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【自由研究】ペットボトルキャップで数学してみた(和)<中編>

 こんにちは!!
 閲覧いただき、ありがとうございます。

 前回の記事では、
$${1+2+3+・・・+n=\frac{1}{2}n(n+1)}$$という公式を、ペットボトルキャップを使って導きました。
前回の記事はこちら↓↓

 今回は、前回の記事の「まとめ」で書いたことを生かして、
$${1^2+2^2+3^2+・・・+n^2}$$の公式を導いていきます。
これが今回の記事のゴールです。

 最後まで読んでいただけると、嬉しいです。
 よろしくお願いします。

1 前回のまとめ

  • 公式を導くには、足し算をかけ算にすればよい。

  • 足し算をかけ算にするということは、線の長さを求めることから面積を求めることに変わると捉えることができる。

  • $${1+2+3+・・・+n}$$の公式を導くには、まずペットボトルキャップを三角形に配置して、次に同じ形(合同)の三角形を180°回転させて右から付け加えて平行四辺形を作り、最後に平行四辺形を長方形に変形すればよい。

2 1^2+2^2+3^2+・・・+n^2=??

 では、公式を導きます。
 方針としては、
$${1^2+2^2}$$、
$${1^2+2^2+3^2}$$、
$${1^2+2^2+3^2+4^2}$$
を、それぞれペットボトルキャップで表現して、効率よく求める方法を見いだします。
 それらからパターンを見つけ、
$${1^2+2^2+3^2+4^2+・・・+n^2}$$
に当てはめれば、公式化できます。

・ 2の2乗、3の2乗、4の2乗をどうやって表現するか

 $${2^2=2×2、3^2=3×3、4^2=4×4}$$
なので、かけ算です。
 「1 前回のまとめ」で書いたように、かけ算は図形の面積と捉えられます。
 ということは、$${2^2、3^2、4^2}$$はペットボトルキャップで、次のように正方形の面積として表現できます。

図1 2乗はキャップの積み重ねで表現する

 これを使って、公式を導きます。

・ 1^2+2^2

 $${1^2+2^2}$$は、ペットボトルキャップで、このように表現することとします。

図2 手前の1個は1の2乗、後ろの4個は2の2乗を表現している

 では、どうやって効率よくペットボトルキャップの個数を求めればよいのか。
 まずは、図2の配置をしたペットボトルキャップをあと2つ作り、それぞれ60°ずつ回転させたものを準備します。

図3 元のキャップ(図2)を回転させたものを2つ準備

 次に、図3の元のキャップの上に60°回転させたキャップを積み重ね、さらにその上に120°回転させたキャップを積み重ねます。

図4 元のキャップに60°回転させたキャップを積み重ねた結果
図5 図4の積み重ねた結果のキャップに、120°回転させたキャップを積み重ねる


図6 ペットボトルキャップの個数の変化

 図5の積み重ねた結果を見ると、立体(三角柱)が出来上がりました。
 この三角柱の体積が、$${1^2+2^2}$$を効率よく求めるきっかけになります。
 三角柱の体積は、(底面積)×(高さ)で求められます。

図7 三角柱の底面積や高さとは

 底面積は、$${1+2}$$で

図8 黄色の三角形のところにあるペットボトルキャップの個数

 高さは図6より$${5}$$と分かります。
 よって、ペットボトルキャップの個数は
 $${(1+2)×5}$$
です。
 これは、元のキャップを3組積み重ねたものだから、元のキャップの個数は、
 $${(1+2)×5×\frac{1}{3}=5}$$(個)
です。

図9 3組のペットボトルキャップの組み合わせ

・ 1^2+2^2+3^2

 同じようにして、$${1^2+2^2+3^2}$$を求めてみます。

図10 3組のペットボトルキャップを準備


図11 ペットボトルキャップの個数の変化

 図10の元のキャップの個数は、底面積が$${(1+2+3)}$$、高さが7の三角柱の体積を求めて、$${\frac{1}{3}}$$をかければよいので、
 $${(1+2+3)×7×\frac{1}{3}=14}$$(個)
です。

・ 1^2+2^2+3^2+4^2

 同じようにして、$${1^2+2^2+3^2*4^2}$$を求めてみます。

図12 3組のペットボトルキャップを準備


図13 ペットボトルキャップの個数の変化

 図13の元のキャップの個数は、底面積が$${(1+2+3+4)}$$、高さが9の三角柱の体積を求めて、$${\frac{1}{3}}$$をかければよいので、
 $${(1+2+3+4)×9×\frac{1}{3}=30}$$(個)
です。  

・ パターンを見つけて公式を導く

 $${1^2+2^2=(1+2)×5×\frac{1}{3}}$$
 $${1^2+2^2+3^2=(1+2+3)×7×\frac{1}{3}}$$
 $${1^2+2^2+3^2+4^2=(1+2+3+4)×9×\frac{1}{3}}$$

 このように並べると、こんなパターンが分かります。

図14 見出せるパターン

 図14にあるパターンを使って、公式を導きます。

 $${1^2+2^2+3^2+・・・+n^2}$$
$${=(1+2+3+・・・+n)×(2n+1)×\frac{1}{3}}$$

図15 公式を導く

ここで、前編で導いた公式を使って、

$${1+2+3+・・・+n=\frac{1}{2}n(n+1)}$$

これを代入して、

 $${1^2+2^2+3^2+・・・+n^2}$$
$${=\frac{1}{2}n(n+1)×(2n+1)×\frac{1}{3}}$$

式を整理して、

 $${1^2+2^2+3^2+・・・+n^2}$$
$${=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)}$$

これが公式です。

3 公式が正しいことを、数式で示す

 上述した公式を導く前の式、つまり簡単にする前の式は
 $${1^2+2^2+3^2+・・・+n^2}$$
$${=\frac{1}{2}n(n+1)×(2n+1)×\frac{1}{3}}$$
でした。

 この中で、よく分からない部分は$${2n+1}$$だけです。

 他の$${\frac{1}{2}n(n+1)}$$は前回の記事で示していますし、$${\frac{1}{3}}$$の部分は、3つの立体を組み合わせているから、$${\frac{1}{3}}$$をかけるのは当然です。

 では、$${2n+1}$$はどこから言えるのか。
 この式が主張しているのは、3つの立体を積み重ねてできた三角柱のどのキャップタワーに積み上げられた個数も$${2n+1}$$だということです。

・ 新しく文字を定義する

 上述したように、公式を導くためには、立体を3つ準備しないといけませんでした。
 それは、元の立体、60°回転させた立体、120°回転させた立体でした。
 これらの立体をそれぞれ、$${D_0、D_{60}、D_{120}}$$とします。

図16 1^2+2^2+3^2+4^2の場合

 次に、$${D_0}$$の立体の下から$${k}$$行目、左から$${l}$$列目にあるキャップの個数を$${(k,l)_0}$$と表すこととします。

 同様に、
 $${D_{60}}$$の立体の下から$${k}$$行目、左から$${l}$$列目にあるキャップの個数を$${(k,l)_{60}}$$
 $${D_{120}}$$の立体の下から$${k}$$行目、左から{l}$$列目にあるキャップの個数を$${(k,l)_{120}}$$と表すこととします。
 例えば、$${(1,1)_0=1、(3,2)_0=3}$$です。

 また、定義より、$${k \geqq l}$$です。1行目2列目には、キャップはないですからね。

・ どのキャップタワーに積み上げられた個数も2n+1個だと示す

 このことを示すのは、これを示すことと同義です。

 $${(k,l)_0+(k,l)_{60}+(k,l)_{120}=2n+1}$$

 では、示していきます。
 まず、$${(k,l)_0=k}$$です。

図17 D0の場合

 次に、$${(k,l)_{60}=n-(k-l)}$$です。

 なぜこの値になるのか説明します。
   $${(1,1)_{60}=n}$$
   $${(2,1)_{60}=n-1}$$、$${(2,2)_{60}=n}$$
   $${(3,1)_{60}=n-2}$$、$${(3,2)_{60}=n-1}$$、$${(3,3)_{60}=n}$$
 ・・・
  $${(n-2,1)_{60}=3}$$、 $${(n-2,2)_{60}=4}$$、・・・
 ・・・
  $${(n,1)_{60}=1}$$、 $${(n,2)_{60}=2}$$、・・・、 $${(n,n)_{60}=n}$$

 上の全てで、$${(k,l)_{60}=n-(k-l)}$$が成り立つことがわかります。

図18 D60の場合

 最後に、$${(k,l)_{120}=n-(l-1)}$$です。

 なぜこの値になるのか説明します。
 $${(1,1)_{120}=n}$$
   $${(2,1)_{120}=n}$$、$${(2,2)_{120}=n-1}$$
   $${(3,1)_{120}=n}$$、$${(3,2)_{120}=n-1}$$、$${(3,3)_{120}=n-2}$$
 ・・・
  $${(n-2,1)_{120}=n}$$、 $${(n-2,2)_{120}=n-1}$$、・・・
 ・・・
  $${(n,1)_{120}=n}$$、 $${(n,2)_{120}=n-1}$$、・・・、 $${(n,n)_{120}=1}$$

 上の全てで、$${(k,l)_{120}=n-(l-1)}$$が成り立つことがわかります。


図19 D120の場合

 これらのことから、
 $${(k,l)_{0}+(k,l)_{60}+(k,l)_{120}}$$
$${=k+(n-(k-l))+(n-(l-1))}$$
$${=k+n-k+l+n-l+1}$$
$${=2n+1}$$

 よって、示せた。

4 まとめ

  • $${2^2、3^2、4^2}$$はペットボトルキャップで、正方形の面積として表現すればよい。

  • $${1^2+2^2+3^2+・・・+n^2}$$の公式を導くには、まず$${1^2、2^2、3^2、・・・、n^2}$$を三角形の形に配置して、次にそれぞれ60°ずつ回転させたものを2組作って、元のキャップの上に60°回転させたキャップを積み重ね、さらにその上に120°回転させたキャップを積み重ねて三角柱を作って、最後にその三角柱の体積を3で割ればよい。

  • 3 で示した$${2n+1}$$は、数列$${1^2,2^2,3^2,・・・,n^2}$$、つまり$${1,4,9,16,・・・,n^2}$$の階差数列の一般項と等しいことも分かった。ただし、なぜ等しくなるのかは分からなかった。

5 次回は

 次回はいよいよ本丸の$${1^3+2^3+3^3+・・・+n^3}$$の公式を導くことを考えます。

後編はこちら↓↓

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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