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ひとりBIODESIGN 疾病の基礎3

今回は6つある項目のうち「②疾病生理学」の部分を行う。疾病の基礎2の記事の続きとなるため、対象とする疾病は糖尿病である。

まず初めに、今回行う「疾病生理学」の項のおさらいから始めたい。BIODESIGNの教科書に書いてあることの概要は下記の通りだ。

②疾病生理学 (病気の機能、原因、疾患の進行)
疾病がどのようにして正常な身体組織や機能に影響を及ぼすかを理解する。次に、リスクファクターと因果関係を同定する。例えば、遺伝学、年齢、関連疾病及びライフスタイルなど。最後に、疾病の進行と疾病が異常な機能に結びつく割合を理解する。例えば、日ごと、週ごと、年ごと、影響の出るピーク年齢や疾病のステージごとの変化のタイプなどの例が挙げられる。

それでは、糖尿病を対象にして、疾病生理学の調査を始めよう。

以前の記事(疾病の基礎2)で糖尿病に関する臓器の解剖学と生理学については調べてあり、登場する臓器は「膵臓」、「肝臓」、「筋細胞、脂肪細胞」だった。「膵臓のインスリン、グルカゴンの分泌」とそれら2つの物質により起こる「肝臓でのグルコース取り込み、放出」のバランスが保たれているため、血糖値は一定に保たれているのだった。

糖尿病は、インスリンの作用の不足に基づく慢性の高血糖状態を特徴とする病気である。インスリンの効果が不足する機序としては、インスリンが分泌されなくなる、もしくはインスリンが作用する臓器、細胞に対して効きが悪くなるということが挙げられる。インスリンの分泌が不足してしまう原因は、膵臓のβ細胞の数が破壊などによって減ってしまうことや機能不全だ。また、インスリンの効きが悪くなる原因は、様々なものあるようで、例えば、肥満などによりインスリンの効きを妨げる物質(TNF-α、FFA)が増加することが挙げられるようだ(ここでは詳細は省く)。

上に書いたようにインスリンの作業不足の原因は大きく分けて2つあり、その2つに対応させた分類がされている。一つ目は、一型糖尿病といい、膵臓のβ細胞が破壊などによりインスリン分泌がなくなる場合である。また、2つ目を二型糖尿病といい、インスリンの効きが悪くなる場合である。(※他にも妊娠糖尿病や遺伝子異常、疾病による糖尿病があるがここでは省く)。

いずれの場合の糖尿病でも、高血糖状態が長く続くと、網膜、腎、神経を代表とする多くの臓器に異常をきたす合併症が出現する。これらの合併症は、細い血管の異常が原因となって起こり、放置すると視力障害、失明、腎不全、下肢壊疽という結果につながってしまう。また、動脈硬化が促進され、心筋梗塞、脳卒中、下肢の抹消動脈疾患などの原因となるようだ。これらは放置すると命が脅かされてしまう。ちなみに「人は糖尿病では死なず、あらゆる合併症が原因で死ぬ」という言葉があるらしい。なんともおそろしい。。。細小血管や大血管の異常は、高血糖により様々な化学反応経路が影響を受けたことが原因となるがここでは詳細を省く。

また、上記に加えて、糖尿病ケトアシドーシスと高血糖高浸透圧症候群による高血圧昏睡や低血糖昏睡、乳酸アシードシス、脳血管障害などの急性合併症が存在する。

いくつか合併症を詳しく調べてみよう。ケトアシドーシスは、一型糖尿病の発症時によく見られる合併症で、グルコースを消費できなくなった体が、脂肪を分解してエネルギーを生成しようとして生じるケトン体が原因で発症する。大量のケトン体により酸性になった結果、それを戻そうとする働きによって脱水が起こり、放置すると昏睡してしまう。高血糖高浸透圧症候群は、感染、高カロリー輸液、薬剤投与などにより、脱水と高浸透圧になってしまった場合に起こる。脳の細胞に障害が出てしまい意識障害が起こる。

ここまでを大雑把にまとめると、糖尿病は次のようにして正常な身体に影響を与えることがイメージできる。
①インスリンの作用不足が起こる(=糖尿病発症)。
②(インスリン作用不足により)肝臓や筋細胞、脂肪細胞などがグルコースを取り込めなくなる。
③(取り込めなくなった結果)血中のグルコース濃度が高くなる(=高血糖になる)
④-i(慢性高血糖の結果)急性もしくは慢性合併症になる。
④-ii(治療の過程で低血糖になった場合)低血糖昏睡 
⑤種々の合併症の症状により、身体に影響(視力障害、失明、腎不全、下肢壊疽、心筋梗塞、脳卒中、下肢の抹消動脈疾患、昏睡など)

BIODESIGNの疾病研究では、臓器や細胞の正しい機能を知る→疾病の機能を知る→身体への影響を知るというように体系的に病気を理解できるようなステップを踏んでいる。

さて、少し長くなってしまったので、リスクファクターと因果関係に関しての調査は次回にするとしよう。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。


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