良い【ストーリー】を語ることが人生をCOOLにする秘訣。

僕は雑読家と言われますが、時には苦手とする作品もあります。
SF作品、とくに設定が複雑なものは苦手としています。

アニメや漫画のように分かりやすい作品でも『異世界』とか『魔法』とか出てくると
「もう無理」ってなってしまいます。

ごくまれにとんでもない傑作が現れます。
どんなジャンルでもそうなのでしょうが、SF・ファンタジー作品の中で傑作は、オールジャンルを超えた傑作になりがちです。

僕が苦手なのは、世界観を創ることで手一杯の作品です。
登場人物は飾りになっていて、どうしても読み進める気になりません。

このように、大切にしなくてはならないのは「登場人物」だと思っています。
キャラクターに感情移入していない以上、その世界が崩壊しようと別にどうでもいいです。

しかし、登場人物に魅せられてしまえば、その世界観に住むことが出来るので夢中になります。
『ロード・オブ・ザ・リング』などは僕が最も苦手としそうな【世界観ファンタジー】ではありますが、登場人物がとても魅力的に描かれているので最後まで楽しむことができました。逆に「登場人物」に魅力を感じないと、どんな短編であろうと拷問のようです。

よくビジネスは【ストーリー】が肝心だと言いますが、その【ストーリー】を語るために最も大切にしなくてはいけないのは?

【登場人物】です。
その中でも最上級に求められるキャラクターは誰でしょう?

皆さんは小説や映画などを観られる時、評価のポイントはどこでしょうか?

様々な楽しみ方があると思いますが、よく聞くのが「感情移入」という言葉です。

「感情移入出来なかったから詰まらない」
「感情移入しちゃって泣いちゃった」

もちろん、作品を鑑賞するうえで感情移入を必要としない作品も多くあります。

ストーリーを読み込むときには大きく分けて二通りの楽しみ方があります。
「主観型」と「客観型」です。

「主観型」はストーリーの登場人物の一人になって、一緒に物語世界に浸る楽しみ方。
「客観型」は突き放し、客観的な視点からストーリーの全体像を読み解くタイプです。

「客観型」は動物園に行くような感覚ですよね。
時には可愛い愛玩動物を愛で、時には猛獣に刺激を受ける。
ホラー映画ではこちらが好まれます。登場人物が一人死ぬごとに心を痛めていてはとても持ちません(;^_^A
スーパーマンもこっちですね。彼に感情移入は難しいです。

では「主観型」はどうでしょう。
数年前に『100%主観映像』の作品がありましたね。そのように、自分がその世界観に入ってしまったり、作品のテーマが自分自身の問題として捉えて考えるような作品。

SFのように奇抜な設定でも、その奇抜さ故に登場人物のリアルな感情と心情を感じ取れる作品はとてもクリアに【想い】を表現できるものです。

それに、【ストーリー】を魅力的に見せられます。

例えば『E.T.』
あの作品は、宇宙から来た生命体と、地球の平凡な少年の交流という作品でしたが、その中ではとても豊潤に様々な【ストーリー】が語られました。

主人公の少年の家庭は離婚していて、特別に語られることはないものの少しだけ家庭の中に「ずれ」を感じさせます。その「ずれ」が在るゆえに宇宙から来た生命体と友達になれる。

その友達との交流は、彼に多くの「行動」をさせる。
その「行動」が少年を大人にしていく。

クライマックスでETを自転車に乗せ逃亡するとき、それまで馬鹿にしていた兄の友人たちに対して強いリーダーシップで率いている様に僕はとても感動しました。

同時に大人のキャラクターもとても魅力的で、シングルマザーである母親もその大きな愛情故に物事が上手くいかない苛立ちや不安を見せていたし、宇宙人を捜索していた「カギをたくさんつけた男」も、子供のころの想いを胸に抱えて、ひたすら職務に徹しようとしつつ少年に畏敬の念を持つ。

「宇宙人が来る」ということ以外は全くシリアスな人間ドラマです。
しかし、多くの観客は「宇宙人か来る」という【ストーリー】を提示されなければこの作品はこんなにも話題になったでしょうか?
スピルバーグの手腕ですから宇宙人を出さなくても感動できる物語を構築できたでしょうが、映画館に足を運ぶ人は減ったでしょう。
【ストーリー】をファンタジー化することは、そのように【ストーリー】に接するために重要なエレメントです。

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