得より損に注目してしまう癖

プロスペクト理論。得で感じる幸福の量よりも損で感じる悲しみの方が大きい。ここから損失回避という行動特性が生じるようです。行動経済学では有名な説の一つです。

普段の生活でも往々にしてあるなと感じます。

特に仕事をして、順調にキャリアを積み重ね、結婚をして、子供ができて、となるとそこから新たに挑戦する際にすごくこの説を痛感します。

「もし、転職してうまくいかなければ家族に迷惑をかけてしまう、ましてや独立なんてしたら路頭に迷わせることになるかもしれない」

「営業で上手くいったとしても、事務的なミスや少しのクレームで、完璧に仕上げたつもりの仕事がダメなものと感じてしまう」

「子供の記念写真をとろうとして、最初割引で3千円だと思ったのに、気づいたらなぜか1万5千円もとられててすごく損した」(さすがに弱すぎるか)

しょうもないこともいれたらどんどん出てきそうです。得よりもなぜ損に目を向けるのか。

日本人だからこう思うのかというと、そうでもなさそう。人間全般としての資質なようです。ただ、日本人はより強い傾向のようです。

そもそもなぜ、損に目を向けるのかというと、現状維持バイアス(変化により脳にストレスがかかる)、闘争本能の欠如(本来人間には脅威に対して戦うか、逃げるかの二つの判断を迫られますが、現代においては戦う必要性がなくなってきた)、損による悲しみの感情について長時間耐えたくないため(喜びより悲しみの方が感情の持続性がある)、というのが理由のようです。

言われてみるとそうだなとは思います。

現状維持バイアス。これは日本では生活するに困らない仕事もあり、稼ぐこともでき、貧困とは言いながらも生活保護というセイフティーネットもあることから考えると、変えるという行動をしなくても特に危機が差し迫ることもないし、将来も見通しやすい(と思いやすい)ので、現状維持の方向に行きやすいと思うのです。自分自身がそうだなと感じます。やはり人間楽な方に行きたいですよね。

闘争本能の欠如。これは、特に歴史というか文化になるのかもしれないですね。闘争本能でいうと仕事への姿勢・キャリアの積み方をどうするかという点かと思うのですが日本の場合、もともと清貧という言葉がある通り、清く貧しく働くという価値観が植え付けられており、楽して稼いで良い暮らしをするという価値観が受け入れられにくく、またそういう者に対する嫉妬心が強烈なのかなと思うのです。とすると、頑張って仕事をしても世間からの評判が芳しくなく、少しの失敗で逮捕され、大きく報道され、厳しい言葉を浴びさせられる状況となり、この状況がたくさんあると闘争本能自体がどんどん失われていくのだろうなと思います。これは新入社員が、最初は希望をもって会社に入って仕事をしているのに、会社(の中にいる人たちとの関係、指導)により闘争本能を奪われている状態と被るなと感じるのです。

悲しみをより多く感じる。これは悲しみというよりもマイナスな感情が喜びの感情よりも複雑で、たくさんあることからそのマイナスな感情もなかなか消えにくいのではと思うのです。

憎しみ、絶望、心配、失望、嫉妬等々。いろんなマイナスな感情がもう少し簡単だったらよいのですが、それくらい人間の感情は悲しみについてすごく細かく分類されているのかなと思うのです。

上記は全て私見ですのであしからず。


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