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何してるかわからない叔父さん

私には9歳離れた弟がいる。春休みになり、子どもたちと実家に帰省している。父と二人暮らしの弟は、昔から常に推しがして、推しが売れていきテレビに出る機会が増えると、番組観覧やラジオのハガキ職人、ライブ映像など色々なメディアに映り込む。

映り込む姿を目撃した親戚から、

「この前◯◯テレビで見たんだけど?!」

と言われるという、謎なキャラクターだ。

例えば、彼は中高時代、紅白歌合戦に出る前ころの星野源さんの大大大ファンだった。ラジオでハガキをたびたび読まれたり、「佐野元春のTHE SONGWRITERS」という番組の観覧にも参加した。この番組では「星野源さんが用意した曲に歌詞をつける」ワークショップがあり、彼の書いた詩が選ばれ星野源さんがその場で歌ってくれて、本人に「これはどういう?」と聞かれて会話し、弟のコメントに星野源さんが大爆笑してくれた……なんて経験を持つ。

少し前には、弟が推していたとあるグループが紅白初出場することになり、ライブ現場が多くの情報番組に取り上げられていた。ファンのほとんどが女性なので、少ない男性ファンは絵的においしかったのか、情報番組や日刊SPAでも、彼のインタビューが取り上げられていたのを見たことがある。

前置きが長くなったが、そんな弟なので、仕事の収入はほとんど遠征などに突っ込んでいる。父は半ば呆れつつも、弟は本人の好きに過ごしている。

弟自身は3人姉弟の末っ子で、昔から人と仲良くなるのがうまい愛されキャラ。

「これ見てよ。生誕祭無事終わったよ」と、弟がスマホの画像を見せてきた。

「あ、そういえば生誕祭やるって言ってたね」
「ほら、これ作ったんだよ」

写真を見ると、大人の背を超えるくらいのパネルに花が敷き詰められ、ドット絵のゲーム風になった推しのイラストが描かれている。

最近またハマっているという、ある推しの生誕祭イベントで実行委員的な仕切るポジションをすることになったらしい。ファンの皆さんからの寄付など取りまとめ、フォトショでイラストボードなどのクリエイティブも作成したという。ガチすぎてものすごかった。最後には収支報告もしっかりするというから、趣味の範疇を超えている。

さて、こんな「何してるかわからないけどなんか楽しそうな叔父」は、うちの子どもたちにとってなかなか最高の存在だと思っている。

「最近ゲーム何してるの?」と弟が子どもたちに話しかけて、子どもたちが「スマブラ」と答える。「◯◯(子どもたちは弟のことを下の名前呼び捨て)!一緒にスマブラやろうよ」「いいよ」とスマブラをプレイ。

叔父と甥姪の距離感ではなくて、完全に友達っぽくて。子どもたちも、多分弟のこと大人だと思ってないんじゃなかろうか。

私もアイドルを応援しているので、帰省するとこの弟と話すのが楽しくて仕方ないのだ。これからも、子どもたちに楽しく生きる姿を見せてくれたらそれでいい。それが、いい。


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かたおか由衣
最近、活動名を「片岡由衣」から「かたおか由衣」に変えました!!

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