見出し画像

はじめて島に来た日のこと。

ついに今日、隠岐島前にやってきた。

今回は2泊だけしていったん戻るけど、4月から1年間は暮らすことになる場所。ずっといたらきっと新鮮な気持ちも薄れてしまうから、はじめて訪れた日のことをいつでも思い出せるように、自分のために記録する。

島以前に、島根にきたのも今回がはじめて。
全然準備をしてなくて、大阪から島根へのバスも、島までの高速船も前日の夕方に予約した。

高速バスには何度も乗っているからその時点ではあまり実感はなくて、
はじめての場所に向かっているんだ、と実感したのは途中休憩の蒜山SAで山を見た時だった。


新しい場所へ向かっていることを実感した景色

ふと見上げた先が雪山だった。
山は地元で見慣れているけど、雪山は見慣れていない。

ああ今自分は新しい場所へ向かっているんだ、そう思った。

蒜山SAではジャージー牛乳の商品がたくさん並んでいて、
休憩が30分近くもあったので、せっかく降りたならと生クリームパンを買って雪山を見ながらベンチでひとり食べた。

晴天の下、濃厚ミルクの少し冷えたクリームがたまらなくおいしかった。


生クリームパン。1番人気らしい。

その後もバスに揺られ、松江駅へ到着。12:00ごろ。

次の港行きのバスまで2時間半ほどあったので、お昼ごはんを探そうとGoogleマップをひらく。

すると近くにマークしたお店があった。
先週熊本の南阿蘇にある310 booksという書店兼カフェでカレーを待ちながら読んだ「建築知識」という雑誌に載っていてマークした本屋さんだった。

ARTOS BOOK STORE

松江駅から片道で徒歩20分だったので、ちょうどいいなと思い向かった。

途中の川では黒鳥(マガン?)が魚をとってたり、
道端につくしがたくさん生えていたり、
ヌートリアらしきものが目の前を優雅に泳いでいたり、


目の前で魚をとる黒鳥


道端で発見したつくしニョキニョキゾーン
泳いで通り過ぎていったヌートリア

地元ではあまり見ない光景に心が躍っていた。
やっぱり自分は動物や植物がすきなんだなと改めて思った時間だった。

そんな風にきょろきょろ色んな発見をしながら到着したARTOS BOOK STORE。目の前の横断歩道でなかなか信号変わらないな~と思っていたら押しボタン式で恥ずかしかった。。


押しボタンの存在に気づかず撮影したARTOS BOOK STORE

お店の中は本が並ぶスペースと展示のスペースに分かれていた。
展示スペースにはくつしたがずらりと並んでいた。

まずは絵本コーナーを見る。
「ちいさいおうち」が目に入った。
書店ではほぼ必ずと言っていいほど目にする絵本。

意外とちゃんと読んだことはなかったのでページをめくると、今じぶんが大切にしたいことが描かれていた。

これもご縁な気がして、手に取ったまま他の本を見る。

「ナマケモノのいる森で」「オセアノ号、海へ!」という仕掛け絵本も目に留まった。どちらも同じアノニマ・スタジオという制作会社がつくっていて、裏表紙のメッセージに心惹かれた。

アノニマ・スタジオは、
風や光のささやきに耳をすまし、
暮らしの中の小さな発見を大切にひろい集め、
日々ささやかなよろこびを見つける人と一緒に
本を作ってゆくスタジオです。
遠くに住む友人から届いた手紙のように、
何度も手に取って読み返したくなる本、
その本があるだけで、
自分の部屋があたたかく輝いて見えるような本を。

こんな人でありたいと思ったし、そういうものを自分もつくりたいと思った。ここにはどんな人たちがいるんだろう。

絵本コーナーをひと通り見終わると、
一般書籍のほうへ。

ここにもだいすきなミシマ社の本があることにニヤニヤ。
選書がわたしのドストライク過ぎて、雑誌を読んでこの書店にご縁を感じたのも頷けた。

◇1階革命~私設公民館「喫茶ランドリー」とまちづくり~/田中元子
◇日本に住んでる世界のひと/金井真紀

の2冊も追加で手に取った。
田中元子さんは前から気になっていた方で、前書である「マイパブリックとグランドレベル」も持っている。購入したときはあまり刺さり切っていなかったけど、住みびらきなどに関心が湧き始めた最近はきっと以前よりも刺さるものがあると感じた。

気づけば3冊も手に取っていて、どれも捨てきれず全て購入した。


購入した3冊の本

レジの際、お店の方にここへ来た経緯と4月から海士町で暮らすことを少し話したら、島前の人もよく来るのだと教えてくれた。

そういえばお昼ごはんがまだだったことを思い出し、
近くでおいしいごはん屋さんはありませんか?と尋ねるといくつか候補を教えてくれた。

唯一営業時間内だった服部珈琲工房へ。
ナポリタンと鴛鴦茶(ユンヨンチャ)を頼んだ。


喫茶店のナポリタン
鴛鴦茶(ユンヨンチャ)

鴛鴦茶は初めて出会ったのだが、
香港の喫茶店では一般的な飲み物らしい。
珈琲と紅茶が合わさったもの。

物珍しいものを選ぶのは自分の性だなと思いながら飲んだ。

さて、バスの時間も近づいてきたので松江駅へ歩いて戻る。
途中で映画「川っぺりムコリッタ」のポスターを発見して、これまたご縁を感じた。先日ちょうDVDと文庫本を買ったところで、街中でポスターが貼り出されているのは初めて見た。


街中ではじめて見た「川っぺりムコリッタ」のポスター。

港行きのバスにのる。
どんどん海へ向かう。

船着き場に白黒の鳥がたくさん浮かんでいたり、

どの家の畑の土にもたいてい大根が刺してあったり、

屋根の瓦がつるつるのオレンジ茶色ばかりだったり。

はじめて見るこの景色たちを1年後にはどう感じているのだろうか。
こんなことが新鮮だったなと懐かしく思う日が来るのだろうか。

七類港に到着すると、
まわりの人がやってるのを見ながら乗船の手続きを済ませる。


乗船券は意外と分厚かった。

想像の5倍ぐらい沢山の人が乗船の列に並んでいた。

船酔いにビビりながらのった高速船は、結局酔わなかった。
思ってたほどは揺れなかった。

エンジン音は大きくて、テレビでは大相撲がずっと流れていた。

船のモーターでかき混ぜられた海は爽やかなライトブルーになって、
進むとひたすらに水平線が続いた。
海の表面は波で角ばっていて、ごつごつしていた。


ライトブルーに染まる海

隠岐は島流し先としても歴史的に有名。
現代でも2時間ほどかかるのに昔はもっと何日もかかっていたはず。
こんなに何もない水平線が毎日続く航海はきっと不安でいっぱいだったんだろうなと思った。


ひたすらに水平線が続く海

そんな毎日を乗り越えてたどり着いた島でどんなことを考えてどんな風に生活していたんだろうと考えた。

わたしも、数日後島に渡るときはどんなことを考えて、その先どんな暮らしをしているのだろうか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?