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ニーチェ「血で書かれた言葉」

「わたしは、古い語り口に飽きた」
「新しいことばがわたしに湧く」
「自分自身の烈火のなかから、自分自身の教えが生まれてくる」

ニーチェは、自身の烈火の中から生まれた新しい言葉を新しい語り口で語ります。彼は、古い語り口で、自分以外の哲学者の解釈をするだけの哲学者とは全く異なります。彼の言葉は暗唱されるに相応しいものです。

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新しい道を私は進んでゆく。新しい語りが私に到来する。すべての創造者と同じく、私は古い語り口には飽きてしまった。私の精神はもう、くたびれた靴を履いて歩きたくはない。
森一郎訳「鏡をもった子ども」

新しい道をわたしは行く。新しいことばがわたしに湧く。わたしは、創造するすべての者がそうであるように、古い説き方に飽きた。わたしの精神はもうすりきれた靴を引きずって歩こうとはしない。
手塚富雄訳「鏡を持った小児」

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自分の教えのために火をくぐる者があるにしても──それが何の証明になろう。まことに、自分自身の烈火のなかから、自分自身の教えが生まれてくることが、もっと意味のあることなのだ。
手塚富雄訳「僧侶たち」

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いっさいの書かれたもののうち、わたしはただ、血をもって書かれたもののみを愛する。血をもって書け。そうすれば君は知るであろう、血が精神であることを。
手塚富雄訳「読むことと書くこと」

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熱い血の託宣を念じて書く者は、読まれることではなく、暗唱されることを望む。
小山修一訳「読むことと書くこと」

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ここではいっさいの存在の言葉と、言葉の匣(はこ)とが、私に向かってぱっと開かれる。いっさいの存在がここでは言葉になろうとする。いっさいの生成がここでは私から語ることを学ぼうとする。
西尾幹二訳「帰郷」

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わたしの兄弟たちよ、むしろ健康な肉体の声を聞け。これは、より誠実な、より純潔な声だ。健康な肉体、完全な、ゆがまぬ肉体は、より誠実に、より純潔に語る。そしてそれは大地の意義について語るのだ。
手塚富雄訳「背面世界論者」

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