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僕のコーチは女子大生

『オン眉』というJDが使う言葉

「はい!オン眉って言うんですよ」

彼女との会話はいつも新しい発見で溢れている。
画面上での彼女は少し照れくさそうに前髪に手を当ててはにかんでいた。

「ちょっと切りすぎてしまったのかも…」

10歳も年下の彼女はまだまだ初々しさもあり、言葉をいつも選びながら話してくれてる。

毎週やっていたときもあるし、隔週になったこともあるし、今は月に1回彼女との時間はやってくる。

今だから話せるが…最初この時間が苦痛でしかなかった。
仕事がしたい、この時間はスキップしたい、しんどい、この時間を使うよりは他の時間に当てたい。
ずっとそう思いながらどうにかこうにか時間をひねり出して話をしていた。

なんのためにこの時間があるんだろう。
2年前の僕はそういった感情に近い状態でこの時間を迎えていたと思う。

彼女は僕のコーチのまりし。
れっきとした大学生。いわゆるJDだ(2021年3月まで)

僕のコーチは女子大生…今日はそんな話をしようと思ふ。


問いという名の『贈りもの』

出会いは約2年前。

前職のベンチャーで働いていた僕は複業をいくつかこなすというそれはもうなかなかな離れ業をやっていた。
確かに身体は疲弊していたが、充実していたから全然気にしていなかった。

もともとドがつくほどのワーカホリックで、仕事をしていてもしんどいと思わないタイプ。
右まぶたがピクピクしだしたらやべーなって思うくらい、働くのが好きな人だと自分のことを思っている。
だから正直なところ、あまり気にしていなかった。

ただ、彼女とコーチングを始めた頃に言われた言葉は今でも忘れられない。

『仕事が楽しいのは良いですが、1日のうちで好きな時間はいつですか?』

すっと出なかった。そう、すっと出なかった。
自分でもすごくあれ?と思った。
一番好きな時間がすっと出なかったのだ。

これには自分でもびっくりした。

少し迷って…
『仕事してるときかな』
と答えたが、なんとなく自分の中で腑に落ちなかった。

こんなことを考えるなんて本当に今考えたら笑えるが、忙しくなるという言葉は「心を亡くす」と書くが、おそらくそれが起きていたんだと思う。

僕とまりしは僕の好きな時間探しから始まった。

何が好きなのか、何の時間が一番落ち着くのか、ホッとするのか。
今抱えているものがなくなったら何をするのか?
本当にこの図のように、なんとなく、好きそうな時間をピックアップしてそれを毎日やったかどうかを◯✕をつけていく。
当時の僕は睡眠時間が上下しまくっていたので、それもついでに記入していた笑

キャプチャ

・好きなコーヒーを飲む時間
・運動をする時間
・本を読む時間

そんなことを毎日チェックをして定期的に確認するということをやっていた。

このような『問い』というのがすごく僕は大事だと気付かされた。
それは、一度立ち止まって考えるときに僕は一体何が大事なのかなと考える、思考を深められるタイミングだから。

・好きなコーヒーを飲む時間
→デカフェでも良い
朝ゆっくり過ごしたい
・運動をする時間
→動く必要はない
何も考えない時間が過ごしたい
・本を読む時間
→本でなくても良い
何かしらインプットもしくはアウトプットする時間がいる

問いは人の思考を深めることにものすごく役に立つ。
おそらく、そういったところが僕にとてはすごくそれはすごく大切な時間になっていったんだと思う。

だから僕はコーヒーを飲むことが好きなのではなく、朝ゆっくり過ごしたいと思えるようになり、本を無理して読むのではなく、何かしらインプットする時間が自分の幸せだと気づけた。

このように問われると人は考える。

僕が今心を亡くさずに思いっきり仕事を楽しめているのは、きっとこの一番好きな時間に気づけたからだと思う。

ありがとう、まりしのおかげで何が大切かに気づけた気がするよ。

付き合い続けねばならないさらけ出すことの恐怖

僕は鋼のメンタルと突き抜けたストレス耐性があるとよく言われるが、本当は、嫌われるのが怖いし、人が離れていくことがものすごく寂しい。

仕事を頼まれれば受けちゃうし、断ることができなかったり、Noというのが実はすごく下手だったりする。

多分さらけ出すのが苦手なんだと思う。
人を信用するのにはすごく時間がかかるし、時間がかかる。
こういうnoteみたいにたまに本気でぶっちゃけられるけど…笑

コーチングの嬉しいところはたくさん自分の振り返りをしていくことでたくさん問いをもらうことだと思っている。
あのとき、なぜあんなふうに感じたのか、あのときどうしてこう動いたのか。

その都度、僕は弱い部分が出てくることが多い。

多分、まだ開けたくないパンドラの箱があって、その中には辛い部分やきついところや、悲しい部分があって、それを整理しきれいないことが多い。

今はその僕がまだ開けきれいない部分を少しずつコーチングを使って開いていけるようにしていっている。時間がかかっても多分、それが自分を知ることなのかなと思っている。


最後に

最初に嫌いだったコーチングの時間は僕にとってはすごくかけがえのない時間になっている。

決して何かしら大きな変化が短期的にあるわけじゃない。
そして、きっとゴールはない。
でもほんの少しだけほんの少しだけ僕は立ち止まって自分と向き合える時間をもらえている。

流行を知るために不易を知り、不易を知るために流行を知る。
自分の変化に気づくためには自分の変わらないものを見なければ変化には気づきづらい。

2021年3月に彼女が大学を卒業した。
彼女は就活せずにそのまま起業をしていくそうだ。

コーチングを軸にした学習塾を立ち上げるらしい。
本当に素晴らしいし、頼もしい。

僕のコーチが大学生じゃなくなった笑
肩書は変わるけどコーチはずっとコーチだと、彼女ははにかみながら話してくれた。(いや、話していないかもしれない、でも話したことにする笑)

こうやって毎日を慌ただしく生きていく中で、好きという感覚に今後も向き合っていこうと思う。

そして、僕がすべてをさらけ出せるようになるのはもう少し先だから、まりしにはもうコーチとして少し付き合ってもらおうと思う。

また今月もコーチングの時間が来る。
彼女は毎回僕の話をうんうんと頷きながら聞き、いくつか問いを投げてくれる。それを繰り返しながら僕の思考は深まっていく。

『3月、もうすぐ卒業なんです。』
と彼女は少し伸びた前髪を揺らしながら話してくれた。
変化をしたのは僕だけじゃないみたいだ。

そうか、新年度か。

卒業おめでとうまりし。
そしてこれからもよろしく頼みます。

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