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最近読んだ文庫2冊~天使シリーズ完結&チャラ男~

最近読了した文庫2冊をご紹介。

まずは村山由佳さんの『天使の棺』。村山さんのデビュー作『天使の卵』シリーズ完結編です。卵の次が『天使の梯子』、ちょっと番外編の『ヘヴンリー・ブルー』を挟んでシリーズラストがこの棺。当初の爽やかで切ない王道の恋愛ものから、ラストはもっと大きな「愛」というか、単なるラブストーリーの枠を超えたお話でした。一本槍歩太を軸にしたお話で、今作のヒロイン・茉莉のあまりにも過酷な境遇が最初は読んでいてつらかったですが、歩太と出会い、自分の人生を切り開いていく希望のある展開が読み応えがあって素晴らしかったです。

もう一冊は絲山秋子さんの『御社のチャラ男』。気になるタイトルですよね?(笑)。単行本が出たとき、僕も例に漏れず気になって初めて絲山さんの作品を読んだのでした。いい具合に内容も忘れていて、今回文庫を改めて読んでもやはり楽しく興味深く読みました。芥川賞作家の絲山秋子さん、純文学寄りなのでとっつきにくい印象があるかもしれませんが、今作は、ある地方の「ジョルジュ食品」という中小企業を舞台にしたお仕事小説ともいえます。チャラ男こと三芳部長のことが、章ごとに語り手が変わって綴られていくのですが、あーこういう人いそう…という妙にリアルな描写がとても印象的で味わい深いんです。読みやすく楽しいエンタメ小説、とはまた一味違った面白さがあるのでおすすめです。

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