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この瞬間だけを、この場所だけを

ライブ会場に5分前に着いて、エレベーターを待つ。同じようにギリギリに着いたひとたちがぎゅっとエレベーターで身を寄せ合って、言葉は交わさないけれど、「間に合いましたね」って嬉しさを共有したいそんな空気。エレベーターが開いて、開演まであと2分。みんな急ぎたいけれど、お互いに気持ちが分かるし、同じものが好きなわけだし、ちょっと譲り合いの精神が働いて、なんとなく譲り合う。エレベーターのボタンの前に立っていた人が最後まで開くボタンを押していてくれた。

エレベーター降りて、小走りする。なんとも気持ちがよかった。嬉しかった。ライブハウスはやっぱりジメっとしていて、それでいてどこか清々しい空気に包まれていた。

同じものを好きな人同士が集まる空間。独特の空気。ライブ会場に魅せられるひとつの理由だろう。みんなが楽しそうに身体を揺らして、手を叩いて、きっとそれぞれが心の中に大切な人を抱えている。幸せだな、と思う瞬間。もっともっと、音楽に触れようと思った。

わたしは根っからの音痴。楽器もできない。幼少期、ピアノを習っていたおかげで楽譜は読める。リコーダーは少しできる。高校生の頃の音楽の授業が超本気で、ドイツ語での歌のテストとかがあって、みんなの前で歌ったこととか、いや~な思い出として残っている。巻き舌がどうやってもできなかった。わたしの歌の下手さをみんながいじってくれればいいけれど、割と優等生的立ち位置だったわたしを誰も笑ってくれなかった。今ならば、もう少し上手にキャラ設定ができたのに、と時々思う。ないものねだりだと思うが。とにかく歌が下手が故?かは分からないけれど、歌っている人を見るのが大好きだ。うらやましい!と思うと同時に、人前であんなに堂々と表現する姿に心が打たれるのだ。言葉とリズムが重なり合って、心に届く。歌が好きだ。

帰り道

ライブ会場のあった渋谷は異国だった。普段寝ている時間に、こんなにも目覚めた街があるなんて。分かっていても不思議だ。同じ時をみんな過ごして、泣いたり笑ったりしている。あぁ、世界はなんて広いのだろう。もっと広い世界に触れてみたい。夜の街に出るとそう思う。

ハンバートハンバートの音楽は、言葉がまっすぐだ。だから好きだ。分かりやすい。ストレートなのだ。ずどーんと響いて、それでふんわり包む。なんかちょっと嫌なことがあったとき、なんかちょっとムズムズするとき、たくさん助けられた歌たち。歌たち、ありがとう。

話し合う 確かめる
理解する 推し量る
受け入れる 歩み寄る
抱き合う
他の言葉じゃ置き換えられない

バビロン/ハンバートハンバート

1日1日を、丁寧に。とは毎日はいかないけれど、それでもときどき思い出して、感謝して、また頑張ろうって息を吐き直すことは必要な作業だと思う。渋谷の真ん中で思い出した優しいきもちを胸に、今月は頑張れそうだ。

法律や、ルールや、約束では計れないものがこの世界にはあるのだと。最近益々そう思う。ときに、秩序を越えて、考えて、判断して、自分を許したり、律したり、そういうことが必要なのだ。ライブハウスの空気は、現実から離れて、そこにだけ、この瞬間にだけある空気や音や人の顔が、なんだか異様で特別な世界を作っているような気がした。みんなの存在や思考がすべて許されているような。ふわりふわりと浮かんだ心が、たったひとりの孤独は輪郭をぼーっと眺めていました。

久しぶりにきみの話が出て 
元気でいることが分かった
よろしく伝えてと言ってたと
それだけでとても嬉しくなった
きみが好きだ 恋とかじゃなく
他に例えようのないこの気持ち

見知らぬ街/ハンバートハンバート

何度だって、何度だって。ここに、戻ってこよう。わたしはずっときっと、ここにいる。音楽は鳴り止まない。きっと、みんなで音楽を愛する日々は続く。心からそう思う朝に書きました。

最後の撮影タイム

見に来てくださりありがとうございます^^これからも心のままに、言葉を大事に、更新を続けます。サポートいただけたらとてもうれしいです!