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ちょいと変わったノンさん~お祭り~

おれ、るい。
「るいる~い!」
こっちはノンさん。
「どした?」
とおれが聞くと、ノンさんは、
「この前ハルちゃんと神社でお祭りに行く約束したから、来ない?」
と聞いてきた。
「うん!」
とおれ。
「この前に買い物したときに買った浴衣か?」
と続けておれは言った。
「うん!そうだよ~。」
とノンさん。

ハルカさんとカイ

おれが待ち合わせ場所に着くと、ハルカさんと男の子が居た。ノンさんは・・・・・・いないみたいだな。
「るいる~い!ハルちゃ~ん!カイさ~ん!」
と後ろから声が聞こえた。
「ノンさん⁉」
「ノンちゃん?」
とおれとハルカさんの声が重なった。
「ハルちゃん!浴衣、似合ってるね~。」
とノンさん。ハルカさんは
「ノンちゃんこそ!」
と恥ずかしそうに言った。ノンさんはハルカさんにこそっと耳打ちをした。そしたらハルカさんは顔を赤らめた。ノンさんは一体、どんなことを言ったのだろう。だがその直後、負けじとハルカさんは耳打ちをした。ノンさんも顔を赤らめてしまった。
「女子二人で盛り上がるなよ~。」
とカイ?さん。
「あ、おれはカイだ。そっちは?」
あ、おれに言っているのか。
「おれはるいだ。よろしく~。」
とおれ。
「よろ~。それより、あっちの女の子は誰なんだ?」
とカイ。おれは答えた。
「ノンさんだよ。」
「へぇ~。付き合ってそうなのにな~。さん付けなんだな。」
うっ!というか、なんでさん付けがダメなんだろ?反撃だ~!
「じゃあそっちは呼び捨てだから付き合ってるんだね~。」
「は?ちげーし。付き合ってなんかいねーし。」
とカイ。
「るいるい、早くまわるよ。」
あ、ノンさん!
「じゃあ何からまわる?」
とおれ。そしたらハルカさんは
「私、射的をやりたい!」
と無邪気に答えた。
「よし、お金持ってるか?」
とカイ。
「「「持ってるよ~。」」」
とおれとノンさんとハルカさん。
「そうか。じゃあ楽しんで来いよ~。」
「え?カイは行かないのか?」
とおれ。
「え、あ、その・・・・・・。お金持ってきていない。」
まじかよ。
「あの、私が貸そうか?」
とハルカさん。
「でも悪いだろ。」
とカイ。
「いや、後できっちり払ってもらうから。」
とハルカさん。こ、怖い・・・・・・。
「わかった。ありがたく貸してもらうよ。ちゃんと後で払うよ。」
とカイ。
「じゃあ、契約書を書いてもらおう!」
とハルカさんはいって紙を出した。そしてカイは契約書にサインをしようとして、ハルカさんに近づこうとしたが、転んでしまった。転んだというか、つまずいて転んだ。何につまずいたと思う?

バナナだよ。バナナ!

現実にあるんだね~。初めて見たよ~。というか人生で一度しかないんじゃない?この時間に出会えたのは奇跡だよ!絶対に。同じことを考えていたのか、ノンさんはクスクス笑っていた。ハルカさんは
「血、出てる・・・・・・。大丈夫?・・・・・・そうだ!ホントの契約書みたいにするためにさ、血を一滴契約書に垂らしてよ!」
と言った。この状況でよくそんなこと言えるなぁ。そしたらカイは血を一滴契約書に垂らしていった。
「はい、これでいいだろ?」
と。
「OK!じゃあ、何円返せる?」
とハルカさん。
「う~ん。1000円くらいはあるの確定だから、1000円は返せるよ~。」
とカイ。
「じゃあ1000円貸すから、1000円返してね。」
とハルカさん。
「じゃ、早速まわろうか!」
とノンさん。ハルカさんは契約書を見つめた後、血の部分を舐めた。ように見えた。ちょっと変だなと思ったが、ノンさんが
「るいる~い!ハルちゃ~ん!行くよ~。」
と言っておれとハルカさんを呼んだので血の部分を舐めたか確認できなかった。

射的

ノンさんからやるようだ。
「狙いを定めて・・・・・・。」
かっこいい、その仕草!おれがもし女子で、ノンさんが男子だったら惚れてただろうな、確実に。あ、球が飛んで行った。あ、当たるか?というところで外れてしまった。
「あ~あ。外れちゃった。」
とノンさん。ノンさんは他の球もどんどん撃っていく。
「一個かぁ~。」
とノンさん。いやいや。一個取れただけでもすごいよ!・・・・・・おれなんか一個も取れないと思うし。いきなりハードル上げられちゃったなぁ。次はおれがやった。う~ん。行けるかな?パンパンパンと撃っていくが、全然当たらなかった。それどころか、惜しくもなかった。そして、ラスト二球となったときだ。ノンさんが、
「るいるい!頑張れ~。」
と応援してくれた。そしたら元気が出てきて、一発撃った。だが、惜しいという所で外してしまった。ラスト一球。
「るいる~い!頑張って~!」
とノンさん。行くぞ~!
”パシュン!”
という音とともに球は銃から出て行った。おれは手を組んで願った。

・・・・・・当たらなかった。

いや、正確に言うと当たったのだが、倒れなかった。ノンさんは、
「大丈夫だよ、るいるい。もう一回やっていったら?」
と言ってくれた。そしたら、
「お兄さん、残念だったね。もう一回やっていくかい?」
と射的屋さんのおじさんも後押ししてくれた。おれは悔しかったから、
「うん。やってく。」
と答えてお金を払った。今度は、一個取れた。その時の喜びと来たら。心が破裂しそうなくらい嬉しかった。
「やった~!」
とおれ。ノンさんは
「よかったね!るいるい!」
と言って抱きしめて来た。
「あ、ちょ・・・・・・。」
とおれは戸惑った。
「あ、ごめんね。るいるい。距離が近いっていつもママに言われているんだった。」
と言っておれを離した。し、死にそうだった・・・・・・。ドキドキしてたの聞こえてないかな?
「次はおれがやる!」
とカイが元気よく言ってやった。カイは球を貰って、頑張っていた。
”シュパシュパシュパ”
とどんどん球を撃っている。当たったのは一つ。そして最後の球を撃った。当たった。取れた。
「カイ、やったな!」
とおれは言ってカイの肩に手をまわす。そしたら、肩を組むような形になった。
「次はあたしだね!」
とハルカさん。
「ハルちゃん!頑張って~!」
と早速応援をするノンさん。なんか、ノンさんの応援って元気がとても出るよな。ノンさんには人の心を動かす、不思議な力がある。そう実感した日だった。そしてハルカさんは一球目をやった。落とした。凄い!二球目も当てた。三球目、ハルカさんはノンさんに、
「何とって欲しい?」
と聞いていた。おれがもっと射的が上手ければ・・・・・・ノンさんにかっこいい所を見せられるのに。
「あの熊の人形!」
とノンさんは元気よく言った。
「あれね。じゃあ行くよ。それ!」
とハルカさんは言って射的を撃った。当てて、景品を持ってもらった。
「お嬢ちゃん、ズルをしていないかい?」
と射的のおじさんが疑うほど、上手いのだ。ハルカさんは
「カイ、るい君、欲しいのある?」
と聞いた。
「おれ、あのゲームソフトが欲しい!」
とカイ。
「じゃあ、あのカステラのお菓子。」
とおれ。ハルカさんは二つ、簡単に取ってしまった。
「練習してたの?」
とノンさんが聞くと、ハルカさんは
「いや、イメトレ。」
と答えた。イメージトレーニングでできるのか。凄いな。
「カイ、るい君、どうぞ。」
とハルカさんはカイにゲームソフトを、おれにカステラを渡してくれた。
「ありがと。」
とカイがぶっきらぼうに言った。
「ありがとう!」
とおれ。

お巫女ちゃん、登場⁉

「あそこにいるのってさぁ。」
「うん、そうだよね。」
とカイとハルカさんが会話をしている。何のことだろう?
「お巫女ちゃ~ん!」
とハルカさん。
「あ、ハルカさん!」
とお巫女ちゃんさん。
「あれ?奏太も一緒にいるんだ~。」
とハルカさん。
「そ、そうなんです。」
とお巫女ちゃんさん。
「もしかしていい感じだったり~?」
とハルカさんはお巫女ちゃんさんをからかった。
「い、いえ・・・・・・。そ、そんなこと・・・・・・ありません。奏太さんとはそんな関係じゃありません!」
とからかわれて意識し始めたらしい。だが男の子の方、奏太さん?かな。そっちの方はめっちゃ緊張しているみたいだし。意識してるんじゃないか?
「あの、すみません、ハルカさん。カイさん?とお友達の時間の邪魔をしちゃって。それでは私はお暇します。話しかけていただき、ありがとうございました。それではまた今度、学校で。」
とお巫女ちゃんさん。
「またね!」
とハルカさん。お巫女ちゃんさん、礼儀正しい人だったな~。

花火

「るいるい、花火綺麗だね。」
とノンさんは言った。
「う、うん・・・・・・。」
とおれ。少女漫画とかでいる人が言うのは、
『いや、〇○の方が可愛いよ。』
っていうんだろうね~。
「いや、ノンさんの方が可愛いよ。」
と後ろから声が聞こえた。
「え?誰⁉」
とノンさんは驚いたように言った。
「団だよ、団。」
団?ああ、あのかっこつけ嫌味団か。
「どうしたの~!」
とハルカさんはノンさんに近づいて行った。
「あ、こんちはっす。ノンさんと仲良くさせて頂いてm___!」
団がそう言っているところでノンさんが
「いや、仲良くはしてないよ?ハルちゃん。」
と言ってさえぎった。の、ノンさんと団がそんな関係なのかと思った。よかった・・・・・・。あれ?なんでおれ、安心しているんだろう?もしかしておれ、ノンさんの事が好き、とか・・・・・・?いやいやいや、確かにノンさんは可愛いけど。
「いるい、るいるい、るいるい?」
あ、ノンさん。
「どうしたの?」
とおれが聞くと、ノンさんは
「ボーとしてたら、花火見逃しちゃうよ?」
といたずらっぽく笑って言った。
「お~い!・・・・・・ダメだ。二人の世界に入っちゃってる。」
「そんな、ならおれは・・・・・・?おれは、おれは、るいよりもかっこいいはずなのに。どうしてなんだよ!」
と外野が言っていたのに気づかずに、ノンさんとおれは一緒に花火を見た。

「花火、綺麗だね。」
とノンさん。
「ああ。綺麗だな。」
とおれ。
「ね、ねぇるいるい、わ、私と花火、どっちが綺麗?団が言ってたじゃん。答えて欲しい。無理だったらいいからさ。」
とノンさん。
「あ、えっと・・・・・・の、ノンさん?」
とおれは緊張しながら言った。
「ありがと。」
とノンさんは言ってはにかんだように笑う。
「スムーズに言えなくてごめん。団みたいにかっこよく言えなくてごめん。」
「るいるいが謝ることないよ。私がめんどくさいこと聞いただけだし。」
の、ノンさん・・・・・・。

「あちゃぁ~。関係が良くなったのは確かだろうけどぉ~、こういうんじゃないんだよなぁ。るい、早く告白しないと誰かに取られちゃうぅ~。」
「どんな話し方なの、121。仕事しなさいよ?」
「いや、21。違うんだ。」
「何がよ!証拠は?」
「違う違う。神様の言った仕事はこの二人をくっつけることじゃなくて、この二人を見守るっていうんなんだよ。もし今すぐくっつけたいなら、キューピッドの矢を渡すよ?」
「でも、それで本当の愛が生まれるのかな?」
「そうね。少し取り乱していたわ。」
と後ろの木に人影があるのには誰も気づいていなかった。


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