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ニーチェと牡牛座

ニーチェの牡牛のイメージは、耕作の牛ではなく、狂暴な牛、怒った角をふるって氷を砕く破壊者です。ニーチェの哲学は「流転と破壊」を肯定するため、「根本において、一切は静止している」という冬季の教えを破壊する牡牛は、ニーチェのお気に入りの動物であったことでしょう。

牡牛座のキャラクターを占いで見ると、以下のような内容になりますが、ニーチェの牡牛のイメージとは真逆の性質です。

【牡牛座】
・女性星座(内向的)
・固定宮(安定、維持、確立)
・土のエレメント(感覚タイプ)
・金星が支配星(美と愛を象徴)
・タロットはNo.5法王(伝統と教義、社会性)

「根本において、一切は静止している」──これはまさしく冬季の教えであり、実りのない季節にとっての都合のいい口実、冬眠する者と暖炉にしがみつく者にとってのよい慰めである。「根本において、一切は静止している」──だが、それに正反対の教えを説くのは、氷雪を融かす暖風である。この暖風は牡牛である。耕作の牛ではなく──狂暴な牛、怒った角をふるって氷を砕く破壊者である。そして、砕かれたその氷は──橋を打ち破るのだ。
手塚富雄訳『ツァラトゥストラ』「新旧の表8」

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わたしはこの人(ヘラクレイトス)の近くにいると、ほかのどこにいるときよりも、寒さを感ずることがなく、快い気分になる。かれにおける、流転と破壊との肯定は、ディオニュソス的哲学における決定的要素である。また対立と戦闘の承認、「存在」の概念をすら拒否して憚らない生成の思想──そこに、わたしはどうしても、今まで考えられたもののうちでもっともわたしに親近関係をもつものを認めざるをえない。「永劫回帰」説、すなわち、万物は制約のない完全な循環を無限にくりかえすのだという見解、──このツァラトゥストラの教えは、結局はすでにヘラクレイトスによって説かれていたと言っていいのかもしれない。
手塚富雄訳『この人を見よ』「悲劇の誕生3」

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