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【今でしょ!note#86】 オンロードキャリアとオフロードキャリア

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、キャリアをテーマに話していきます。
大企業に勤める私が、これまで何度も直面してきたキャリアについて、最近なんとなく一つのまとまった考えに辿り着きつつあるので、言葉におこしておこうと思います。


オンロードキャリア

オンロードとは、「しっかりと整備されているコースや道路」のことを指しています。
「オンロードキャリア」なので、次のような特徴がある仕事に取り組む時のキャリア形成だと捉えています。

  • 組織の中で、ある程度やり方が確立されている

  • ルールや仕組みも整っていて、マニュアルなどで規定されている

  • 現状は安定事業である

  • 安定事業なので、取引額も比較的大きいことが多い

  • 取引額が大きいということは、その仕事の関係者も多いので、仕事を回す上での歯車の一つのような感覚になることも

  • 金額が大きいということは、B to Bビジネスであるケースが多いので、直接的に最終顧客の顔が見えにくく、感謝されたりすることも少ない

つまり、先人たちが構築してきたやり方やルールが確立していて、すでに一定のリソースもそこに投入されているため、その仕組みに乗っていかに大きな取引の仕事を問題なく完了させていくか、が仕事の成果になるような仕事です。

特に大企業における「オンロードキャリア」では、「国や地域のインフラを構築する」とか「ある業界で根幹となる技術革新への投資」など、誰が聞いても知っているようなキャリア形成であることが多いです。

一昔前のエリートとされてきた人たちは、誰もが知っている有名大企業に就職し、そこでこれまでなかったものを作り上げる大きなプロジェクトに参画して実績を上げ、収入を上げていきました。

オフロードキャリア

一方で、オフロードとは、舗装されておらず、石やドロが入り混じる未舗装路です。
「オフロードキャリア」では、次のような特徴を持つ仕事に取り組む時のキャリアを指します。

  • 組織の中でやり方が確立されていない

  • ルールや仕組みがなく、当然マニュアルもない

  • 社内では新規事業として扱われる

  • 新規事業なので、既存の事業として確立していない

  • 初期段階では、取引額も小さい

  • 取引額が小さい、または現状はないので、人的リソースも少なく、リソース獲得には組織を説得し投資を得ていく必要がある

  • 金額が小さく一人がドライブしなければならない範囲が大きいため、大変ではあるが、最終顧客(候補)とも距離が近く、人に喜んでもらう実感は感じやすい

つまり、道なき道を自ら開拓していく必要があるので、自分で信念を持ち続けないとポシャってしまいます。現状は、利益が得られるかわからないため、社内と社外を同時に巻き込んで、事業として継続的に稼ぎ出す仕組みを作り、何らかの価値提供ができる状態まで持っていった人は評価される世界です。

一昔前は、天才と呼ばれる人だけが集まっていた分野だと思いますが、最近ではいわゆるエリート層はここに流入してきています。
自ら起業して、自分が必要だと考える事業を興したり、すでに起業した先輩の仕事を手伝っているような人たちです。

「オンロード」→「オフロード」シフトが進む理由

これまでの日本は、戦後の何もないところから半世紀近くで驚くべきスピードで成長を遂げてきました。
何もないところから、新しいものにドンドン投資して、社会課題を次々に解決してきたため、規模が大きいものを構築する仕事が多く、人口も右肩上がりで増えてきたため、あるやり方を確立して、その効率性を最大化できる人が評価される時代背景にあったのだと思います。

一方、現在は、一定の成長が終わり、人口も減少局面です。
とにかくたくさん作って、たくさん売れば良いという時代は終わり、規模の大きな社会インフラは一定の構築を完了し、残る社会課題は高度化・複雑化しています。

そのため、規模にものを言わせてオラオラ作るよりも、限りある人的リソースをどこに投入することを選択していく必要があるか(=つまり、現役世代は、未来に残すサービスを取捨選択することが求められている)、一人・一社ではできない複雑な課題をどのように仲間を巻き込んで解決していくのか、ということが求められるようになりました。

結果、真の優秀層は、過去の延長ではなく、道なき道を自分で切り開いていくような難しい事業にやりがいを覚え、また事業内容がいかに世の中の複雑な課題を解決しているか、という点により共感できる事業に集まっているのだと推察しています。

オンロードもオフロードも両方やる

私自身の社内でのキャリアを振り返ると、「オンロード(国内大規模プロジェクト)→オフロード(海外大規模プロジェクト)→オフロード(国内新規事業創発)→オンロード(国内大規模プロジェクト)」と、オンロードキャリアとオフロードキャリアをともに経験してきました。

両方をやるとよく分かるのですが、双方にやりがいや楽しさがあり、同じく難しさや辛さもあります。

「イノベーションのジレンマ」や「両利きの経営」では、既存事業に取り組みながら新規事業に取り組む難しさと、それを両立させる経営サイドのマネジメント能力について解説されていますが、私はこれを個人レベルでも実現できている人が最も強いと感じています。

オンロードな仕事とオフロードな仕事では、根底にある仕事の価値観が全く異なるため、それを自分の中に共存させる時点で一定の違和感と戦い続けることになります。

「もっとリーンに、成果に直結するやり方でいこうよ」という心の声と、「とはいえこの人数で前に進むためには、ある程度のやり方を再現性ある形にするために時間をかける必要がある」という、ある種の自己矛盾に似た感覚を常に持ち合わせるのです。

ただ、自分自身最近実感し始めているのは、「オフロード仕事」に取り組む時に「オンロードキャリア」の実績ややり方がうまく機能する時があるし、「オンロード仕事」に取り組む時に「オフロードキャリア」の実績とやり方がうまく機能する時があるということです。

オフロード仕事では、オンロードキャリアにおける実績を語るだけで、初めて会った人にも一定の信頼感を得ることができます。
オンロード仕事では、オフロードキャリアにおける本質的な成果だけを取捨選択していくプロセスが、意外と目新しいものというように捉えてもらえることが多くありました。

まとめ

オンロード仕事に従事している人が、なかなか仕事のやり甲斐を見出せず苦しんでいる姿を見ることは少なくありません。
私自身も何度も直面してきた悩みですし、気持ちはめちゃくちゃ分かります。

自分の中で踏ん切りがつけば、さっさと環境を変えてしまえばいいと考えていますが、とはいえ今のところで頑張れるだけ頑張ってみたい、と感じているのであれば、やはり今のオンロード仕事から、自分は何の実績を作るのか、何の専門性、スキルを磨くのか?という目的をはっきりさせることをお勧めします。

過去記事でも紹介していますが、キャリア形成はレゴブロック化しており、手持ちのブロックを増やしていき、自分なりの組み合わせで勝負していくことが重要です。

私自身も、現在はオンロード仕事に従事していますが、ここから得られる経験はしっかりブロック化して、自分らしい未来のキャリア形成の糧にしてやろうと考えています。

全ての経験を「消費」ではなく「仕入れ」と捉えて、真に自分がやりたいことに近づくための時間にしていきましょう!

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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