見出し画像

言語探偵T 第5話

認識問題 (中編)

「聞き手も知っている a 問題」に対して、いくつかの解答が寄せられた。
そのうちの1つを紹介する。

画像1

2. 3つの形で表せる「総称」の謎

聞き手の「風邪」のことなので、聞き手も当然知っているのに a が使われるのはなぜか。

You’ve got a terrible cold. (ひどい風邪を引いてしまったんですね。)

冠詞の使用はあくまで「話し手の捉え方」である。

たとえば、theの使用については次のようにいえる。

theは「聞き手も知っている」と話し手が判断していることを示すサイン

つまり、冠詞の使用はある意味「話し手のさじ加減」なのである。

そのため、話し手が「あえて aやtheを使う」こともある。

今回の a terrible coldはまさに「あえて a 」を使ったケースである。
(『わかりやすい英語冠詞講義』 石田秀雄 著より)

画像2

あえて a terrible coldとすることで、この風邪のことを「新たな話題」としてとりあげ、会話を始めているのである。

このように、聞き手が知っていたとしても、話し手が「あえて the を使わない」こともあるのである。

画像3

さらに、次のような面白い実験もある。
(『英語独習法』 今井むつみ 著より)

画像4

車の事故の映像を見せた後に、Did you see the broken headlight? とtheを使って質問した場合、聞き手は事実と異なる認識をしてしまう

画像5

このように、冠詞は話し手や聞き手の認識と深く関係している。

冠詞については、まだまだ解くべき謎がいろいろと残されている。
その1つに「総称」問題がある。
(『英語冠詞の世界』 織田稔 著より)

画像6

なぜ、「イヌの総称 (イヌというのは)」には3つの言い方があるのだろうか?

画像7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?