山梔子の記憶



新緑が眩しくなり、初夏の気配が近づいて来ると思い出す山梔子の花の匂い。


私が好きな『山梔子』とは、大ぶりの一重花で香りの強い『日本の山梔子』です。
少し小ぶりで花が多重の『西洋山梔子』も好きですが、香りの強さがまったく違います。

私はよほど好みでない限り、元々あまり香り物が得意でない方なので。香水売り場に行くと、必ず『女性に人気が高い』と奨められるローズ系・ジャスミン系の香りもそんなに好みではありません。なので、普段常備している香り物は、根性出して選びに選んだ4~5種類が限度。
何しろ『好きな香りを探すために、香りが充満した香水売り場に行くのがキツい』くらいなので。目に沁みるし、鼻から埃や花粉が侵入したような刺激すら感じます。

。。。が。
山梔子の匂いは大好きです。これは『三つ子の魂百まで』じゃないですが、かなり幼い頃の環境に由来しているのかも知れません。

と言うのも、私が高校生になるまで住んでいた古い家の玄関脇には、それは大きな山梔子の木があり、かなり遠くの方までふわ~っと匂いが漂ってきたものです。残念ながら、建て直しに際して切られてしまいましたが、何とか残せないかと、父が最後まで交渉していた記憶があります。

大人になって、この山梔子の匂いのものがないかと探したのですが、とにかく売り場には長時間いられないので店員さんにまず聞くのですが。
「山梔子の香りの香水とかってありますか?」
出された香水の香りを確認すると、どっからどう嗅いでも、私の記憶内の山梔子ではないのです。

店員さん曰く、
「山梔子の花は、香料が取れない花なんです。ですから、その香りを合成するのがとても難しいんです」
なのだそうな。
へぇ~。。。そうなんですか。

それでも、『山梔子の匂い』で探すと、やはりその他にもいくつかはあるのですね。ただ、匂いを確認できないで購入するネットはあまりにもリスキーだったので、まずは店舗販売をしているものを求めて近場の販売店何軒かへと。

そこで出逢った香水のひとつ。
それが、私の記憶の中にある『山梔子の匂い』に一番近い!
。。。ちょっとジャスミンの香りが混じっていてジャマなんですけど。もう、それくらいは仕方ないと諦めて購入したのが、アニック・グタール の『ガーデニア・パッション』という香水でした。

この時に店員さんと少し話して、何年も山梔子と親しんでいたはずの私が初めて知った事実があります。
それは、

『山梔子は初夏の花』

っていう事実。

いや、ホントに。
私、というか、ウチの家族は誰ひとり知りませんでした。

何でかって。
ウチの山梔子は、一年中どこかしらに花をつけていたんです。
年末に近所の人が、「新年のために栗きんとんを作るから、着色用に山梔子の実をください」って来たことがあるんですけど。

その時も花が咲いてました。

その話を店員さんにしたら、
「それは珍しいです。山梔子は初夏にしか咲かないと聞いてます。冬に咲いていたという話は私も初めて聞きました」
と言われました。
へぇ~。。。そうなんですか。

どうもウチの山梔子は狂い咲きの王者だったようです。

私は結構気に入っていて、初夏の頃には使ったりしますが、母に嗅がせたところ「ジャスミン臭い!」と一蹴されました。
母も私以上に香り物がダメな人。。。というか、私はたぶん母親に似ているんでしょうね(^_^;)


皆さんはどんな香りがお好きですか?




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