

失速気味の四天王をしり目にホロライブのカバー株式会社やにじさんじのいちから株式会社が隆盛と言われている。

確かにTwitterで頻繁にトレンド入りしたり、スパチャランキングなど見ると、失速気味の四天王との違いは明確に感じる。

ただActiv8がなぜあれほどのマイナス収支を計上しなければならなかったか。
初音ミクなど「本来の」バーチャルタレントは「給料の要らない歌手」と言われたものだが、VTuberではそうはいかない。

VTuberの中の人は生身の人間なので、インフルエンザにかかれば休むし、ゴシップネタで炎上もする。
例え稼ぎが悪くても毎月の給料は払わなければならない。

Activ8は従業員数100人と言われている(ネットでの情報なので不確か)が、人件費や家賃、光熱費だけでも月間売り上げ最低6000万は必要だと思われる。
タレント(稼ぎ手)が51人かな?となると一人平均120万円以上は売り上げないと、ランニングコストすら賄えないという事になる。
名のあるイラストレーターや楽曲制作などさらに外注費も必要となる。

トップのキズナアイは120万余裕で稼げるとしても、あまり知名度の無い子たちは足を引っ張る事になってしまう。

にじさんじの場合所属タレントは100人近くいるので人件費だけでもActiv8を上回る可能性が高い。

大所帯のプロダクションしか注目されない状況になってきたところに、今回のActiv8のニュース。

VTuber業界の行く末や如何に。


ニコニコ動画やVOCALOID文化を憂う。