見出し画像

割引率バトル: 税込価格が税抜価格よりも安くなるラインとは?

1 はじめに

 昨日の我が家の食卓で、こんな会話がありました。

食卓の会話


 さて、この会話の違和感、わかりますか?
 私の返答がそっけない?
 そんなことはありませんよ!
 違和感は、妻の「消費税が10%だから、クーポンで15%引きされてて5%お得」という部分ですね!
 これ、よくある勘違いなんです。
 この記事では、この勘違いの原因と正しい考え方について書きました。
 よければ、最後まで読んでください!!

2 どこで勘違いしてる??

 スーパーなどで売られている商品の価格には、必ず消費税が上乗せされてます。消費税が上乗せされる前の商品の価格を「税抜価格」、消費税が上乗せされた商品の価格を「税込価格」といいます。割引きは、この税込価格から割引されます。

【税抜価格が1000円の商品の場合】
 税込価格は消費税10%を加えた税込価格は1100円です。
 15%引きした場合、
 $${1100-1100×0.15=935}$$(円)
 です。

 「1 はじめに」の会話で5%お得と言っていましたよね?もし5%お得ならば、$${1000×0.05=50}$$円お得になるはずですが、実際には75円お得です。勘違いしていたポイントはどこか?それは、割引は税込価格からされるというところですね!!!

3 何パーセント割引だったら、消費税分を取り戻せる?

 では、割引率が何パーセントからだったら、消費税分を取り戻せるのでしょうか?
 それは、この式を立てれば分かります。

税込み価格ー割引された価格=消費税額

 【税抜価格が1000円の商品の場合】
 もし$${x}$$%割引だったら上の式が成り立つとします。
 このとき、
 税込価格=$${1000+1000×0.1=1100}$$円
 割引された価格=$${1100×x=1100x}$$円
 消費税額=$${1000×0.1=100}$$円
 これらを上の式に入れると、
 $${1100-1100x=100}$$
 $${1100(1-x)=100}$$
 $${1-x=\frac{1}{11}}$$
 $${x=1-\frac{1}{11}}$$
 $${x=\frac{10}{11}=0.90…}$$
よって、9%引以上の割引率であれば、消費税分を取り戻せます!!

4 ここまでくると一般化したいな~

 税抜価格が$${a}$$円、$${x}$$%割引された商品があります。消費税分を取り戻すには、割引率が何%以上だったらいいかを求めます。消費税は10%とします。
 「3 何パーセント割引だったら、消費税分を取り戻せる?」で示した式の「=」を不等号に変えて使います。
 税込価格=$${a+a×0.1=1.1a}$$円
 割引された価格=$${1.1a×x=1.1ax}$$円
 消費税額=$${a×0.1=0.1a}$$円
 これを不等式に入れます。
 $${1.1a-1.1ax\leqq0.1a}$$
 $${1.1a(1-x)\leqq0.1a}$$
 $${1-x\leqq\frac{0.1a}{1.1a}}$$
 $${1-x\leqq\frac{1}{11}}$$
 $${1-x\leqq\frac{1}{11}}$$
 $${x\geqq\frac{10}{11}=0.90…}$$
よって、9%引以上の割引率であれば、消費税分を取り戻せます!!

5 おわりに

 昨日の食卓の会話から疑問に感じたことを調べると、こういうことがわかりました。
 「4 ここまでくると一般化したいな~」で示した通り、$${x}$$の範囲には文字$${a}$$が入っていません。つまり税抜価格が何円でも消費税分取り戻せる割引率は9%
ということです。
 これは文字式の良さですね!!
 また、消費税は10%に対して、消費税分取り戻すための割引率は9%という割合の違いも面白かったです。
 何気ない会話の中の違和感から始めたこの記事ですが、こんな事実があるとは思いませんでした!調べてみてよかったです!
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?