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最近の記事

「ちいさなくに」の方へ ― マルジナリア

「ちいさなくに」の方へ ―― マルジナリア その1  自作詩を独唱する切っ掛けとなったのは2016年クリスマスの鎌倉近代美術館別館での映像作家・狩野志歩さんとのコラボレーションが始まりだった。「鎌倉別館にて」では、映像のフレーミングに倣って、私の詩を、狩野さんに好きなように断片化して貰い、それを一枚の紙の上で、シーケンスを再構成して歌った。イヴとクリスマスの連日であったが、旋律感は容易に動いて、まだプロセスの最中にある、生成現場を披露しているようなものだった。即興であるから

    • 葦の沼

        西へ向かう道  かつては細い流れがあったのだろう 谷へ下る階段の袂には 消えたその流れをよく見知っていたかの 黒松の古木があった 南 の陽射しを受け 若い針葉を伸ばしはじめたばかりの葉叢を幾つも蓄え 自身の翳とともに 些か重たげな枝を道まで垂らし 葉叢の懐には いつも雉 鳩の仄暗い声をふるわせていた  けれど黒松を北面から圧倒する 中世の城壁かと想われるほどの 高く堅牢な石積の壁に反射して それは より寂しく響く のだった 石積の壁に護られた館の奥の方へ ふと記憶の方へ振

      • Baryton あるいは エーリッヒ・ツァンの音楽

        Baryton を初めて知ったのは、1980年にパルコ出版局から新装再版されたエマニュエル・ヴィンターニッツ著『楽器の歴史』の本からだった。美しい写真によって西洋楽器の歴史を概観した本で、他に、楽器の歴史の扱った本の幾らかはあるが、翻訳本では、ヴィンターニッツの『楽器の歴史』ほど愉しめるものは他にない。それをソプラノのFYさんが持っていて暫く借りていたが、泣く泣く返した覚えがある。もう四半世紀も昔の話だ。 Viola d'amore や Baryton は、王侯貴族に愛され

        • ちいさなくに in a small realm ― 詩

          Hideo Nakane Video Work Yurihito Watanabe | Monody & word released on vimeo on demand! https://vimeo.com/ondemand/inasmallrealm/ □ Phase 1 ………. year 2016 □ Phase 2 ………. year 2017 □ Phase 3 ………. year 2018 傾けられる ことのない 聾啞のやうな 空の楯を伐つ 焚(や)かれた

        「ちいさなくに」の方へ ― マルジナリア