野性の同盟 の深読み

細かい情報はWikipediaで  以下、歌詞

挨拶のない手紙を書き損じたまま大事にしたい折目が嵩張っていく
綯い交せの念僕は埋め尽くしたものの相変わらず君へ送れず仕舞い
ふしだらな世界を縫って引き合うようにふたりは野性を有している
ねえ如何して今会えないでいるかを教えて欲しいよ声が聴きたいよ
知っていたんだ前に云っていたね君にとっては沈黙だけが正しいと
最初の出会い遥か秋空を思い返せば内緒の願いもじき片付いていく
分かたれた未来の今日が割り出す過去ひとりじゃ野性を無くしそう
ねえ如何して今会いたくなったかを考えて欲しいよ顔が拝みたいよ
憶えているちょっと泣いていたね僕にとっても沈黙だけは正しくて
真相なんて何時だって物音ーっしないしじま一点に宿っているんだ
そう「生きている」と言う絶望こそが君と僕とを結わえている野性
さあかっての少年少女等は分厚い諂いを着込んでいるころでしよう
ああ冷えて来た思い出してしまうのは君の無言の吐息の白さ/潔さ

サビの部分が可愛い(女々しい?)ので女から見た曲だと思っていたが登場人物が君と僕であり男から歌った曲だと理解。椎名林檎はプライベイトやシドと白昼夢、カプチーノなどから女の子目線のイメージが強かったためとても珍しい曲だと思った。

難しい表現の意訳をあげる
・嵩張る(かさばる): 場所を取る
・綯い交ぜ(ないまぜ): いろいろのものをまぜ合わせて一緒にすること
・分かたれた: けじめをつけた、分かれた
・しじま一点: 静まりかえって、物音一つしないこと
・諂う(へつらう): 人の気に入るようにふるまう。お世辞を言う。こびる。

以下深読み考察である。一番で男が女へ思いを焦がしている情景(大事にしたい折目、綯い交ぜの念)があり、ひきあうように~のフレーズで睦まじい二人だと思ったがサビで二人が何かしらの理由で会えないでいることがわかり、大事にしたい折目なのに嵩張るというマイナスの表現が使われているのも辻褄が合う。 二番の分かたれたが単純に分岐した方という意味ではなく、けじめをつけたという意味で捉えると過去を思い出してどうしようもなくなっている男の情景が見えると思う。二番サビでちょっと泣いてたねという表現で女の方も未練がある(?)が一番、二番のサビで出る沈黙という表現が他に方法がなく納得するしかない状態を表していると考えた。ラスサビの少年少女~は純粋や時の流れを表していると考え、ふしだらや野生といった言葉に対するものだと思う。この中での野性は男女の関係であり、同盟とは割りきった、合意した仲 と解釈した。シチュエーションとしては、女方に家庭ないし、離れなければならない事情があるが、男と関係を持った。しかし、その関係も終わらせなければならず、男も女もどうしようもない(→沈黙、無言)ことがわかっている。その上で恋慕する男の心を描いたものだと思った。

椎名林檎の曲で珍しく(?)男を中心に書いており、難しい表現も多く、全部を聴かないと一番の歌詞が理解できなかった。ここまで解釈して改めて椎名林檎の作詞が凄いと感じた。さらに好きになりました。

今回の記事を書くにあたって参考にした記事 
http://sanni7032320.hatenablog.com/entry/2016/04/12/150006

椎名林檎 逆輸入 ~港湾局~
https://www.amazon.co.jp/dp/B00J84E7Y4/ref=cm_sw_r_cp_awdb_c_2aLtBbZ68C4QN



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