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読んで良かった本2021(結婚、新生活、微生物、健康、社会)

今年読んだ279冊の中から、特に読んでよかったものを紹介します。
特に衝撃を受けた本には💥マークを付けていきます。

💥1.発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47|借金玉

「心を壊さずに生活をやっていく」ために大事なことがすべて書かれた本当に優しい本。めちゃくちゃ参考にしています。必ず生活が良くなるので発達障害者じゃなくてもおすすめです。

2.出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと|花田菜々子

「意味のわからないファッションセンスの人と友達になったりしたい」という自分の気持ちに気付くところ、あまりにも「本当の気持ち」すぎて泣いてしまいます。

3.映画にまつわるXについて|西川美和

これを読むまで映画って「過不足なく効果的な順番で見せられる情報からなる一連の展開」を楽しむものだと思ってたので、「詩や俳句」というのは目から鱗でした。この本を読むために先に西川監督の映画「ゆれる」を観たんですが、本当に詩的で衝撃的でした。
ちなみにこの後に読んだ本でクドカンも同じことを言っていて面白かった。

💥4.10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」|森山至貴

自分のずるさ、優しくなさに気付かせてくれる本です。
たとえば「もっと早く言ってくれればよかったのに」という言葉に含まれているのは、「困っているときこそ困っていると言えない状況」に対する想像力のなさ。胸に手を当て反省しながら読みました。
キャラクターの会話形式で読みやすいです。

💥5.表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬|若林正恭

いや~これ、本当によくて、タレントエッセイの範疇を超えすぎててびっくりしちゃいます。
この国で生きることのしんどさ。その疑問に向き合い、社会について謙虚に学び直し、他の国に実際に行って自分で考える。ものすごく真摯な本でした。
この本をきっかけに、私も新自由主義への疑問が胸に渦巻き始めた気がします。

💥6.困難な結婚|内田樹

「結婚」する必要があるのかどうか、悩んでいた時に最終的に背中を押してくれた本です。やっぱり説得力がすごい。改めて引用させてください。

とにかく結婚は本質的には破局的事態に備えた安全保障契約なんです。自分は永遠に病気もしないし、怪我もしないし、失職もしないし、いつでも好きなときに好きな人とセックスできると思っている人は結婚なんかする必要がありません。
結婚というのは、そういう人がするものじゃないんです。自分が「落ち目」のときに身銭を切って支えてくれる人を手元に確保するための制度なんです。いいですか、ここが肝腎なんです。自分が落ち目のとき、です。
自分が落ち目になっていて、もう力がない。それは言い換えると、配偶者に結婚という社会契約の履行を迫る実力がもうなくなっているということです。自分に力があれば、「おい、ちゃんと牧師さんの前で『病めるときも貧しきときも』って約束したんだから約束は守れよな。守らないとそれなりの落とし前はつけてもらうぜ」と凄むこともできますけれど、もうへろへろなんです。
こっちが「はふ~、助けて~」という手も足も出ない無防備状態のときに安全保障の発動がはじめて要請される。だから、そのとき発動しないと困るんですよ。こっちは無力なんだから。配偶者に結婚契約の履行を迫るだけの社会的実力がなくなっている状態のときはじめて結婚契約の履行が切望される。
この逆説的な状況のうちに結婚の「味」は集約されていると僕は思います。このときに「ああ、結婚しておいてよかった……」と呟くことができるようになるために、その日のために、今結婚しているんです。

p263-264

うーん、すごい…
去年えらいてんちょう(矢内東紀)先生の「しょぼ婚のすすめ 恋人と結婚してはいけません!」を読んでこちらにも大いに影響を受けたんですが、この本も内田先生の「困難な結婚」を下敷きにしているんですよね。結婚ってそもそもなんなのか、結婚する必要があるのかどうか、悩んでいる人はぜひ読んでください。

7.毎日すること。ときどきすること。|有元葉子

去年からとても影響を受けている料理家の有元葉子先生の生活エッセイ。
結婚して初めて実家を出て自分で生活を作っていくにあたり、どうすれば食材や汚れを溜め込んで破綻させてしまうことなく生活を循環させることができるのか、その答えを求めてとにかくいろんな本を読みました。有本先生の考え方は本当に本質的で、この本も真似する価値のある上質なアイデアが詰まってます。

8.“世界一”のカリスマ清掃員が教える 掃除は「クロス」を使って上手にサボりなさい!|新津春子

新生活、掃除って何を何でどれくらいの頻度でどこまでやればいいの…!?と不安だったのですが、この本を読んで「まずは水と雑巾で拭けばいいんだ!」ということに気が付きました。
当たり前すぎて他の家事本だと逆に教えてくれないんですよね。クエン酸がどうとか重曹がどうとか、そういうハックはまず雑巾で拭いてみて取れなかったら調べればいいんだなと気が楽になりました。

9.生きるための料理|たなかれいこ

この本を読んでから体を冷やさないことを意識するようになりました。葛やバルサミコ酢といった今まで使ったことがなかった食材も取り入れてみたり。
たなか先生の本だと、去年読んだ「がんばらない料理」が分かりやすくてよく参考にしています。ものすごくシンプルな調理法をまとめていて、シンプルゆえに応用が利くのです。

10.一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?|上野啓樹,俣野成敏

「消化」はエネルギーを使う、ということを意識するようになりました。確かに狩猟採集の民が朝からいっぱい食べて「がんばるぞ!」とはやってなかっただろうなと腑に落ちまして。いっぱい食べたら眠くなるもんな。

11.ふだんの洋食 レシピを見ないで作れるようになりましょう。|有元葉子

有本先生の「レシピを見ないで作れるようになりましょう。」(洋食じゃないほう)には昨年非常に影響を受けました。料理の本質が分かりやすく表現されています。洋食編を今年読んで、スロークッカーを活用してゆっくりじっくり作るスタイルが身に付きました。

12.新版 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。 20代で身につけたい本の読み方88|千田琢哉

この本は夫が読んでたのを借りました。
もともと読書はしてましたが、「人は自分の本棚に並んでいる本のような人間になる」「本の買い過ぎで貧乏になった人はいない」といった言葉に背中を押されてより確信的に本を買うようになりました。

💥13.とにかく死なないための「しょぼい投資」の話: お金がなくても生き抜こう|えらいてんちょう(矢内東紀)

えーと、これはまだちょっと説明するのが難しいんですけど、現金を現金のままにしておくより、「より使いにくいもの」に換えた方がお得、という話なんです。より使いにくいものというのは、その店でしか使えないポイントとか、その人相手にしか意味を持たない「恩」とか。
無駄を省いて合理化することが経済的だと思ってしまいがちだけど、むしろ「余剰を削ることの貧しさ」について考えさせてくれる本です。

14.ムダ家事が消える生活|本間朝子

バッグの定位置のあるリビングと、食材を置く、調理する、盛りつけるスペースのあるキッチン、新生活では絶対に確保しよう、と思いました。

15.うちでごはん いつもの「おうちご飯」をちょっとよく見せる小さな工夫|一田憲子

断片的な生活のヒント集なんですが、使いやすい器や使いやすいキッチンでの日々の生活のイメージが沸き、真似したくなります。

💥16.自立力を磨く|藤村靖之

自給自足への興味はあったものの、この本を読んで「エネルギーも自給自足の対象なのか!」と気づきました。雨水を貯めたり、太陽光で発電したり、めちゃくちゃレベルが高い…
でも大事なのは「愉しい」こと。ツイートの引用を読み返すたび、そうだ、焦ることはないな、ひとつずつ楽しんでやっていこう、とホッとします。

17.狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール|しかまのりこ

私も夫も実家暮らしだったので、持っていく家具家電がほとんどない状態からの新生活でした。どんな家具をどんなふうに置けばいいのか、ゼロから考えるにあたってとても参考になりました。導線の幅とか考えたこともなかった。

💥18.世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」|山口周

これはすごく良い本でした。
「まだ法整備されてなくて違法ではないから」って人や社会に優しくないことをするのってめちゃくちゃダセー、と思うようになりました。
実際の社会では「ダサい」「イケてる」で何かを決めることってすごく難しくて、すぐ前例とか数字とか具体的な理由を求められてしまうんだけど、でも、やっぱり「ダサい」という判断を通すべきところってあるんですよね。

19.野菜たっぷり すり鉢料理|宮本しばに

すり鉢!そのまま器にもなる!
というわけですり鉢を買いました。

20.悦な収納のすすめ|本多さおり

本田さおりさんの著作も新生活の準備にあたってたくさん読みました。キャスターへの愛が面白い(キッチンのごみ箱にも床置きのプリンターにもキャスターをつけてる)

21.わが家のお金を、整える|主婦と生活社

これは、意外だったんですが、ものすごく本質的で良い本でした。
主婦向け節約豆知識ムックかと思ったら、「ケチは罪悪」とか「5万円の酒器と死ぬまで添い遂げる」とか言ってくるもんだから「えー!?」ってビビりながら読みました。
稲垣えみ子さんやタルマーリーさんが特集されてるんだもんなあ(このあと紹介する本に出てきます)

22.すっきり暮らすための家事の仕組みづくり|主婦の友社

クリステル鍋!!この本のおかげで出会い、私に必要なのはこれだと確信しました。買ってよかった2021です。

鍋の小さい取っ手のところにハンドルを取り付けて片手鍋みたいに使うことができます。

ハンドルを外せば冷蔵庫にも入るので、鍋ごと冷蔵庫で出汁をとったり、余った味噌汁を冷やしたりできます。
あとから知ったんですが、信頼する有本葉子先生もクリステル鍋愛用者なんですよ。
味噌汁を作るのにもいいし、お米も炊けるし、フライパン代わりに炒め物もできるし、頑丈で洗いやすいです(本の感想じゃないな)

23.ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる|小竹貴子

和食の味付けはしょうゆ1:酒1:みりん1。わかりやすいですね。
1尾が大きい煮干しを探すようになりました。

24.マンガ お料理再発見!|土井善晴(著),小波田えま(漫画)

これもすごくよかったな。「時短」とか「簡単」とかじゃなくて、ひとつひとつの工程を楽しむ過程が描かれていて、料理の初心に立ち返ることができる本です。
えまさんの描く土井先生がそっくりで、かわいい中に恐ろしさもあり、めちゃくちゃ良い…

25.パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ! ママの社会進出と家族の幸せのために|前田晃平

パパの育児参加の必要性、それを難しくしている社会の問題。
男性当事者の視点から優しく、熱く、エビデンスたっぷりに伝えてくれる本です。

26.NHK出版 学びのきほん くらしのための料理学|土井善晴

「一汁一菜でよいという提案」も名作ですが、改めて「自然の中で人間が繰り返してきた料理という営みそのもの」を俯瞰して書かれたこちらの本も素晴らしいです。土井先生、文章が上手いんだよなあ…

27.不安な時代の家計管理|林總

複式簿記の考え方を家計に反映させるというコンセプトがとても分かりやすいです。
我が家も毎月「毎月1円でもいいから純資産を増やす」という目標を採用しています。

28.大切な家族と自分を守る はじめての防災ブック|国崎信江(監修),すぎやまえみこ(漫画)

新生活の防災、何からやったらいいのか分からなかったのでとても参考になりました!
災害時のためだけのグッズを増やすより、普段から使えて災害時にも使えるような工夫をしていけばいいんだなと気づきました。
保存食のローリングストックは実践中です。

29.キャンプ×防災のプロが教える 新時代の防災術-アウトドアのスキルと道具で家族と仲間を守る!|寒川一

災害時に最低限何があればいいのか、これもとても参考になりました。
キャンプで使えるものは災害時にも使えるというアイデアがいいですよね。

30.使いきる。 有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭|有元葉子

有本葉子先生の整理術。どうすれば生活が循環するのか、過ごしやすくなるのか、実践の中で磨かれてきた工夫が詰まっていて、いやー、憧れます。

31.有元葉子 私の住まい考|有元葉子

有本葉子先生の家の話。これはイタリアの家の話とかなのですぐ真似できるような話ばかりではないのですが、本当に生活が楽しそうで読んでいて気持ちが良いです。

32.漬ける、干す、蒸すで上手に使いきる 食べつなぐレシピ|按田優子

冷蔵庫のない生活をしていた按田さんの独特な料理観。米ではなくてイモを軸にして食事を組み立てるのもアリなんだ!とびっくりしました。
「漬ける」「干す」で食材を腐らせない方法が分かりやすくまとまっています。

33.たすかる料理|按田優子(著),鈴木陽介(写真)

肉の塊を茹でて放っておく。その過程でできるパーツ(ゆで豚やゆで汁)をその都度必要な分だけ取り出して食べる、という「流れ」を生活の中に作る。
ストレスなく続けていくための按田さん流の自炊の方法なんですが、なんかもうすごい…いろんな自炊論を読んできたけどこんなのほかで見たことない…

「向こうからやってきたものを喜んで受け入れて活かす。そうやって体調を維持できたら、とても健やかで最強」私も本当にそうだなと思います。
今は食についても大量の情報がありますが、「これは体に悪いから食べない」と頑なになりすぎることなく健やかに受け入れていきたいものです。

💥34.もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓|稲垣えみ子

これは!今年一番印象に残っている本かもしれないです。
言ってることは一汁一菜なんですが、冷蔵庫を手放した稲垣さんが必要に迫られた結果、自分が本当に求めていた食生活にたどり着く様子が素晴らしいです。
「昔の人は全員冷蔵庫がなくても生きていたはず!」と江戸時代の生活を参考にして、本当に簡素で、でも本質的で美味しい食事に気付くのです。

大さじ1とか小さじ1とかいちいち計って作らなきゃいけない従来のレシピの息苦しさから解き放たれ、自由になった稲垣さんの晴れ晴れとした語り口!

本当はシンプルなはずなのにここまで複雑にさせてしまう社会への怒りが爆発しています。
「本当にそこまでしないといけないんでしょうか?食べることは生きること。生きるってそれほど複雑で大変なことじゃなきゃいけないんでしょうか。」
本当にね。

また、「ぬか漬け」という微生物の働きによる食材の保存方法の素晴らしさを教えてくれたのもこの本です。ここから微生物に興味を持ちいろいろ学ぶことになりました。

35.発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ|小倉ヒラク

というわけで「発酵」に興味を持って読んだのがこの本です。発酵入門にぴったりでした。
微生物の違いから文化の違いを説明するというのもとても面白かったです。
この本をきっかけに漫画「もやしもん」を全巻読んだのですがこちらも素晴らしかったです。

勉強になる…

36.「心の疲れ」をどこでもリセット! ゆるヨガ: 「自律神経」がみるみる整う!|綿本彰

ストレスの元は過剰生産されたエネルギーである。過剰生産されたエネルギーは筋肉を収縮させることで消費できる。
なんというシンプルな考え方…でも確かにそうだなと思ったので疲れたら肩を動かしたりしています。外から揉むのではなく内側から動かすのがポイントです。

37.「ちょっとのイースト」で作る まるパンとベーグルの本|幸栄

パン作りに手を出してしまいました。バターも卵も牛乳もなくても作れるんですね。粉とドライイーストだけ買っておけばいつでも気が向いたときに作れるというのが良いです。
パン生地が倍くらいに膨らむの、やってみるとめちゃくちゃ面白い。これも微生物による発酵ですね。

38.小飼弾の超訳「お金」理論|小飼弾

資本主義の仕組みを教えてくれる本。仕組みを知ったうえで、じゃあこの社会で何に投資するのがベストかというと、「ちょっとでも自分がやりたいことについて、できないことをできるようにしていく」ことが一番賢い投資だというのです。
この「自然な学び」は確かに大事だなと思って、最近はアルトリコーダーを吹けるようになりたくて練習を始めました。

💥39.免疫力 - 正しく知って、正しく整える|藤田紘一郎

とにかく健康になりたくて、免疫について基礎から学ぼうと思って読みました。
炎症や発熱は免疫が働いている証拠で、症状を抑え込むよりも免疫がしっかり働ける環境を整えてあげればよいそうです。つまり、よく寝て休む。
自分の身体の声をよく聞き、免疫を信じて活かすことで健康になりたいなと思います。

40.「片頭痛」からの卒業|坂井文彦

一時期頭痛が頻発していたので読みました。片頭痛の鍵を握るのはセロトニンなんだそうです。バナナを食べよう。
片頭痛持ちの縄文人が頭痛の少ない弥生人に攻められたという話、気になる。狩猟採集民族だった縄文人の文化をもう少し知りたいと思っています。

💥41.からだとこころの健康学 NHK出版 学びのきほん|稲葉俊郎

そうか、この本を読んでから「細菌との共生からなる細胞」「細胞の集まりからなる多細胞生物」のイメージを持つようになったんだ。
私の意識というのは細胞たちとの共生関係の中で生まれたものに過ぎないのであって、つまり、細胞たちの声(「あの栄養がたりない」とか「あのへんで体を休めたい」とか)が私の「こころ」として表れている。
なのに「こころ」を無視して「アタマ」で考えた行動計画を無理に実行したりすると、細胞が元気をなくして体やこころを壊してしまうということなんですね。
私は微生物たちでできていて、そして死んだらまた微生物に還ってゆくんだなあと思うようになりました。

42.からだと病気のしくみ講義 NHK出版 学びのきほん|仲野徹

これを読んでから何科の診察に行けばいいのか考えられるようになりました。体の器官のおおまかな役割を整理して、分かりやすく説明してくれます。

43.しょぼい生活革命|内田樹,えらいてんちょう,中田考

内田先生とえらてん先生の対談。密度が濃すぎて読み取れていないことがいっぱいあるけど大事なことが話されているなあと思います。
「贈与って才能がいる」
というのは大きな気付きでした。そう、難しいんですよ、ひとに何かをあげるの…。
ここから贈与、交換について興味を持つようになっていきました。

内田:貧乏人を支援するのは貧乏人なんだって。ほんとにそうだと思います。「カネのないやつぁ俺んとこ来い。俺もないけど心配するな」って、そういうものなんですよ。カネのあるやつは「俺んとこ来い」とは言わないんです。カネのない人間だけが、ない人間を支援できる。
矢内:「見ろよ。青い空、白い雲」と言ってね。

kindle位置No.1492

はあ…どうすれば「俺んとこ来い」になれるんだろう…(それにしても名曲ですね…)

だまって俺についてこい

44.菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案|渡邉格,渡邉麻里子

鳥取のパン屋、タルマーリーさんの菌の話。
「モノ作りというものは経験を積めば積むほどに技術が上がり、楽になるものだと思っていた。」
環境を循環させることでどんどん作りやすくなっていくというイメージは今までなかったのでなるほどと思いました。
持続可能な社会への関心が高まる。

💥45.先生はえらい|内田樹

これは非常に衝撃を受けた本です。
前述のえらてん先生との対談本でえらてん先生が「感銘を受けた」と紹介していたので読みました。
特に「コミュニケーションの目的は、メッセージの正確な授受ではなくて、メッセージをやりとりすることそれ自体」という指摘はなるほどと思いました。
少し引用します。

コミュニケーションを駆動しているのは、たしかに「理解し合いたい」という欲望なのです。でも、対話は理解に達すると終わってしまう。だから、「理解し合いたいけれど、理解に達するのはできるだけ先延ばしにしたい」という矛盾した欲望を私たちは抱いているのです。

kindle位置No.960

おそらく、コミュニケーションはつねに誤解の余地があるように構造化されているのです。うっかり聞き間違えると、けっこう深刻な影響が出るように、ことばはわざとわかりにくく出来上がっているのです。

kindle位置No.1012

えーと…あれ、何が衝撃だったのかよくわからなくなってきちゃったな。
でもこれを読む以前・以後では何か考え方が変わった気がします…

46.往復書簡 限界から始まる|上野千鶴,鈴木涼美

すごかった…
フェミニズム研究の第一人者、上野先生と、夜のお仕事の経験のあるアラフォーのライター、鈴木さんの往復書簡。
お二人それぞれの人生を通して得た「実感」の重さも、それを説明する語彙も、とにかく圧倒的で凄まじかったです。

47.どんな顔立ちでも、ハッとするほどキレイになる 自分の顔を引き立てる本当に役立つメイクテクニック|新里沙智子

「角質は育むものです」とても良い言葉。やっぱりそうだよね!
昔あるコスメカウンターで「角質を除去できます!」って実演されたことがあって、角質を除去しなきゃいけない意味が分からなさすぎてものすごくイライラしたというトラウマがあります。
この本は肌を本質的に捉えていて信頼できます。

💥48.モバイルハウス 三万円で家をつくる|坂口恭平

「土地を私有する」ということの社会的な問題に向き合わせてくれた本です。
車輪をつければ「家」ではなく「車」だから、建築士の免許もいらないし誰でもどこにでも作っていい!という発想すごすぎる。
実際に3万円の材料費で、ひとりで寝てパソコン使って過ごすのに過不足ない快適な環境を作り上げていて、ワクワクしながら読みました。
ソーラーパネル、いいなあ…

💥49.世界は贈与でできている――資本主義の「すきま」を埋める倫理学|近内悠太

贈与ってどうやってやればいいの…贈与の本質とは…と思って読みました。
贈与は、まず最初に「自分は贈与を受け取っていたんだ」と気づくところから始まる、という話なんです。
受け取っていないのにいきなりものをあげたら「媚びを売る」になってしまう。受け取ってからものをあげると「恩を返す」になる。やっていることは同じなのに…
じゃあ「贈与を受け取る」にはどうすればいいのか?

「すでに受け取っていたものに気付く」必要があるんです。

優れたSF小説はそれに気付かせてくれる、という話が面白かったです。
重要なメッセージは大声で叫んでも意味がないけれど、娯楽の中で気付かせることができる…それは本当に大切なエンタメの意義だなと思いました。

地域のおすそわけ交換経済に参入できる人になる方法が書いてある本ではなかったです。

「復活の日」、優れたSFとして紹介されていたので読んだのですが、これもすごく良かったです。パンデミックものなのでコロナ禍を経験した今読むと臨場感あります。
残された人類の中でついに赤ちゃんが生まれた時、全員が手放しで喜んでいたのが印象に残りました。そうだよなあ…「反出生主義」とかいうけどさ…理屈じゃないんだよなあ…

💥50.寂しい生活|稲垣えみ子

稲垣えみ子さん!今年は「もうレシピ本はいらない」をきっかけに稲垣さんの文章にハマった1年でした。
こちらの本も素晴らしかったです。
便利になる一方で不自由になっていた社会への怒り!家電から解き放たれ自由になっていく喜び!

冷蔵庫を手放し、エアコンを手放し、それでも快適で幸せで全然大丈夫!という…こういう生活を実践してポジティブに発信してくれる人がいることは、これから持続可能な社会に向かっていくためにすごく大きな意味があるんじゃないかと思います。
みんなで家電も使わず貧しくなろうというのではなく、「こういうのもアリ」と気付かせてくれるということに価値がある。そういう意味で「モバイルハウス」も生活と社会の可能性の幅を広げてくれる本でした。

稲垣さんのwebの連載もめちゃくちゃいいんですよ。「買わない生活」は私が求めていた「地域のおすそわけ交換経済に参入できる人になる方法」について非常に詳細に説明してくれていて、毎週目から鱗が落ちています。

💥51.困難な成熟|内田樹

内田先生の本も今年いっぱい読みましたが、この本もすごかったです。
いや~、大人なんですよね、内田先生……個人が成功するとか自由になるとかじゃなくて、共同体全体への視点で語ってくれていて……自分はまだまだ子どもだなと思わされます。

52.難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!|水上治,大橋弘祐

がんの仕組みを一から分かりやすく説明してくれていてとても参考になりました。
ほとんどありえない可能性を漠然と怖がったりすることがなくなり、適切な対処をイメージできるようになりました。知るだけでも安心できますよね。

53.時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。|和田靜香

これもとても良かったです。
社会への切実な怒りと悲しみ、それに向き合い、誠実に説明を尽くす小川議員…
税と地球環境についての視野が広がりました。

💥54.人新世の「資本論」|斎藤幸平

ひとつ前の「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」で引用されていた本。発売時から気になってはいたのですが「人新生」という言葉を知らなかったので、どういうことが書かれている本なのかよく分かってなかったんですよね…

「人新生」とは、地質学的に新たに幕を開けてしまった、「人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代」という意味です。

私が思っている以上に環境問題がすでにギリギリの状態になっていることを知りました。

ほんとなんなんですかね、今の社会は。
空き家もいっぱい余るし食糧生産も増えてるはずなのに、なんでこんなにみんな苦労しなきゃいけないんだ?なんで便利な技術も増えたのに長時間労働がなくならないんだ?ということにずっと腹が立っているんですが、何と戦うべきなのかを示してくれる本でした。

私も何かやれることを探していきたいなと切実に思います。

は~~、ずいぶん長くなってしまいました。すみません…
大した文章でもないのに1日かかっちゃった…

なにか参考になるものがあれば幸いです。

来年もいろいろ読んでいきたいと思います。よろしくお願いします。

読んでいただきありがとうございました! 現在制作している作品は、どこからも原稿料をいただかずに自分の時間を削って描いています。 もし「分かりやすかった!」「続きが楽しみ!」と思っていただけましたらシェアやサポートで伝えていただけると今後よりよい形で作品を届けていく力になります💪