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Book ~破天荒フェニックス

Bookシリーズ。すごい久しぶり・・。
本はちまちま読んではいるのですが、なかなか最後まで読了できず。

今回は読了も意識したし、そもそも面白かったんで久しぶりの投稿です。

今回の本はこちらになります。

NewsPicksアカデミア会員の9月読書として提供いただいた本となります。

借金を背負った倒産まじかのメガネチェーン店「オンデーズ」を買い取り、企業再生に取り組む(ノン)フィクションエンターテイメントビジネス本です。

読んでみるとわかるんですが、この本は小説に近いです。
ドキュメンタリーでもあるんですけど、話のすごさというか面白さは小説に近いと思います。

いつも読む本については書かれていることを自分なりに消化、翻訳する作業となるわけですが、この本についてはストーリーという感じなので、ざっくり感じたことを書きたいと思います。

・「背水の陣」の力学

私自身の行動の源泉としたいのは「好きなこと」「やりたいこと」である(にしたい)というのがテーマですが、この田中社長はその辺は正直よくわからん人だなという印象でした。でもやったことがないメガネ屋さんも本気で好きになったし、最終的にはオンデーズが大好きで〇〇で一番のメガネ屋にしたい!とは公言しているのでわかりやすくはあるのですが。

ただ借金まみれの会社を引き継ぐところから、正直「流ちょうなこと言ってられない」状態が慢性的に続きます。

旧オンデーズの幹部との衝突や銀行への返済額調達(返済額不足による資金ショート)、売上の低迷、各店舗への運営調査など・・

とにかく「お金がない!」。銀行に返済をまってもらおう!とか取引先に支払いを待ってもらおう!とかそんなんばっかり。。

田中社長はそんなことがしたくてオンデーズを引き取ったのか。
もちろんそんなことはなく、

30歳を迎えるにあたって、経営者として、この辺でひと勝負かけたいという気持ちも強くあるんだよね。でも俺みたいに、会社も小さくて資金も信用もない若い経営者が、大きなチャンスを掴むためには、みんなが嫌がるような案件、ちょうどこのオンデーズみたいな、燃え盛る日の中に自ら酢sンで手を突っ込んでいくようなことでもしないと、なかなかそんなチャンスは掴めないでしょう?

このオンデーズを再生させれば、まだ強力なNo1がいない業界で世界一を目指せるんじゃないか!というモチベーションなんですよね。

やりたいことを実現するために誰もとらないリスクをとって夢を実現させる、これがチャンスと見えてしまう恐ろしいポジティブ思考(本人はそう思ってなさそうですが)。こういったチャンスの掴み方もあるってことですね。

でもこのオンデーズ、再生どころか緊急病棟で今にも死ぬ患者だったわけで、毎日どうすれば死ななくて済むのか、首の皮一枚で生き延びるため四苦八苦がすごいわけです。

この状態での「いいからやるしかねえ」の行動力学に圧倒しました。最初から1000万足りなくて、11社との銀行の支払いリスケ交渉、取引先への支払い交渉、それによる旧幹部や役員の退職・・・。なんとか切り抜けて残高20万。

最近、自分の行動について「始める力」=興味、楽しみであるのに対し、「完遂する力」=??って感じでした。ひらめくしやってみるけど終わらせることができない。

このオンデーズの話で「背水の陣」の行動力学を感じました。
身を投げたら、たとえそれが自分のイメージと違くてもやっていらなねばならない状況に身を置くことで次につながってくるってことはあるんだと思います。

・どんなに大変でも新しいことを始める

この田中社長、経営が火の車なのにも関わらず、とにかく新しいことを始めるのがインパクト大でした。

借金まみれなのに、新店舗を作ってしまうとか、会社を買収しちゃうとか、海外に進出しちゃうとか。

この攻めの姿勢や時間はどうやって作るのか
私自身、会社に勤めながらクリエイティブな時間や労力を使えずに悩んでいることがありました。

田中社長には奥野さんという超パワフル財務責任者がいたんですが、その方との役割分担も重要だったのかと。あとよき理解者でもあった。
とにかく社長はオンデーズの逆転にはこれこれが必要だ!資金繰りは奥野さんよろしく!みたいな。

それで奥野さんが「無茶だよ!社長」とか言いながらも最終的には「やってやるよバカヤロー」みたいなことが何度も繰り返されているっていう。

破天荒はこの辺が大きい理由ではあると思うんですが、私と重ねてみると
「誰も賛同してくれないとできないよな」「否定されたらモチベーションが下がる」とかになっちゃう。

でも社長の案は誰も賛成しなかったし、めちゃくちゃ否定されてましたw。
でも確信をもって進めちゃう。で失敗もしたりする。(普通のメンタルならここで砕けるw)

それでも次のことをやってみちゃうってのがすごい。奥野さんが許可してしまうのもすごい。ここにもたぶん「背水の陣」力学があって、「どうせこのまま自転車操業してもバテてて終わってしまう」って思いもあったんだと思います。

こんなことはなんでできるんだろうなーと私の経験と合わせて考えると、
「責任者(リーダー)である」「リーダーと部下の信頼感がある」、という気がします。

たしかに自分の意見を否定されるのも嫌だし、怖い。
けど、リーダーとして任されたときには自分の周りの部下の考えていることとか、自分の何を受け入れてくれるのかは感じたうえで、施策やチーム方針を決めていた気がする。(それによる制約は確かにあったかもしれないが、受け入れられないアイデアに自分なりに価値があったのかは微妙)

そうなるとチーム外から何言われるかは知らんが、チーム内からはそれほど反発を受けることもないし、それなりにチームが一丸となって実施できた気がする。

だから思い切った活動をするにはまず「リーダー」にならんとダメで、リーダーになったら、協力者を得ることなんだと思いました。
これはなんにでも言えることで、私の起業活動のアクションの源は自分自身で自分のリーダーシップをとることだし、協力者は「妻」です


・話す熱量や説得力

たぶんひどい状況下でも新しいことができたのは社長の発想の魅力もそうだし、部下に話す話し方、熱量なんかもあったんだと思います。

あと暗い状況のなかでもワクワクさせてくれる何か。が従業員に光を与えたのかもしれない。とにかく自分にはない能力で欲しい能力であることは確かでした。

私が痺れたのは旧幹部、山岡部長との対決のシーン。
山岡部長が、

「とにかく、営業部は今までのやり方を急に変えさせるのは心外だ。(略)社長ならもっと経費を削減して、安定した利益を出すことだけを考えて行動して下さいよ!」

と抗議したのに対し、田中社長は

この時、僕は(そうかもしれない)と思った。決して良くはないが、曲がりなりにも安定した売上を維持しているのも事実だ。
(でもやっぱり違う)(略)
「オンデーズは実質的にもう倒産しているんですよ。(略)現在のオンデーズは新体制のもとに新しく生まれた全く新しいオンデーズなんです。」

激しく恫喝した山岡部長に対して憶することなく、自身の考えを曲げずに反論するところには、自分にはない力を感じました。

結局山岡部長は辞めていきましたが、それを受けて旧体制の社員が次々と辞めていきます。この状況の中で中核をなす社員が辞めていくのはかなり痛手です。が、田中社長は「反対派がいなくなってこれでもっと改革が進められる」とポジティブな発言。でも確かにそのメリットもあるなと思いました。(というかそのメリットのほうがでかいかもしれない、クビにできるわけじゃないし)


まとめ

このものすごい難易度の高い仕事を私の年齢くらいのときにやっているというから驚きました。人生レベルが全然違う・・。

かといってここまでリスクを負ってチャンスを掴むモチベーションはありませんが、夢に向かうために後には戻れない状況を自ら作りに行くってのはアリだと思いました。



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