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飲食店経営がうまくいく3つの指針

このコロナ禍で飲食店はなかなか苦しい戦いを強いられていますが、間口が広い飲食業界は「やってみたい」という気持ちを、頭の片隅にあるという方は少なくない印象です。

実際、僕も広告の世界にいた20代の頃から「いつかやりたいな」があった1人です。その「いつか」を遠い将来から近い将来に変えて転職をしたのが29歳。
そして34歳の時に店を持つことになります。

サラリーマン時代に簿記の勉強をしたのと、元々数学が得意だったのが功を奏し、お金を借りる時に作るような事業計画書などはさくっと作れました。
むしろ、「店を持つ」ということが現実を帯びる前から、シミュレーションはすごくしていました。

計画段階からやるべきシミュレーション

理屈を知ってしまえば、あとは慣れです。
しかもそれは店を持つ前から鍛えることができます。

僕の場合は、行ったお店をなんとなく「家賃いくらかな」「
従業員は何人だから人件費はこれくらいかな」「原価はきっとこれくらいかな」
などと考えることを癖にして、ケータイなどにメモっておいて家に帰宅後などにノートにまとめていました。

家賃の相場は主要駅か、広さ、駅からどれくらいの距離か、1階か地下か、地上階か、などでおおよそわかってくるものです。
とは言え、最初からわかるわけもないので、おすすめは「居抜き物件を紹介するサイトをひたすら見まくる」です。

一つだけ僕なりのアドバイスとしては、「家賃÷坪数」を意識すること。

都内であれば、平均はおそらく15000円〜25000円。
いい物件なら30000円は超えるし、何かネガティブ要素がある物件は10000円を切ります。
そういうところを中心にどういう店を持ちたいか考えると数字面のイメージは結構持てるようになってくると思います。

そして、実際のお店のやりくり面の数字です。
飲食店経営で注目すべき3つの指標
細かいことを言い出すとたくさんあるので、目安になる3つの指標をご紹介したいと思います。

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(1)FL比率

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FはFood、仕入れのこと。LはLabor、人件費のことです。
FL比率とは、売り上げに対して仕入れと人件費をどれだけかけているかという指標です。
飲食店経営の理想値が売上の内訳には存在します。
それをまず紹介したいと思います。
まず、例えば家賃が30万円の物件を借りるとします。
目指す売上はいくらだと思いますか?
「そんなの場所とか、何を売るかとかによるだろ!」という声が聞こえてきそうですが、数字面で目安になる理想値があります。
それは
「家賃の10倍を目標にする」です。
つまり家賃を売上の10%いかに抑えられるかが、一つの目安になるということ。
なので売上は300万円を目指すべきということになります。
ではこの売上の内訳の理想値をFL比率も合わせて見ていきましょう。

売上300万円
家賃     30万円   10%
原価(F) 90万円   30%
人件費(L)75万円   25%(〜30%)
諸経費    75万円   25%(〜20%)
利益     30万円   10%

ざっとこんな感じです。


そして原価と人件費を足した割合がFL比率になるわけですが、上記の通り55%が目標で60%までは許容範囲みたいな考え方が理解できると良いと思います。
なので例えばこの店で同じ人件費をかけて200万円しか売り上げいかないとなると、、、

売上200万円
家賃     30万円   15%
原価(F) 60万円   30%
人件費(L)75万円   37.5%
諸経費    40万円   25%
利益     -5万円   赤字

となってしまうわけです。これだとFL比率は67なので改善が必要です。

人件費を抑えるか、売り上げを上げるかです。

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FL比率は低い方がいいわけではない

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ここで誤解が生まれやすいのが、「FL比率をいかに下げるかで経営が安定する」という考え方です。これは大きな間違いです。

FL比率というのは、高いと経営が危ぶまれます。低いと短期的には良く見えても、長期的にはデメリットが多いと思います。
それは、顧客満足度と従業員満足度です。

原価を抑えるという行動は、あらゆる工夫の上で成り立つのであれば良いのですが、単純なコストカットは顧客満足度につながります。

鶏肉を国産のブランド鶏だったものをブラジル産のブロイラーに変えればコストは落ちますが、味も落ちる。
簡単に言えばこういう現象がコストカットには起こってきます。

そして人件費を抑えるという行動は、給与が上がらないことへの不満などもそうですが、「人が少ない割に売上がある」という状況を作ることでもあるので、激務になります。すると従業員は働く環境として不満に思うことは必至です。
そして従業員が激務と感じる環境であれば、サービスが行き届かないため、顧客満足度にも直結します。

なので、そのデメリットが生まれない工夫でのコストカットは大いにやるべきですが、そのデメリットは長期的に経営を考える上では致命傷になりかねないことです。非常に気をつけたいですね。

「人が少ない割に売上がある」とか、「人が多い割に売り上げがない」という状態を数字で見れる指標もご紹介します。


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(2)「従業員数に対する月の売上」

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「従業員数に対する月の売上」は
【月の売上÷店を回しているシフトの人数】です。

「店を回しているシフトの人数」がわかりづらいですが、営業中に何人のスタッフで営業をしているかということです。
つまりアルバイトが10人いても、営業中は常に3人でシフトを組んでいるお店であれば「3」となります。

そしてこれにも理想数値があります。
100万円です。


2人で回す店なら200万、3人で回す店なら300万。
逆の言い方をすれば300万の売り上げを目指すなら3人で、ということです。

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(3)「人時売上高」

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そしてもう一つの「人時売上高」は
【売上÷総労働時間】です。

上記の例のお店で、「従業員数に対する月の売上」も加味して見てみると、、、

17時オープン23時閉店のディナーのお店だと仮定
準備と片付けで1人あたりの1日の労働時間は8時間。
常に「3人」で営業し、休みは週1日。(月の営業日を25日として計算)
総労働時間は8時間x3人x25日=600時間となるので、
「人時売上高」は300万÷600=5000円となります。

ちなみに「人時売上高」の理想値は5000円なのでドンピシャです。

この2つの数字は、例えば4000円とかになると「人がいる割に売上がない」になるし、6000円になれば「売上の割に人がいない」という従業員の激務度合いがわかる指標になります。
そして「売上の割に人がいない」になってしまうと従業員満足度だけでなく、顧客満足度も下がる可能性もあります。

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3つの数字は全てバランスが大切
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長々と書きましたが、これらの3つの数字は瞬時に計算できる、目安にしか過ぎませんが、結構的を得ていることが多く、僕も自分の店の分析に使っています。
そして高ければ、低ければ、いいわけでも悪いわけでもない。
バランスを保つことが大切な数字かなと思います。


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最後に

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実はこの話をYoutubeで僕が自分の店を例にしてお話しています。

実際のリアルなお店の数字も合わせて知っていただくと、どう考えればいいかも含めてご理解いただけるんじゃないかなと思いますのでぜひご覧になって見てください。


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