見出し画像

15W:懐妊と声を大にして言えない、安定期ちょっと前のマタニティブローチを胸に、ダンスフロアを見守る。

親族や親しい友人達に妊娠報告をする目安と言われている
5か月目の安定期。
にあと1週間で差し掛かるという、年末の集まり。
10年以上、慣れ親しんでいる社交ダンスサークルの
大事な大切なクロージングパーティーがありました。

年間通して、様々なイベントでダンス向きのドレスに袖を通すことは多くて
選ぶドレスやシューズ、持ち物も1泊旅行感覚でささっと準備慣れしてきたのに
今回は妊娠4か月目。ものすごっく悩みました。

基本的には、踊らない。けれど、ダンスフロアにはお邪魔して見学したい。
だからドレスは着用するし、一応ダンスシューズも履く前提。
お腹はちょっとだけ出てきたので、ウエストゆったりなもの必須。
クリスマスも過ぎた年末だから、寒い。暖房きいていても、
首回り、お腹周り、足首まわりは温かくしておきたい。
で、ドレス。む、難しい。

ラテン向きの露出高め、スカートは膝上丈はNG。
モダン向きのくるぶしまで丈のあるロングドレスがいいかな。
ぴたっとウエストスリムだと、お腹周りが気になるから、裾がフレアだよね。
普段はアミタイツ(見た目と違って、結構あたたかい)だけど、
ウエストが苦しくて履けないから、膝下丈のラメ入りストッキング。
ドレスは肩が出るデザインだから、あたたかいファーの羽織かな。
よし、組み合わせは決まった。

着るもの、持ち物整えて、
あとは踊れないことを、そっと伝えるために、
マタニティマークを手提げポーチとかにつけるか、どうするか。
でもポーチをずっと持ち歩くわけにもいかないし…。

そこで、ハンドメイド作家さんが
可愛いマタニティーマークストラップを出品しているのを思い出して
メルカリを舐めるように検索検索!
ありました!いい感じにコサージュ?ブローチ?っぽくなりそうな
お花のデザインであしらわれている作品が!
パーティー当日まで1週間を切っていましたが
事情を詳細に説明したメッセージを添えてリクエスト注文。
快くスピード製作&発送してくださいました。感謝!

かくして社交ダンスサークルのクロージングパーティー当日。
お花のマタニティーマークブローチを
ファーのはおりの襟元に安全ピンで留めて、
(コーディネートしたドレスの胸元を、出発1時間前にアイロンで焦がす事件がありましたが、もう気にせずそのドレスを着ました(笑))
いざ、パーティー会場へ。

運営スタッフでもあったので、会場設営を手伝いながら、
女子更衣室では、こそこそっと妊娠4か月目の安定期なので
踊れないけど、今日もよろしく!と報告したり、わーきゃーしたり。
さりげなくファーのはおりに付けてるだけのマタニティマークブローチなので、
気づく友人もいれば、後日まで全く気付かれていなかった仲間もいたり。
それくらいのバランスがちょうどよくて。
だって、安定期にも入っていないと、両手をあげて報告しにくいから。

なんでこんな小細工するかっていうと、
ダンスフロアーでのマナーとして
男性は女性をお誘いすることになっているのです。
「Shall we dance?」
あれです。
男性→女性の場合、女性はお断りもできて、
女性→男性の場合、男性は基本的にお断りできないそうです。

私はドレスも着てシューズも履いているので、
ぼーっとダンスフロアの壁側にいると、
優しい男性の皆さんは、お声をかけてくださるのです。
ものすごく踊りに出たいし、つわりも明けたし、元気なのに!
万一、自分が足元のバランスを崩したりで転んで…なんてことがあったら
私だけではなく、その時のリーダーさん(男性)にも責任を感じさせてしまう。
だけど、華やかなダンスフロアー。
ドレスアップした仲間達が、のびのびと踊る姿を眺めていたい。
その場に普段着のまま居るっていうのも、ちょっとイヤ。
そんな私のエゴと葛藤。

予想通り、ダンスフロアーを楽しく眺めていると
素敵な笑顔で片手を差し出して
「一曲、どうですか?」
と誘ってくださる男性陣。
「踊りたいけど、ごめんなさい。今こんな時期なので。」
と襟元につけたマタニティーブローチを指さす。
「おお!それはおめでとう!大事にしてね!」
嬉しそうに手を振って去っていかれる。
うん、ハンドメイド作家さんに作ってもらって良かった。

10年以上お世話になっている、大事な社交ダンスサークルの
歴史が閉じられる日の、今日限りのクロージングパーティー。
踊りたかったけど、見守ってた。
終了時間最後には、必ずワルツの曲がかかる。
ラストワルツ。
この最後の1曲は、それまでロビーで談笑していた仲間も
近くの女性にダンスを申し込んで、喋りながら、笑いながら
ダンスフロアーがぱんぱんになるくらい、沢山のカップルが
花のようにあちこちに広がって、ぶつからないように、お互いを気遣いながら
くるくるとワルツのリズムで3拍子、あちこちにゆったりと開花していく。

ダンスフロアに華やかな光、僕をそっと包むようなハーモニー。
大好きなオザケンのフレーズが脳裏によぎる。
あたたかくて、幸せな空間。
まだ胎動も感じぬ、お腹の中にいるはずのベビーと
そっと足踏みステップをして、見守ってました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?