勝ち組業界?いやいや違います!自転車特需の誤解

こんにちは。
今日は自転車業界のお話。

新型コロナウイルスの影響により各方面で企業業績に明暗が別れる形になりました。その中でもある自転車小売は勝ち組だとかなんだとか…。

「新型コロナ影響で企業業績に明暗 電車通勤避けようと自転車にも特需」
https://news.livedoor.com/article/detail/18140006/
ライブドアニュース

サクッと言ってしまうと日本最大級の自転車小売「サイクルベースあさひ(以下CBA)」の2月21日〜3月20日の業績が昨対18.5%増したそうです。
それを見て自転車特需が起こってるぞ!ってことですが本当でしょうか?

CBAさんが業績拡大した理由

CBAさんがここまで業績拡大したことはすごいことですが、その要因は単純にコロナの一言で片付けられません。

①春の需要期が前倒しになった
実用自転車の世界では2月後半から4月末までを「春需」と呼ぶ、新生活に伴う年間最大の需要期です。今年は例年になく早く2月頭くらいから需要期がスタートしていました。

②生産遅延がメーカーに起こったよ
これはコロナのせいですね。実用自転車はほぼ全てが中国の工場で作られていますが、旧正月の直前にコロナによる中国政府(地方自治体かもしれません)による操業停止命令がでたことで旧正月に延長戦が入りました。
この段階で需要期なのに追加生産ができない状況になり、各メーカーが手持ちの在庫で対応する状況になりました。

③品切不安が消費者に起こったよ
②の状況に陥ったメーカーは入荷遅延、欠品を知らせるニュースを発信しました。テレビでも流れていましたので、それを見た消費者には「早く買わなきゃ!」という心理が沸いたんでしょう。例のトイレットペーパー騒動と同じことが自転車でも(軽くですが)起こっていました。
ここで①に書いたように春需が早まったのです。

④CBAさんが商品を確保すべくして確保したよ
①〜③を踏まえて何が起こったか。それはCBAさんが他社より先に商品を抑えたことで、春需で爆発的に業績を伸ばしたのです。
PBを展開してSPA(製造小売)であるCBAさんには中国の工場の状況とメーカーの在庫予想がある程度見えていたんでしょう。
また、業界的にもCBAさんの対抗馬というとホームセンターさんやイオンバイクさんが挙げられますが、需要期の商品確保するってのはお金も倉庫スペースも使うことなのでホームセンターの一部門や子会社の身では動けなかったのでは無いのかな、と。街の自転車屋さんでは言わずもがな。

とまあ、こんな感じに需要期にきちんと商品を確保できたことで時期を早めて来店したお客さんにも無事に対応できたんじゃないでしょうか。
当然、CBAさんの裏側には商品を確保できなかった存在があるわけですので、業界全体が好調かというとだいぶ疑問が残る、というわけです。

業界全体で見ると…

今に至っては緊急事態宣言が出たことでモール内ショップは根こそぎ休業を余儀なくされています。そこにいくはずだったお客さんが他のショップやECに流れていってるのではないかと思うと今年の後半になるまで自転車業界が好調かどうかって判断がつかないと思います。

あと、自転車通勤にする人が増えてるとは言いますが、先が見えないこのご時世ですから手持ちの自転車をそのままもしくは修理して乗ってる方も多いのではないでしょうか。どちらにしても外から見た評判にはちょっと疑問が残ります。

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